第114話 全員揃ったようだ
人々の憩いの場であるセントラルパーク。合同会議はセントラルパーク傍に新しく建てられた世界最大級の灯台にて行われる。
この灯台は海を往く船舶用にあるのではなく、空を往く船の為の物だ。空も随分賑やかになったこの時世、ここに我々はいるぞと世界に声を上げるように灯台が新設され、内部ではアメリカの歴史を表す展示や記念講演が催される。
そんな灯台の一室で、今日合同会議が行われるのだ。
オレたちはまず灯台入り口で門番のように立つロボットに招待状を提示する。
ロボットは一人ずつ手に持った招待状をスキャンし、ドアの開閉を繰り返した。
ついで今度は人の目によるチェック。
ドアの内側にいた二人のスーツ姿の男性に招待状を提示。
それぞれが本物と判断され、ようやっと会場への門戸が開かれる。
会場は上に十二階分昇ったところにある。階段で昇ると疲れてしまうのでエレベーターを使い、上へ。
なんとなく皆、無言。
ちょっとした浮遊感を感じながら待っていると十秒もかからずに十二階に着いた。
エレベーターが開き、外に出る。
出るとそこに――会場の外にいた米兵たちの目が一斉にこちらを向いた。
それぞれが軍服に身を包み、銃を携えている。
此度の合同会議参加者を守る為の処置だが、銃を持った兵士に囲まれると言うのはあまり心地良いものではなかった。
会場へのドアを開き、中へ。
第一に煌々と輝くシャンデリアが目に入る。
目が会場の明るさに慣れてくるとしっかりと椅子とテーブルが見えた。
椅子は木造り。十数個ある円形のテーブルには白いテーブルクロスがかけられていて、清潔感をアピールしている。
床は赤い絨毯。
様々な会議や講演が行われ、たまに結婚式も催される会場を見て、オレは少し緊張した。
が。
テーブルの一つに教皇ステイ・クラリティーとサア、それにザイを見つけてなんとなく安堵する。
あちらもオレたちに気づくと軽く手を振ってくれて――ん? 教皇ステイ・クラリティーがベールを着けていない。恐らくこの場で正体を隠すのは得策ではないと判断したのだろう。大物が揃うはずだから。皆の視線が彼女に集まっている。
そんな教皇ステイ・クラリティーが一つのテーブルを指さした。
「あ」
キュアに真架&ジョハ、アウサンを発見。
椅子に座している向こうはもうオレたちに気づいていて、こっち来いやとキュアが手招きしていた。
どうやら座る場所は決まっているようだ。各テーブルに『○○様』と書かれた札があったから。
オレたちは『神赦譜術教会』の三人に一つ頷き、指さしてくれて&手招きされているテーブルに向かった。ここで『シュティーフェル財団』の三人とは一時離れる。
向かった先のテーブルには『ゲスト様』と書かれた札があった。ゲスト、オレたちの事だ。だから静かに座す。
「小声にならざるを得ないわね」
「ああ」
見知らぬ場所、見知らぬ人々が多いのだからやむを得まい。オレたち以外の人々も静かにしている。
ザッと会場内を見渡すと夢の防人『グリッター』のテーブルにフレグリスを発見。彼はやはり静かにして目を伏せていた。
別のテーブルには『星冠』の面々。父さん母さんではなくたまにうちに遊びに来る四人が座っていた。二組の恋人さんであり父さんたちの同僚にして仲間、そして友だ。オレの視線に気づくと手を振ってくれて。オレも軽く振り返す。
と、会場が大きくざわついた。
なんだ? と目を巡らせるととある一組がテーブルについたところだった。
テーブルの札には『「世界に立つ銃士軍」様』と書かれていて。
国際議連の矛にして盾。今回の合同会議発起人たる人たちだ。
「全員揃ったようだ」
波打つ会場が一人の男性の言葉で再び静寂に包まれた。
席を立ちマイクを握るのは老齢の男性だ。白系パールホワイトの髪で青緑系アクアマリンの眼光は鋭く、放つ圧は雄々しい。左目の『覇紋』は眼の色と同じアクアマリンのシャチの頭部。
「此度の合同会議の議長を務める『世界に立つ銃士軍』所属・軍団長ウルルバイトだ。
ほぼ初めましてだな。
よろしく頼む」




