第79話:最終決戦に向けて・婚約披露パーティー③
邪神の目の前に降り立つ俺とアミリア、相変わらず邪神はこちらを見ずに城の方を見ている。
「とりあえず、こっちを向かせるか」
「えぇ! それでどうやるの?」
目をぱちくりさせ聞いてくるアミリアに、ずっこける俺。
「とりあえずぶっ叩けば良いよ、相手が無視できないダメージを与えれば良いし」
「わかったわ!」
「それじゃあ、足場は作るから頼むよ」
「任せなさい!!」
「それじゃあ行くぞ! 『——クリエイトロック!!』」
大きな石の杭を落とし橋を架ける、相手の巨体に合わせて一直線だ。
「はぁぁぁぁ!!」
一気に加速したアミリアが跳び上がり剣を構える。
『空・喰ぃぃ!!』
「グギャャャャャャア!?」
魔力を込めたアミリアの一撃で三分の一が吹き飛ぶ、いきなり体を失った邪神が狂ったように悶える。
「はーい、オーライ……っと」
そして飛んで来たアミリアを受け止め、地面に降ろす。
「流石に、一撃じゃ無理よね……」
「そうだね、まぁこれで相手も城からこっちに注意が向くよ」
「ギャャャャア!!!」
魔力が溢れているのか、目にも止まらないスピードで生成した矢を飛ばしてくる。
「効かないっての!」
――ガキンッ!! ――バギンッ!! ――ガキンッ!! ――バギンッ!!
血を纏わせた刀で斬り落とし、空いた片手で叩き落す。
――ガガガガガガガ!!
――バババババババ!!
アミリアにあたらない様に全て砕き、斬り防ぎ終える。
「ふぅ……」
「あ、ありがとうユウキ……」
「さて……それじゃあ倒しちゃおうか!」
「でも、私の攻撃じゃ残り半分しか……」
「俺もそれに合わせるから、任せて!」
アミリアと目を合わせて言うと、彼女は大きく頷いた。
「それじゃあ行くよ!」
アミリアが駆け出し、俺は空に上がる、絶えず魔法を撃ち、注意を向ける。
「ヴギャャャャャャア!!!」
「アミリア!!」
いきなり生えた触手が俺とアミリアを絡め捕ろうとしてくる、転移でアミリアの前に現れ躁血魔法の刃で細切れにする。
「グギャャャャャャア!?」
「構わず走れ!」
「わかったわ!!」
創りだす足場を跳び渡り邪神に肉薄する。
「はぁぁぁぁぁ!!」
「『——転移!』『——血戦陣!!』」
転移でアミリアの背後に出現して以前使った『針血陣』の強化版を使う全球の守りで俺とアミリアを包み込む。
「グギャャャャャャア!?」
バラバラにされた触手の屑から俺達が飛び出し、アミリアが構える。
『『空・喰ぃぃ!!』』
俺とアミリアが同時に同じ技を撃つ、魔力が混ざり大きなうなりとなる。
「「はぁぁぁぁぁぁあ!!」」
「グギャ!?」
邪神の断末魔は一瞬で、魔力の奔流によって青空に残っていた雲が両断される。
「うそぉ……」
「お疲れ、アミリア……」
空中で受け止め飛翔魔法で飛び上がる、そしてゆっくりと地面につく。
「これで一段落だね……」
「えぇ……っえぇ~?」
「ほら、戻ろうか」
「ひゃぅ!?」
お姫様抱っこで持ち上げる、唖然としているアミリアも我を取り戻した様で慌てる。
「なんか、すごかった……」
「あはは、まさか出来るとは思わなかったけど、ここまで威力が出るとは思わなかったよ」
あははと笑い、アミリアと空を見上げる、天を裂いた斬撃の余波で未だに雲が割れ空が澄み切っている。
「全く……ユウキったら……」
「それじゃあ、戻らないとね。飛ぶよ!」
「ふぇ!? ちょっ!?」
魔法で飛び上がりそのまま復元魔法で城壁や家屋を修理しつつ戻る、空を翔ける俺達に万雷の拍手や歓声が浴びせられる。
「魔王様! ありがとう!」
「聖女様もすごーい!」
「かっこよかったぞー魔王様!」
その声に苦笑いを浮かべバルコニーに戻ると、セレーネに抱き付かれた。
「二人共! 無事でよかったぁ!!」
「大丈夫よ、だってユウキが居るもの」
「そうだけどぉ~心配は心配だよぉ~」
ぐりぐりと頭を擦り付ける、あーあー髪が崩れちゃうよ……。
「セ、セレーネ! 石が! 石がごりごりって!!」
うん、アミリアの身長だと顔に宝石がぶつかるよな。
「むぅ……ずるいです……」
一歩引いた位置で見ているリリアーナが頬を膨らませる。
「ほら、リリアーナもおいで」
残った手を広げるとリリアーナが飛び込んで来る、それを受け止め抱きしめる。
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
すると背後から大歓声が響き驚きつつ皆で見ると集まっていた皆が大きな声を上げる。
「ありがとー姫様!」
「もう一人の嬢ちゃんも守ってくれてありがとうな!!」
「聖女様ぁ~こっちむいて~!!」
「魔王様、かっこいい~!!」
「私もお嫁さんにしてぇ~!!」
王城の前で皆を守っていたセレーネとリリアーナに感謝の言葉が、アミリアに黄色い声が。
そして俺は黄色い声から子供達からの声が届いた
「ははは、ありがとう……」
苦笑いしながら手を振る、するとより一層歓声が大きくなる。
「へぇ……」
「ふーん……」
「むぅ……」
――ミシッ……
「ちょ!? あの……皆さん!?」
「へぇ……」
「ふーん……」
「むぅ……」
――ミシミシミシ……
「折れる折れる! 骨がミシミシ言ってる!?」
俺の情けない悲鳴が響き渡ると、段々と皆が笑いに包まれていくのであった。
作者です。
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