「五将星、襲来」
五将星、王都に襲来──!
最強クラスの魔族がついに動き出す中、カナコたちはどう立ち向かうのか…!?
シリアスな戦闘の合間に、ちょいちょい挟まれる恋の火花とカオスな掛け合いもお楽しみください。
そろそろ最終章が近づいてきた感があります(が、まだ終わりません)。
そして――その日は、突然訪れた。
王都の空が、黒く染まる。
瘴気ではない。
それは、“意志”を持った暗黒だった。
漆黒の雲を突き破って現れたのは、五つの異形の存在。
《魔王直属・五将星》――
それぞれが一国を滅ぼす力を持つ、魔王軍の最上位戦力。
彼らは、無言のまま王都に降り立った。
第一の将・【雷轟のレグラッド】
第二の将・【氷殻のメルヴィーナ】
第三の将・【獄焔のゾマル】
第四の将・【幻影のフェルナルト】
第五の将・【重牙のバルドラン】
その気配だけで、兵たちは立っていられなくなる。
だが――
「……来たか」
カナコは一歩、前に出た。
その背にはアースファルト。
その隣にはヴィルゼルと、セレヴィス。
「さてと。じゃあ本気出しちゃおうかな」
ヴィルゼルが余裕の笑みを浮かべ、軽く両手を伸ばす。
「ふざけるな。ここが踏ん張りどころだ」
アースファルトが鋭い目を向ける。
「……ああ、カナコが傷つくのは嫌だしね」
「なっ……///」
不意の言葉にカナコは目を見開き、そして顔を真っ赤に染めた。
「な、なんで今そういうこと言うの!? 空気読んでよ!!」
「え? 空気は読めるけど、あえて無視したほうが面白いじゃん?」
「ああもうっ! 魔王軍より厄介だよ君は!!」
「……主らしい戦法ですね」
セレヴィスはうんうんとメモを取りながら頷いた。
「いま何メモした!? 書かないでよっ!?」
王都の兵士たちがビリビリと震える中、
前線では相変わらずの空気が漂っていた。
しかしその直後――戦いが始まった。
──
その戦いは、想像を遥かに超えるものだった。
五将星は、それぞれが異なる能力と戦術を持ち、
王都の守備隊を次々に突破していく。
アースファルトは【重牙のバルドラン】と激しい剣撃を交わし、
「さっさと倒れてくれ……!」と息を切らす。
ヴィルゼルは【幻影のフェルナルト】との魔力の読み合いで、ニヤニヤ笑いながらつぶやく。
「うん、やっぱりこういう相手はイイね。燃える」
「……戦闘中に“楽しい”とか言うのやめろ!集中しろ!!」
「だって君が隣で必死だから、ちょっとだけ楽しくなっちゃって」
「今黙って!!!」
セレヴィスはその後方で的確に弱点を狙い、
支援しながらカナコの様子に目を向ける。
「聖女様、これ以上は……!」
「やっぱり、こうなるんだ……」
息を切らしながら、カナコは拳を握った。
力が足りない。覚悟も、足りない。
(このままじゃ……誰も守れない!)
その瞬間――彼女の身体が光に包まれる。
――鼓動が、高鳴る。
「……これは……!」
眩い光が全身から放たれ、
彼女の髪は風に舞い、瞳は深く澄んだ銀へと変わる。
「“神性”が……解放されている……?」
セレヴィスが震える声でつぶやいた。
「ちょ……なんか今すっごい美人になってる!? 髪さらっさら!?」 ヴィルゼルが思わず見惚れたように声を上げる。
「え、ま、まって、そんなに見ないで!?///」
「心配ない。記録は残しておいた」
「やめてぇぇぇぇ!!!」
だがその光は、確実に状況を変えていた。
五将星の瘴気は、カナコの放つ光に焼き払われ、
彼らはわずかに、だが確実に怯んでいた。
「……終わらせる」
その言葉と同時に、彼女の光が弾けた。
──
結果、激戦の末――
王都襲撃に現れた《五将星》は、全滅。
ある者は浄化により霧散し、ある者は魔力を吸い尽くされて崩れ落ちた。
王都は――守られた。
だが、皆が知っていた。
(……これで、終わりじゃない)
――残るは、魔王アザルグレインただ一人。
五将星すら操っていた真の黒幕。
その力は、次元を超えているとすら噂される。
風が吹き抜ける戦場に、カナコは静かに立った。
「もう……逃げない。立ち向かう、最後まで」
その横顔に、アースファルトもヴィルゼルも、無言で頷いた。
その眼差しは、戦いの先にある“未来”を見据えていた。
──次回、『魔王との対峙』へ。
読んでくださってありがとうございます!
「ついに来たか、五将星編!」という感じの今回でしたが、
いかがでしたか?
真剣勝負の中でも、ヴィルゼルの安定のふざけっぷりや、
カナコの照れまくり具合が少しでも笑ってもらえたら嬉しいです。
とはいえ、五将星を倒したことで、次はいよいよ……!
物語もクライマックス目前、盛り上がってきました!
よろしければ感想や応援コメントなど、お待ちしてます✨
次回も、ぜひお楽しみに!




