彼女は娘と別々に寝ることになる
ついに結ばれる二人
「パパ、ママ」
「どうした、ユゲット」
「妾は今日から一人で寝るぞい」
ユゲットからの突然の申し出にテレーズは固まる。
「弟妹が欲しいからの。ほほほ」
優雅に笑うユゲットに、ボーモンは顔を真っ赤にした。
「ユゲット……もうちょっとオブラートに包んでくれ」
「ほほほ。期待しているぞ、パパ、ママ」
ボーモンもテレーズもユゲットに完敗である。顔を真っ赤にして俯く二人であった。
そして、その日の夜。
「ど、どうしよう、マルカさん。ボーモン様と二人きりだよ!」
「頑張ってください!テレーズ様!お世継ぎも儲けてユゲットお嬢様に弟妹も作れて一石二鳥ですよ!」
「あわわわわわわ……!」
テンパっているテレーズに、マルカは追撃する。
「今こそテレーズ様のお母様から贈られた香水の出番ですよ!」
「び、媚薬入り香水……!」
テレーズは机の引き出しから香水を引っ張り出す。
「つ、つけた方がいいかな?」
「いいと思います、テレーズ様!きっと旦那様もお喜びになられますよ!」
「う、うん……!」
テレーズは覚悟を決めて香水を付けてみることにする。
「あ、でもその前に、何か出来ることあるかな。香水つけちゃったら寝室に直行だし」
「思い切って、大胆な下着を身につけてみませんか?ほら、これとかどうでしょう」
「え、派手じゃない!?」
「でしたらこれとか?これはどうです?」
マルカがテレーズに勧める下着はどれも煽情的なものばかり。テレーズには少し刺激が強い。
「あう……に、似合うでしょうか……」
「テレーズ様は美人でいらっしゃるから大丈夫ですよ!さあ、さあ!」
「……じゃ、じゃあこれとか!」
テレーズが手に取ったのは白い一見清純そうだが、布面積が少ないもの。
「あ、たしかにそういうのもアリかも」
「じゃ、じゃあこれにします……」
テレーズは早速その下着に着替えて、その上にスケスケで明らかに意識した感じのネグリジェを着た。
「……うん!テレーズ様、パーフェクトです!」
「うー……恥ずかしいです……」
「さあ、あとは香水をおつけしますよ」
「うん……」
マルカが香水をつけてくれる。
「全て旦那様にお任せすれば大丈夫ですからね、テレーズ様」
「うん……行ってきます!」
「頑張ってくださいね、テレーズ様!」
マルカもテレーズも、まるで戦場に出るかのような気合の入り方である。
「ボーモン様……その、お待たせしました。似合いますか?」
「テレーズ……!すごく似合ってる。可愛いぞ」
ボーモンはテレーズの姿を見て赤面する。が、嬉しそうに笑った。
「自分のために君が着飾ってくれるというのは、やはり嬉しいものだな」
「ボーモン様……そう言っていただけて嬉しいです」
テレーズがベッドをみれば、薔薇の花びらが散らされていた。ボーモンがテレーズの緊張を解こうと、そしてなるべくロマンチックな雰囲気を作って喜ばせようと工夫してくれているのが分かる。
「あの、その、ありがとうございます。すごくロマンチックで素敵です」
「あ、ああ。君がこういうのが好きそうだなと考えてやったんだが、喜んでくれて嬉しい」
ボーモンはテレーズを抱き寄せる。
「キスしてもいいか?」
「はい、ボーモン様」
二人の唇が、静かに重なった。
あまーくできましたか?




