【お気に入り100突破記念番外編】「幸せな朝と、魔王の横やり」
アルファポリスに投稿している『私はただのブスだったはずなのに、異世界では「天使様」と呼ばれてます』が、おかげさまでお気に入り100人を突破しました✨
完結済の作品ですが、今も読んでくださる方がいて、本当に嬉しいです。
感謝の気持ちを込めて、アースファルトとカナコの“ちょっとだけ幸せな朝”をお届けします。
(最後はやっぱりあの人に邪魔されますが……笑)
目を覚ますと、隣には私の大切な人――アースファルトさんが静かに眠っていた。
その端正な顔立ちは、異世界の基準では「不細工」と呼ばれていたけれど、私にはとても優しく、頼もしく、そして誰よりも素敵に見える。
「……おはようございます、カナコ」
低い声が耳をくすぐった。
彼はすでに起きていたらしく、私がもぞもぞと動いた瞬間に目を開けて微笑んでくれた。
「アースファルトさん、おはよう。もう起きてたんだ」
「はい。……隣で眠るあなたが、あまりに可愛くて。見惚れていました」
「……っ!?」
不意打ちに顔が熱くなる。
昔は、自分の容姿に自信なんてなくて、口説くなんて絶対にできなかったはずの彼が――今はこんなにも堂々と甘い言葉をくれる。
「魔王を討ち倒せたのも、私が今こうして笑っていられるのも……全部、カナコのおかげです」
「そ、そんな……私は何も……」
「いえ。あなたが信じてくれたから、私は強くなれた。だから今度は――私が、あなたを甘やかす番です」
ぐいっと抱き寄せられて、思わず胸に顔を埋めた。
彼の鼓動が、どくんどくんと規則正しく響いてくる。
「カナコ。愛しています。何度でも言わせてください。あなたは――」
その瞬間。
「……朝から騒がしい。甘ったるい匂いで魔王城まで漂ってきそうだ」
ぞくり、と背筋に冷気が走った。
気配なく窓辺に現れたのは、漆黒の外套をまとった魔王――ヴィルゼルだった。
「ヴィ、ヴィルゼル!? な、なんでここに……」
「詩の題材を探していたら、目障りな光景に出くわしただけだ」
「め、目障りって!」
アースファルトさんは小さく咳払いをして私を庇うように立ち上がった。
「……邪魔しないでいただけますか。今は、私とカナコの大切な時間なので」
一瞬、部屋の空気が張り詰めた。
だがヴィルゼルはふっと口の端を上げ、外套を翻す。
「……せいぜい今のうちに口説くがいい。永遠に続くとは思うなよ」
そう言い残し、影のように掻き消えた。
残された私とアースファルトさんは、顔を見合わせて思わず苦笑する。
「……まったく、どこまでお邪魔なんですか、あの方は」
「う、うん……でも、アースファルトさんの言葉、ちゃんと聞けて嬉しかったよ」
彼は照れながらも私の手を握り、そっと唇を寄せた。
「……何があっても、あなたを愛しています。邪魔されても、何度でも伝えますから」
その真っ直ぐな瞳に、私は胸がいっぱいになって頷いた。
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ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
アルファポリスでのお気に入り100突破を記念しての番外編です。
完結後の二人のちょっと幸せな日常を楽しんでいただけたら嬉しいです。
また、新作『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!?〜ルミエール様の気まぐれ〜』も連載中です。
天使様でおなじみ(?)のルミエール様も登場しますので、ぜひこちらもよろしくお願いします!




