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さらにそれから数日後。
学園長の執務室にて。
「ふむふむ……」
「ど、どうでしょう?」
あたしが頑張って描いた絵たちが見られている。
前のような結果にならなければいいけども……。
どきどき。
「とても素晴らしいです。恥じらいながらも禁断の恋に焦がれ、故に離れようとするいじらしさ、だけど最後は結ばれて……」
学園長の顔が明るい。
これはやったね!
手応えあったね!
よ、よかった……。
「よくこの短期間で仕上げましたね」
いやほんとだよ。
最初はイラスト集でもいいって話だったけど、意外と描けそうだったから漫画にしてみて、そうするとスケジュールぎりぎりで。
例の事件以外、最低限の授業だけで何も起きなかったのが大きかった。
時間結構作れたからなぁ。
「お疲れ様でした。実際に売る準備が出来るまでもうしばらくかかるとの事なので、いつも通り魔法少女の勉強に励んでください」
ここから製本するんだっけかな。
あれ、この世界の製本ってどうするんだろ。
というか、コピー機なんてないよね…?
魔法でどうにかするんかな?
「ところで」
「うん?」
「3人目は見つかりましたか?」
「さんにんめ……?」
「おや、授業でもお伝えしたはずですよ。次の試験は支援役を入れて3人で実施すると」
え、そんなこと言ってたっけ……?
やば、なんも決めてないよ。
「そもそも3人に満たない場合は即失格、退学なので気をつけてくださいね」
ひええ、今すぐ探さなきゃ!
「失礼します!」
いてもたってもいられなくなったあたしは、執務室を慌てて出た。
MA学園内、通路にて。
「あ、エレナー!」
人選の参考にするべく、フロリアンナ先生を探していた時。
歩いていたエレナに出会った。
「なんだ、ゆきか」
「久しぶりだねー! ずっと会わないし話してくれないから心配しちゃったよ!」
「あ? あ、あぁ……」
あの事件以来、あたしとエレナは大して会話もしなかった。
エレナから率先して話しかけてくれることもなくなったし、あたしが話しかけても歯切れが悪い返事をするだけだった。
今みたいにね……。
「もしかして、あたしの事きらいに……?」
やっぱり、あの戦いであたしがあんな事しちゃったからかな。
うう、なんだろうこの気持ち。
すごく苦しい、嫌な感じ……。
「はぁ!? べ、別にそんなんじゃねえよ」
エレナはいつもよりも甲高い声を出すと、もじもじしして否定してくれた。
もしかして、ただ恥ずかしかっただけなのかな?
今だってめっちゃ赤くなってる。
ふふふ、かわいいなぁ。
「んなことよりも、次の試験どうする」
もうちょっと照れているエレナを見たかったけども……。
今はそれどころじゃないよね。
「3人目だよね」
「そうだな。誰をドラフトするか……」
んん?
なんか新しい単語が出てきたぞ……?
ドラフト……、ドラフトって……。
「野球かな……?」
「やきゅう?? なんじゃそりゃ」
やっぱ違うよね。
じゃあなんだろドラフトって。
「3人目は俺らが選ぶ、支援役の奴も入りたい所を選ぶ、そういう選び方って説明あっただろ?」
「え? う、うん」
「さては聞いてないな? しょーがないなー」
授業で言ってたっけかな?
絵を仕上げる事ばかり考えていて聞き漏らした……?
やっちゃったなー……。
「俺と組むだろ?」
「えっ」
「……嫌か?」
「ええっ! そんなことななないよよよ!!」
「相変わらず変な奴だな。なら一緒に3人目決めようぜ」
「うん!」
こうしてあたしとエレナは、3人目の仲間を探すべく資料がある部屋へと向かった。
その道中であたしは、横に並んで歩くエレナの手を握ろうと試みた。
けど、やっぱり照れくさくなったのでしなかった。
傍から見たら……、怪しかったと思う。




