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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第8章【転生陰陽・現代聖女編】

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第19話:調査と謝罪

「こちらです、魔道具は破損してると思いますが注意して下さい」


シアの案内で辿り着いた部屋は誘拐犯達の死体が残る部屋の隣だ。


「とりあえず部屋自体を見てみるか……『——鑑定』」


---------------------------------

名前:封魔ふうま呪錠じゅじょう

状態:破損、使用不可・≪粗悪品≫

使用方法:魔法陣の書かれた部屋と錠で使用、鍵を差し込んだままだと解除される。

備考:ユークニア産、部屋に描かれた魔法陣と応じて発動、部屋全体を呪いによって魔力を封印する。

   発動中に触れた者は呪紋が刻まれ、魔法の使用が阻害される。

---------------------------------


「ん、面白い魔道具。呪詛魔法によって魔力の阻害をするみたい。でも、魔法陣の構成が凄く下手。これを作った人は凄くヘタクソ」


魔眼によって見抜いたユフィが辛口評価を下す、魔道具作ってる訳じゃないから魔法陣とかよくわからないけど魔力の流れが混線しててぐちゃぐちゃだ。


「うーん、ユークニア産かぁ……。こりゃ一度、向こうの国に行かないと駄目だよな……」


「それと、ユウキ様こちらを……」


シアが空間収納アイテムボックスからポケットなモンスターが入ってそうな球形の魔道具を取り出した。


「これは……何だろう……『——鑑定』」


---------------------------------

名前:封獣ふうじゅう縛牢ばくろう

状態:未使用・使用可・≪粗悪品≫

使用方法:叩き付けるや、踏みつけたり等々、破損させるだけ。

備考:影魔法を使用。ユークニア産、テイムした獣や魔獣を収納できる。一度出すと破損する。

---------------------------------


「魔獣を収納……、これって魔王都で使われた奴じゃ……」


「なんですと!?」


「そうなの?」


愕然とするシアと小首を傾げるユフィ。


「うん、使い方はコレを叩きつけると壊れて、中の魔獣が出現するみたい」


地面に叩き付けると、破損して煙と共に魔獣が現れる。


「グルルルル……」


「『——我に従え』」


テイムの主導権を奪い服従させる、ごろんと寝転がってお腹を見せて来るので撫でてあげると気持ち良さそうな声を出す。


「あとでグレイの所に連れて行ってあげるね、リーダー(グレイ)の言う事聞くんだよ?」


「キャフゥ!」


「それじゃあ一応、この錠の部分だけ斬りとっていくか」


刀で斬って空間収納アイテムボックスに入れる、ついでに倉庫にあった使えそうなものや食品を回収する。


「後は燃やしちゃおうか」


「そうですね、また盗賊とかに使用されると困りますので……」


「ん、手伝う」


ユフィと二人でアジトを燃やす、石組み部分は煤けていくのを背に三人で魔王都へ戻った。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「あっ、上凪!!」


ノーブルブラッディ城に戻りクラスメイト達が夕食を食べている場所へ足を運ぶと皆が駆け寄って来た。


「皆、大丈夫だった?」


「うん、戻ってきた人たちも無事だよ」


「良かった……」


それから席に戻った皆の前に立って頭を下げる。


「皆、今日はすまなかった、俺の想定の甘さから皆を危険に晒してしまった。怖い思いをさせてしまった事を謝らせてくれ」


顔を上げると皆が怪訝そうな顔をしている。


「まぁ、俺達が望んだ事だし」


「そうそう、海外旅行トラブルみたいなものだ?し」


「高校生にもなって自分の選択の責任も取れない様じゃ駄目だからなぁ……」


「それよ、だから上凪に謝られると、こっちが気まずいというか……」


「むしろ、私達が勝手に行動して迷惑かけちゃったし……」


「迅速に助けて貰ったし、いい経験と言っちゃあれだけど。凄く良い経験させて貰ったよ?」


「それに、今回で犯人が取っ捕まった訳だし、次来る時は安全でしょ?」


クラスメイトの女子に聞かれ頷き答える。


「あぁ、ちゃんと原因を調べたりするし。次は対策をするから大丈夫」


「じゃあ、何も問題無いわね!」


そう言って皆は、何事もなかったかのように雑談に戻って行った。


◇◆◇◆◇◆◇◆

 ◇???side◇

「クソッ!! あれだけの損害を出して何も得られなかったというの!?」


私は持っていたグラスを投げつける、諜報兵の背後にあった壁に当たり甲高い音を鳴らして砕け散る。


「まぁまぁ我が愛しの君よ、誰にでも失敗はあるというもの。それに美しい君の顔がこれ以上怒りに歪むのを見たくはないよ」


愛しき王子《人》に抱きしめられ背中を撫でられる、すると私のささくれ立った心が和らいでいく。


「おい貴様、原因は何だ?」


私の王子様が兵へ厳しい視線を向ける、私の為に怒ってくれる彼の顔が凛々しくてたまらない。


「お、恐らく魔道具の不調と我々が魔王の強さを測り間違えた事かと……」


滝のように汗を流しながら兵が告げる、魔道具の不調というとあの愚かしい姉がしくじったのだと理解する。


「次は無いわよ。それとあの子の母親の髪を切り、あの子に送り付けなさい」


あの子は何て顔をするか……それを想像するだけで、私はたまらく笑みが零れた。


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