番外編③『天使様、帰省します。〜異世界男子を引き連れて〜』:こっちに残る……って、選択肢も?
こんにちは、作者の透子です。
今日は、番外編第3話をお届けします!
現代に一時帰国したカナコと異世界イケメンたち。
噂が広まりまくって、ついに芸能界の目にも止まってしまい……⁉︎
「本当に平穏な日常は戻ってくるのか!?」な展開です(笑)
今回も、騎士・魔王・書記官が(勝手に)大暴れします。
ちょっと胸キュンも増量中ですので、楽しんでいただけたら嬉しいです!
現代に戻って、三日目。
アースファルトさんたち――異世界の超絶イケメン3人衆の存在は、あっという間に広まった。
街を歩けば、すれ違う人が二度見三度見。
高校の女子たちのスマホには「#謎の外国人イケメン」「#王子様降臨」なんてタグが並び、SNSには無断撮影された彼らの写真が拡散されていた。
そして今日――とうとう芸能事務所やモデル事務所の人たちが、我が家や学校にまで押し寄せてきた。
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「やだ……ついに来た……」
私は玄関のドア越しに、スーツ姿の関係者っぽい人々を見て肩を落とした。
「お嬢さん、この3人、スカウトさせてもらえませんか!? 世界デビュー、夢じゃないですよ!」
「彼らを主演にしたドラマ企画、もう社内会議通しました! 一度お話だけでも!」
まさか異世界帰りの私の実家が、芸能バトルの最前線になるなんて、誰が予想しただろう。
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ちなみに当の本人たちは――というと。
「興味ないんで、お引き取り願います」
「主の命令がない限り、我々は動きません」
「主……私です……」
3人とも、まったく動じる気配なし。
アースファルトさんは冷静にすべてをお断りし、ヴィルゼルは優雅に紅茶を飲み、セレヴィスさんに至っては、名刺を受け取ったあとその場で破いていた。
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私はというと――
……正直、ちょっと疲れていた。
人目を気にして外を歩くこともままならず、学校では質問攻め。
「カナコって一体何者?」「マジで付き合ってんの?」なんて噂も立ち始めていた。
私の人生、どうしてこうなった。
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そんなときだった。
夜、リビングのソファで沈んでいる私に、アースファルトさんが近づいてきて、優しく言った。
「カナコ様……そろそろ、王国に帰りましょうか。聖女様がよろしければ、ですが」
その声に、私は顔を上げた。
だけど――
ふと思ってしまったのだ。
(……でも、もしかして)
この世界に残れば、彼らは“もっと”幸せになれるんじゃないかと。
あの王国はもう平和で、美醜の差別もない。だからこそ、彼らにとってはもう「義務」ではなく「選択」ができるはず。
そして、現代での彼らは間違いなくスターだ。
人に囲まれて、愛されて、成功して――
私なんかがそばにいるより、よっぽど幸せになれるかもしれない。
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「……ねぇ、アースファルトさん」
私は恐る恐る口を開いた。
「こっちに残りたい? もし残れば、アースファルトさんたち、もっと人気者になるよ。きっと、私みたいな子にたくさん……キャーキャー言われて、幸せに――」
「――それ以上は、言わないでください」
彼の手が、そっと私の唇の前に伸ばされ、静かに制した。
次の瞬間、彼は膝をつき、騎士の礼をとった。
そして――まっすぐな眼差しで、私を見つめながら言った。
「私は、あなたが良いのです。カナコ様。
生まれ変わっても、あなたを探して、またそばにいたい。
あなたが許してくださるなら、どこまでも、どこまでも――」
その言葉に、私の心臓は大きく脈打った。
顔が熱い。息が苦しい。何これ、ドラマか何か!?
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追い打ちをかけるように、隣にいたヴィルゼルが私の手を取り、さらりとキスを落とした。
「僕だって……君以外の人間に興味なんてないよ」
「えっ……」
「魔族だから、何千年も生きるけどさ。
カナコが死ぬまで、ずっとそばにいるつもりだよ。
それに、生まれ変わっても、ちゃんとまた探し出すから」
ニヤリと微笑むその表情に、頭が真っ白になる。
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遠くで、セレヴィスさんの声がした。
「私は主についていきますので、はい」
その声を最後に、私は――
バタリと音を立てて、その場で気を失った。
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そして翌朝。
目を覚ました私は、全てを思い出して――深く深呼吸した。
「……私、やっぱり、帰る」
異世界へ、みんなと一緒に。
そう言うと、アースファルトさんは静かに微笑み、ヴィルゼルは満足げに頷き、セレヴィスさんは新しい旅程表を出してきた。
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両親はかなり寂しがっていたけれど、
「定期的に帰ってくるから! Wi-Fiもあるし!」
と伝えると、しぶしぶだけど、笑って送り出してくれた。
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さあ、再び扉は開かれる。
“天使様”、異世界へ帰還です!
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ここまで読んでくださってありがとうございます!
カナコにとっては波乱の一時帰国になりましたが……
ついに「帰還」を決意することになります。
アースファルトさんの不意打ちプロポーズ(?)や、
ヴィルゼルの破壊力あるセリフなど、書いていて私もクラクラしました(笑)
今後、異世界での“新しい日常”も少しずつ描けたらいいなと思っています。
よろしければ感想・リアクション・ブクマなどお待ちしております✨
次回もお楽しみに!




