【聖女様、まさかの修羅場!?冷笑令嬢と騎士の誇り】
療養中のカナコの元に現れたのは、かつて一悶着あった宰相令嬢・リーディア。
思わせぶりな態度で接してくる彼女に、アースファルトが静かに立ちふさがる――。
冷笑と誤解、そして守るという決意。
それぞれの立場と想いがすれ違う中、カナコの胸に灯るのは、何の感情……?
「まあ。ずいぶん……仲がよろしいようで」
リーディアは冷笑を浮かべながら、私とアースファルトさんを見下ろすように言った。
「しかし、そのように婚約者でもない男性と親密なのは、少々ふしだらではありませんか?……ご無礼をお許しくださいませ。これも聖女様のご名声のため。ご理解いただけると幸いですわ」
「な、なっ……!」
カァァァァ……っと、顔から耳まで真っ赤になった。
「そ、そんなつもりじゃ――っ!!」
言いかけた私の前に、アースファルトさんがすっと立ちふさがった。
「ご令嬢は、何か誤解なさっておいでのようですね」
その声は静かで、けれど一分の揺らぎもない強さがあった。
「私のような者が、聖女様と親しいなど、ありえません。……聖女様はまだお疲れです。ご用件がないのであれば、お引き取り願います」
「……」
リーディアの顔が、見る間に不快さに歪んだ。
「そうですね。貴方のような――無礼で恐ろしい方と、そのようなわけはありませんものね。申し訳ありませんでした。……先ほど、王子がいらしていたとか。もうお帰りになられたのなら、私の用も終わりましたわ」
そう言い残すと、リーディアはくるりと踵を返し、音もなく部屋を後にした。
「……」
あまりに失礼な物言いに、私はぶすっと頬を膨らませた。
ぷんすかぷんすか。
だけど、ふと視線を向けた先――アースファルトさんと目が合った。
彼は、どこか寂しげに微笑んでいた。
まるで、それが当然だとでも言うように。
「アースファルトさん……?」
思わず、その名を呼んだ。
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ここまで読んでくださってありがとうございます!
今回はちょっとピリッとしたお嬢様キャラ・リーディアさん登場回でした。
アースファルトの誇りと、カナコを守る姿勢……どうか皆さんに届きますように。
そろそろ、あの人物も登場するかも……?
次回もぜひお楽しみに!
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