13-7
「ウィーンさんは敵を引き付けておいてください」
「かしこまりました。ミカエル様、ご武運を」
ウィーンは頭を一つ下げると、恐竜へと果敢につっこんでいった。
「兵士の方は、動けなくなった人を救助し即座に離脱してください」
「はっ!」
兵士の人は負傷者や怯えて戦えなくなった人たちを集めてすかさずこの場所を離れていった。
すごい手際がいい……。
さすがはミカエル。
出来る……。
そしてあたしとエレナとミカエル以外居なくなったのを確認したエレナは、杖を持ったまま腕を組むと。
「で、何か作戦はあるのか? とても俺達の攻撃が効くとも思えんけどな」
ミカエルへそう問いかけた。
「ひとつだけなら……」
ミカエルがあたし達を呼び止めてまでする事って。
何だろう……?
「なんだ? ……って聞くまでもないな」
「はい」
「へ? 何であたしを見てるの……?」
ふたりともあたしをじーっと見ている。
いやいや、あたしじゃ無理だって!
そんな期待されても困るよ……。
「単刀直入に言います。ゆきさん、わたくしに百合バーストをかけてください」
あぁ、そっちの方だったのね!
確かに魔法力ナンバーワンのミカエルに百合バーストしたら、あの恐竜も倒せるかもしれないよね。
って、あれ?
「えっ、なんで百合バーストの事を?」
「わたくしの情報網を侮ってはいけませんよ。あなたの事はだいたい知っております」
い、いつのまに……。
こっそりつけてたとか?
いや、そうじゃあないよね。
ミカエルの父親って貴族の中でも有力者だから、商人ギルドであたしの本を売ってる事も、大聖堂での出来事も、知ろうと思えばいくらでも知り得るって事かな。
「作品、良いですね」
へ……?
…………。
…………。
えええええええ!!
ここでまさかの告白!!
こんな場所で?
こんな局面で??
う、うーん。
てかちゃっかり読んでるんかいっ!
「さあ、お願いします」
いやだから、そんなお願いされてかしこまられても。
はぁ……どうしよ。
エレナは……、めっちゃ期待の眼差しを向けている。
駄目だこりゃ、やるしかないみたい。
あたしはミカエルへとゆっくり近づいていき……。
そして彼女へと優しく抱きついた。
「…………」
「…………」
エレナはあたしと仲がよかったし、セフィリアはあたしに好感を示してくれていたから、すんなりと百合バースト出来るという確信はあった。
だから今までいがみ合っていたミカエルだと、上手く出来ないのではないかと考えていた。
だけど、不思議と嫌な気持ちじゃなかった。
「…………」
「…………」
うう、胸がどきどきしてきた。
ミカエルってすごい美人だし、お胸だってある。
香水つけているのか、いい匂いだってしてる。
こんな身分が高くて、高貴な人に抱きついているなんて……。
「……ねえ、どんな気持ち?」
「不思議な感覚ですね。ですが悪くはありません」
意外と乗り気だったよ……。
さては、あたしの本を読んだからかな?
「…………」
「……それで、ここからどうすると?」
「えっ?」
「わたくしの魔法力に何らかの反応はありません。百合バーストはまだなのでしょう?」
あれ、そこまでは知らないのかな。
「う、うーんと」
「キスだよ! ちゅーってな!」
うわ、ちょ、ちょっと!!
エレナ何を言ってるの!!!
しかもなんでそんな乗り気。
そんなん言ったら、ミカエル絶対に嫌がるじゃん……。
作戦壊したい……の?




