7-2
リゼットはつまらなさそうな表情をすると、円形闘技場から出ようと背を向けた。
「……いいのか? ここで去れば今後一切の援助はしないぞ?」
「…………」
だけど、ミカエルの父親の一言によって足を止めてしまう。
「誰からの援助も受けられず、一人惨めに闇へ飲みこまれるのは辛いぞ?」
「ふーん……」
そしてリゼットは、怪訝そうな顔をしたままミカエルの父親の方を見つめながら……。
「やる」
嫌々そう告げた。
「任せたぞ」
「というわけでごめんね。あなた達に恨みはないけど、さっとやっつけるから大人しくしてて」
結局やるんだ……。
あれだけ言ってたからちょっとは期待したのに。
援助ってなんだろう。
魔法少女ってパトロンでもつけないといけないのかな?
「そんな顔しないで。あなた達だって悪いのよ。お偉いさんの愛娘を医務室送りにしたんだから」
「あ? んなもん知るかよ」
「世の中そういうものよ。そんなのも分からないんじゃあ、魔法少女になって闇に殺される前に、人間に殺されるわね」
言い方は気に入らないけども、間違っては無いかもしれない。
名家の娘であるミカエルに怪我させてしまった。
その結果、理不尽な報復を受けているわけで。
で、でも!
じゃあ試験でわざと負けろってことなの?
あんだけ散々コケにされて、ヘラヘラ頭下げてろって?
そんなの間違ってるよ!!
……とまぁ、あたしの思いはさておき。
「あ、あの学園長。あの人そんなにすごいんですか?」
「……かつて学園内成績第2位で卒業し、魔法少女になってからはダークハンターの異名を持つくらい強い子です」
ひえ、それってめっちゃ強いって事じゃん!
学園長が慌てている理由が分かった気がする……。
「さあ、いくわよ」
それでも!
このまま無意味にかつ一方的にやられてたまるか!!
リゼットは片手をこちらへかざす。
すると、彼女の手の平から火の玉と氷の玉が発射され、それらをあたしとエレナめがけて飛ばしてきた。
「エレナ! あたしが攻撃を防ぐから、その隙に攻撃を!」
「おう! まかせとけ!」
あたしの特技は魔法防御!
魔法力30万の攻撃は無理だったから、現役魔法少女の攻撃も防げるか分からないけども!
でも今はお願い防いで!!
そのあたしの願いは叶い、リゼットの放った二種類の魔法玉はあたしに当たると粉々に消えてなくなってしまう。
もちろんあたしは痛くないし、怪我どころか制服すら傷ついていない。
「ど、どうだ!」
とりあえず強がってはみたけれど。
これってどうみても……けん制だよね?
魔法少女がこんなもんじゃないよねたぶん。
「へえ、やるじゃない」
リゼットの口角が少しあがったのが気になるけれども、今はエレナの魔法準備のための時間を稼がないと……。
「おい! 何手を抜いている! 真面目にやらんか!」
「うるさい、外野は黙ってて。はぁ……、仕方ないわね」
リゼットはため息を大きくつき、手のひらをあたし達の方……ではなく空中へ向けた。
いったい、何をしようとしているの……?




