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それから学園長やエレナ、商人ギルドの人たちと力をあわせて、騒ぎになりそうだった人々の群れを再び整列させる。
「はい、どうぞ」
折角来たのであたしは自ら売り子をする事にした。
あたしが描いた本を、買ってくれる人へ直接手渡しする。
「ありがとうございます。ありがとうございます……」
買った人は、本を大事そうに抱えて頭を何度も下げてお礼を告げて帰っていく。
あたしはただ自分が好きな本を描いただけなのに、ここまで感謝されるなんて不思議な気持ち。
そう思いながらもあたしは売り子を続けていき……。
本は半日かけて欲しい人達の手へ全て生き渡らせる事が出来た。
「いやー、ゆきさん。本当に助かりました」
商人ギルドのおばさんはとても笑顔だった。
用意していた部数もほぼすべて売れたみたいだからね。
「また、次回作も期待していますよ」
「はい!」
前世じゃどんだけ作ったって、空気だったのに。
ここじゃこうやって求められているんだもんなぁ。
こんな気持ち、初めてだよ。
「さて、私たちも戻りましょうか」
「はーい」
「おう!」
撤収作業も終えたあたし達は、今回協力してくれた商人ギルドの人たちに一通り挨拶した後、学園へ戻った。
その道中にて。
「ゆきさん」
「はい?」
「今のお気持ちはどうですか?」
「うれしい……です」
ほんと、その言葉に尽きるよ。
胸があったかくて、なんか涙出そうだよ。
「それなら良かった」
最初は襲われかけたりして、なんなのこの人って思ってたけど。
学園長が居なかったら、異世界転生してもこんな機会に巡り合えなかったんだよなぁ……。
「ここへ来たばかりのあなたは、どこか周りを気にしすぎて自分を見失っていたような感じがしましたからね」
あとエレナにも感謝だよ。
あたしの絵を描く本当の理由、本当の気持ちも気づかせてくれた。
ありがとう。本当にありがとう。
「本当のあなたを見れましたよ」
「何言ってんだ学園長」
「年よりの戯言ですよ。うふふ」
あたしは胸の中がほっこり温かいまま、学園への帰路へついた。
よーし、次回作も描くぞー!




