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【第12回ネット小説大賞 受賞】【コミカライズ化決定】異世界から帰ったらこっちの世界にダンジョンがあるんだけど!?〜モテたいのでダンジョンで頑張ります〜【祝200万PV突破】  作者: ふぇありす
第6章【追放勇者編】

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プロローグ:召喚と追放と姉妹

「勇者カミナギ ユウキ、この無能な数値は何だ!! 貴様を追放する!!」


荘厳な大聖堂の中に響く声、そして周囲の皆の蔑むような視線。


普通の人なら委縮してしまうが。そんなものは、全くもって気にもならない。


「あ、はい。わかりました」


「「「「「へ?」」」」」


「なっ!? 追放だぞ追放!!」


なんかキラキラした、恐らく王様か司教かわからないけど偉そうな人が叫ぶ。


「わかってますよ? それに力が無いってんじゃ仕方ないですね」


「嫌にあきらめの良い奴だなお前……」


「だって、俺よりこっちの三人が強いんですよね? じゃあ任せるしか無いじゃないですか……」


「いやまぁ、それはそうなんだが……ともかく追放だぁああああああ!!」


そうして俺は大聖堂を追い出された。



◇◆◇◆◇◆◇◆

「さて……現状把握しようか……」


魔力は……ある。

身体強化とかは……使える。

鑑定や探知も……使える。

耀達の魔力は……感じる。

繋がりも……感じる。

転移は……駄目か。


【英雄色ヲ好厶】の能力で皆の存在や魔力は感じれるのだが、どうにも皆の元へ転移が出来ない。


「うーん……、数日は空間収納アイテムボックスに入れてた食事でどうにかなりそうだけど……問題はこの世界の貨幣についてだよなぁ……」


とりあえずポツンと立っているのもどうかと思うし、職業斡旋所とか無いかな?


眠ったタイミングだったからなぁ……耀達が異変に気付くまで数時間くらい、優羽には悪いけどもし早く起きてくれるならもっと早く事態は動くだろう。


そうしたら理映りえも動いてくれるだろうから少しの間だけ待てばいい……と思う。


少なくとも1週間を目途に行動しよう、その内に事態は動いてくれれば……。


――ドンッ。


「いでっ……」


横からぶつかろうとしてた子供を思わず避けてしまい倒れ込む。


「ゴメン、大丈夫かい?」


「——くっ……!!」


見ると衛生状態の悪そうな服に、伸びた赤い髪の毛、靴は履いて無く裸足だ。思わず助け起こした時に触れた腕は折れそうなくらい細い。


「クソッ!」


子供はそのまま踵を返し路地へ逃げ込んだ。


「…………はぁ……」


見捨てられねーよな……。


見知らぬ世界だが関係無い、俺はその子の後を付いて行った。


◇◆◇◆◇◆◇◆

それから5分程探索魔法を使いながら尾行をすると、あばら家の中に入って行った。


俺もその中に続いて入ると小さいながらも台所に水瓶、そして奥の部屋だろうか人の気配がする。


「ごめんよレナ……」


「ゴホッゴホッ……だいじょうぶだよぉ……おねえちゃん……」


聞こえてくるのは何やら訳ありっぽいが無視して入る。


「失礼するよ」


「なぁ!? お前さっきの!!」


ベッドで寝ているこの前に立ち両手を広げる女の子、なんかレッサーパンダみたいで可愛いな。


「事情は分からないけど、その子病気なんだよね?」


「え? あぁ! だからどうした!!」


「ちょっと、ごめんね」


「んなお前!! レナに何を!!!」


「『——鑑定』……これは酷い『——復元パーフェクトヒール』」


「!?!?!?」


恐らく貧困と病気、後は毒物によって内臓はズタズタだった。それを元の健康的な状態に復元していく。


「それと……水生成と、回復魔法ヒールを合わせて……」


ベッド寝込む子を抱き起こし水差しを口に当てる。


「少しづつで良いからね、ゆっくり飲んで……」


「——んくっ——んくっ——んくっ」


「あまり一気に飲み過ぎると駄目だから一旦休憩、少し眠って良いよ」


「…………はい」


そう言うとその子はすやすやと寝息を立てて眠りについた。


「……おい」


女の子の低い声に振り返ると思い切り斧を振りかぶった少女が居た。


「死ねえぇぇ!!」


「危ないなぁ……」


その手をそっと抑えて斧を回収する。


「放せっ!! 殺してやる!!」


「とりあえず落ち着いて、どうしたの?」


とにかく、暴れる少女を抑えると、息が切れてへたり込んでしまった。


「そうやって治療して……あたしらを売り飛ばすんだろ……」


「え?」


「だから! 以前来たあのクソ神官の様に!! 私達を売り飛ばすんだろ!!」


「いや、そんな事しないよ? というかそんな奴いるの?」


「うるさい黙れ! 知らんぷりする気か!!」


取り付く島もないというのは、まさにこういう状況だなぁと思いつつ。どうしたもんかと悩んでいると、急に女の子の力も抜け、苦しみ始めた。


「うぐぐっ……い、いだい……」


「『——鑑定』……毒かよ、ったく相当腐った奴だな……『——復元パーフェクトヒール』」


そうして治すと女の子も倒れ込んで来た、どうやら眠ってる様だ。


「体は治したけど……その内目を覚ますか……」


探知魔法で周囲の確認をしっつ待っていると幼子の方が目を覚ました。


うろうろと視線を彷徨わせると俺と目が合った。


「——ひっ……」


あ、これ不味い……泣かれる。


「ひえ……「そ、そうだ! お菓子食べるかい?」」


咄嗟にお菓子を空間収納アイテムボックスから出して見せると、泣き止んだ。


「……いいの?」


「あぁ、どれがいいかい?」


そう聞くと少し悩んで寒天ゼリーを指差した。


「これが良いです!」


「そうか、じゃあまずはこれを外して――」


それから寝込んでた女の子のレナちゃんが挨拶をしてくれた(綺麗なカーテシーを見せてくれた)。


お菓子を食べながら姉が起きるのを待っていると、どうやら目が覚めた様だ。


「んっ…… 私……!!」


「おねえちゃん!!」


「レナ!!」


抱き合ってるのをみてほっこりしていると姉の目つきが鋭くなった。


「この!!」


手近にあった水差しを投げつけてきた。


「よっと……」


投げられたそれをキャッチしてる隙に、お姉ちゃんがレナちゃんを抱いて外に逃げ出した。


「せめて、疑いを晴らせないかな……」


ぼやきながら後を追った。


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