第60話:井戸を作ろう①
予約したと思ったら忘れてました!すみません!!
「でも、ここって丘の上だし井戸なんて出来るの?」
アミリアが首を傾げる。
「そこなんだよなぁ……」
井戸ってただ掘れば良い訳じゃないし、正直水源なんて簡単に見つかる訳が無い。
「ここはやはり……オカルトに頼るか……」
「オカルト? 何ですかそれ?」
リリアーナが小首を傾げる、アミリアとセレーネも思い当たる節は無さそうだ。
「俺の世界の不思議な事や、お化けなんかの不思議な事の総称だね」
「おおおおお化け!?」
セレーネの尻尾が立つ、まさか苦手なのか?
「セレーネ、お化けが苦手なの?」
「にににに、苦手という訳じゃ!!」
「でも、苦手そうよね?」
「はい、私もそう見えます」
この世界だと割と慣れてるんじゃないのか? ゴースト系のモンスターも居るし。
現にアミリアとリリアーナは平然としている。
「だって! 魔法とか効かないじゃないですか!?」
「「えぇ~」」
「あーそういう事ね……」
リリアーナとアミリアは引き気味だが、俺は言いたい事が分かる。
「まぁそうだよな、モンスターは魔法でぶっ飛ばせるけど、幽霊には効かないだろうし……」
というか、元の世界戻ったら幽霊が居るか探知してみるか……。
「えっと……ちょっと良いですか?」
「何ですかリリアーナ様?」
「セレーネさん……まさか、城で働いてる一部の者が幽霊なのは知らないのですか?」
リリアーナが恐る恐る聞く、というか俺も初耳なんだけど。
「へ?」
「主には夜間警備や書庫整理なのですが……平然と挨拶してましたし、知っているのかと……」
「しょ、しょんなぁ……おばけ……きゅう~」
「セレーネ!」
「セレーネさん!?」
「おっと!」
倒れたセレーネの身体を受け止める、白目剥いて反応が無い……。
「駄目だ……気絶してる……」
「これは……相当、駄目だったのね……」
「うぅ……悪い事をしましたぁ……」
本当に気まずそうに言うリリアーナ、仕方ない。
「それで、リリアーナ。本当なの?」
「はい、正確には霊源種と呼ばれる種族の方々で、死んだ後に未練があったり呪術によって魂のみになってしまった方々なんです、種族として生まれ変わっているので、未練の成就や解呪してもこの世を彷徨ってる所を勧誘しているのです」
「へぇ……そうなんだ」
「はい、普段は特に霊体での活動は無いのですが……緊急事態等の際は城内での素早い伝達等をしていただいてるんです」
「へぇ……便利ねぇ……」
リリアーナの解説に俺とアミリアが感心する。
「幽霊ねぇ……ん?」
幽霊って壁貫通とかできるよね?
「ねぇ、リリアーナ。その幽霊さん達の元へ案内してもらえるかな?」
「はい、構いませんが……もう水源探しは良いので?」
「あぁ、俺の想像してる事が当たれば、かなり楽になると思ったんだ」
「かしこまりましたわ、では戻りましょうか」
「あ、セレーネは私が運ぶわ」
「ありがとうアミリア」
お姫様抱っこのままアミリアに手渡しする。
「良いの良いの、これくらいしか出来ないし」
そう言って、ひょいひょいと馬車の中に入って行くアミリアとリリアーナ。
「それじゃあ、戻ろうか」
「わふぅ!」
馬車引きをしてくれているグレイをひと撫でして御者台に座り、合図を送る。
大きくゆっくりと円を描き丘を降りて行くのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから、各所の幽霊さん達に声を掛け夜になった所で城の中央部に集まってもらった。
幽霊の皆様がそわそわしている、そして一人の老騎士が手を上げた。
「ユウキさまぁ、わしらに何の用ですかぁ?」
「あぁ、皆に集まってもらったのはとあることを手伝ってもらいたくてね」
「とある事ですかぁ?」
「うん、実は皆に井戸の水源を探して欲しいんだ」
「井戸の水源ですかぁ……」
「それで、幾つか条件があって、これから質問していくんだけど大丈夫?」
「「「「「はい、大丈夫です(ぅ~)!」」」」」
喋れない人は手を上げて反応してくれる、意思疎通は問題無さそうだね。
「それじゃあまずは――」
幾つか質問をしていく、内容は閉所恐怖症じゃないか、透過が出来るか、後は俺の魔力を感じる事が出来るかだ。
そうして全体の半分よりちょっと少なめの人数が残った。
「それじゃあ最後の質問だ、水に引き寄せられる人は居るかい?」
そう聞くと、皆が顔を見合わせる。
「水に引き寄せられるですかぁ?」
「うん、水の近くに行くと引っ張られる感覚とか、あーここに水あるなって感じは無い?」
そう聞くと何人かが手を挙げる。
「えっと……10人行かない位か……」
「少ないですかねぇ?」
「いや、大丈夫だと思う……よし! 今手を挙げた人以外は解散して大丈夫、集まってくれてありがとうね!」
そう言うと残りの幽霊たちが仕事に戻って行った。
「さて、私は適性が無さそうなのでぇ、かえりますぅ~それではぁ~」
そう言って老騎士のお爺ちゃんは帰って行った。
「さて……喋れる人居る?」
残りの人に聞いてみると女の子の幽霊が前に出て来た。
「はい! 私でしたら!」
1人でもいてくれた事にほっと息を吐いた。
「良かったぁ……それじゃあクロコ頼んだよ」
「はい!」
その言葉と共に俺達は予定地の丘へ転移した。
作者です。
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