第32話:記者会見①
それから皆で移動した先で合流してくれた神楽坂さん達と、大急ぎで身だしなみを整える、全員が砂埃やら返り血で汚れていたのでそれも綺麗に復元しながらとなる。
俺は一足先に準備を終え母さんと通話をしていた。
『それで、だいじょうぶだったの?』
「うん、大丈夫。みんな無事だし、総理大臣とか政府の人も無事だよ」
『そう、それなら良かったわ。それでね優希……いいニュースと、悪いニュースがあるんだけど……』
「え? 何いきなり……」
『まぁ、それでね先にどっちから聞きたい?』
「うーん、先に悪い方にしようかな……」
『わかったわ、悪いニュースはレコーダーがいっぱいになっちゃったのよ』
「え?」
『だ・か・ら! 優希達の戦ってるシーンがずっと流れててそれを高画質で録画してたらいっぱいになっちゃったのよ!』
「なんだ……もっと深刻なニュースかと思った……」
『十分深刻よ』
「うん、わかった。多分綿貫さんが居るはずだから向かってもらうよ」
『わかったわ、新しいの買ってきちゃうわね』
「おっけー。それで、いいニュースは?」
『優希達の行動が、世間に良い評価が出てるみたいなのよ。今もテレビで特番を組まれてるし』
「マジで?」
『大マジよ、つけて見なさい。それにしてもヘリコプターを真っ二つって。まるで映画を見ている様だったわ』
「そんなとこまで映ってたんだ……」
映ったテレビの画面には俺がヘリを叩ききってるシーンが写ってたり破壊された迎賓館映像が流れていた。
「こりゃ派手に壊れてるなぁ……」
『仕方ないわよ、ミサイル受けてたし』
「確かに……いや、よく無事だったな俺達……」
『流石にヒヤヒヤしたわね』
「ごめん、心配かけて」
『良いのよ、お嫁さんを守ったんでしょ? 褒めるこそすれ叱りはしないわ』
「母さん……」
『流石に、孫の顔見せないで死なれると困るから、早いとこ孫の顔見せてよ』
「母さん……流石にそれは、世間体の問題になりそうだしもう少し待ってね……」
『まぁともかく、無事で帰ってきなさい』
「わかった」
『あぁ、そうそうお父さんが凄く心配して電話してきたけどしなくて良いわよ、私がしとくから』
「えぇ……それは……」
『良いけど、今のお父さん滅茶苦茶暑苦しいわよ』
「わかった、お願い」
『はいはい、それじゃーね』
そうして母さんと通話を終えるとすぐさま綿貫さんに連絡して母さんの元へ行ってもらえる様にお願いした。
「ふぅ……」
時計を見るとそろそろ時間が近くなっていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
それから母さんから『買えた~』とメッセージアプリに届いた頃、準備し終えた皆と合流して控室で待っていると、時間が来たようで案内役の人に呼ばれ会場へ向かう。
「それでは、開始後に呼ばれましたらお入りください、それともしフラッシュを焚いた場合その記者のカメラは壊していただいて結構です」
なんか凄い事言われたぞ?
「え゛? 壊すんですか?」
「はい、フラッシュやストロボなどの撮影照明等は、事前のお約束通りにこちら側で預からせていただいてます、それと撮影時には焚かない様にご案内していますが、それでも守れない場合は機材の保証は出来ないとも……」
「でも大丈夫ですか? そんなことして……」
「はい、再三の注意をしていてそれでも、守らないのであれば仕方のない事です」
この人目がマジだ……
「わかりました、では遠慮なくやらせてもらいます」
案内役の人と話していると、司会の方が俺達を呼んだ。
案内され中に入ると、なんかやたら長い長机に一列で並べられた椅子が並んでいる。
シャッター音はするがカメラはあまり俺に向けられて居ない、殆どがエアリスやユフィ、そしてユキに向けられている。
そうして着席をすると、司会の人が進行を始める。
先ずは宮田総理が、最近のダンジョンにおける若年層(特に男性の)の死亡率の上昇、非公式的に無断で立ち入り犠牲者が増えている事への説明をする、次々にプロジェクターによって映されるグラフ等を渡された資料と共に記者たちが読み進めていく。
それから質疑応答の時間になり、記者達の質問へ答えていく
「それでは次に、日本でも導入される一夫多妻制度についてのご説明を、宮田総理お願いします」
そう言われて宮田総理が説明を開始する。
「今回導入される一夫多妻制ですが。原因となった点は複数あり先ず一つ目はダンジョンでの死亡者及び、重傷者の数が増えている点。二つ目が日本の断続的に続いている少子高齢化。三つめが異世界との文化的な違いについてです」




