10-7
「ちょ、ちょっとエレナ!」
「んな大きい声出すなよ。開いただけだろ」
「何やったの!」
「何って、押しただけだぞ?」
それってじゃあ、もしかして立札があるだけで鍵がかかっていなかったって事……?
うそでしょ!
そんな事ってある……?
「押しただけだ。だろ?」
いやだって、今まで開きそうな気配が……って。
あーーー!
なんか鍵壊れてるし!!
……エレナやったね。絶対やったね?
さっきまで何ともなかったもん。
「あらあら、それなら仕方ないですわね」
「だろ? さ、いこうぜ」
えっ。
ちょ、ちょっと!
セフィリアもあらあら言うだけでそのままついてくし……。
うーん、この二人……できる。
待ってよー!
そう思いつつ、あたしは一つ大きなため息をついた後、二人の後を追って扉の奥へと入っていった。
学園内、謎の間取り内にて。
「…………」
「…………」
扉の奥へと入ってすぐに下り階段があって、今それを降りている……んだけども。
「……長いね」
「ああ」
かなり降りているはずだけど、まるでゴールが見えない。
「……どのくらいかかるのかな」
「さあな」
壁には魔法の力なのか、青白い光が点々とあって周囲をほんのり照らしてくれている。
だから真っ暗で何にも見えないって事はない。
けど、先まで見通せるかと言われると、それほど明るくはない。
「セフィリア、大丈夫?」
「はい。こういう場所は初めてでちょっと緊張しますね」
本人はそう言ってるけど、いたってマイペースだ。
見た目とか仕草は深窓のお嬢様って感じだし、事実そうなんだろうけども。
意外と肝が据わってというか、頼もしいというか……。
「お、階段が終わったぞ」
いろいろ考えているうちに、下り階段の終点にたどり着いた。
随分降りたなぁ、入り口の方が見えないや。
それで、何かあるのかな……。
そう思いつつ、周囲を見回した。
「うーむ、行き止まりか? 何もないな」
「みたいですね」
天井が高くって、壁についている明かりもどこか弱弱しくって。
少しカビくさいし、湿った感じがするけど。
うーん、特に何もないよね……。
「叩いても何もねえ……」
「魔法力も感じません。結界や魔法で先の道を隠しているとも思えないですね」
「じゃあここって結局なんだったんだろう?」
「まー、大方は避難場所か、建てる時に使った資材置き場とかだろうな」
「うーん」
なるほど、そういう事かなぁ……。
立ち入り禁止にしてるのも、暗いし階段から落ちたら危ないからかも。
ちょっと何かありそうな感じがしてドキドキしたけど、意外と何もなかったね。
「そういえばゆき、その手袋はなんだ?」
「え? ああ、これ学園長に貰ったんだ」
「へー」
そっか、あたしこの手袋の事ふたりに話していなかったや。
別に口止めされてないし、別に言ってもよかったよね?
あーあ、それにしても残念だなぁ。
勇者の力って結局なんだったんだろうねえ。
そう思いつつ、手袋をした手で壁を触ると……。




