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「聖女様、初仕事でボス戦です!?」

森に巣食う瘴気を祓うため、いよいよ王宮の外へ。

聖女としての“初任務”は、まさかのチート無双スタート!?

だけど――その平穏は、黒き巨獣の咆哮によって破られた。


命の危機に、現れたのは……

あの赤い瞳の“最凶ストーカー”!?

(※ご本人に悪気はありません)

それから数日――。


王宮内では、私を中心とした浄化活動部隊が正式に組織されることになった。アースファルトさんを筆頭に、屈強な騎士たちがずらりと揃ったその姿は、なんというか……頼もしさ満点だけど、ちょっとやりすぎ感も否めない。


「ねぇ、ちょっと多くない?」 「万が一があっては困りますので」


はい、アースファルトさんのその一言で、すべてが正当化された。


そして、いよいよ外へ出る日がやってきた。 私が最初に転移してきた、あの見知らぬ森――通称“聖女降臨の森”(勝手に名付けられたらしい)へ、再び足を踏み入れることになった。


「さあ、いくぞ!」


気合い充分な騎士団の皆さんを背に、私は一歩前に出た。


そこは、見覚えのある景色だった。パジャマ姿で泣きながらウロウロしてたあの時とは違い、今の私は“聖女様”だ。ちゃんと靴も履いてるし!


森には、小型の魔獣があちこちに潜んでいた。見つけるたびに私は、右手を掲げて、


「浄化っ!」


シュイイィィィン……ッ!


光の波動が放たれ、魔獣は一瞬で光の粒になって消えた。


「おお……!」 「すごい……!」 「これが、聖女様の力か……!」


騎士団、盛大にざわつく。


もうね、気持ちいいくらい敵が吹き飛ぶの。 魔獣の数は多かったけど、私の魔力は一向に尽きる気配がない。完全にチート枠だ。


「あはは、あれ? 私強すぎでは?」


なんてちょっと調子に乗ってたけど、さすがに数十体も相手にしたあたりで、少し足が重くなってきた。


そこへ、アースファルトさんが私の隣にそっと歩み寄ってきて、静かに声をかけた。


「……あまり、ご無理なさらずに。お疲れではありませんか?」


「いえ、大丈夫です! 魔力切れの気配もないし、体力には自信あるので!」


ニコッと笑い返すと、アースファルトさんはほんの少し眉を下げて、真剣な目で私を見つめた。


「ですが、夜になると魔獣たちの瘴気は濃くなり、強さも増します。今日の分は、もう十分。無理をして倒れるほうが問題です。どうか……ご自愛ください」


うぅ、そんな真顔で心配されると、逆らえない……。


「わかりました。では、今日はここまでにしましょう」


そう言って振り返ったそのとき――。


「……ゔゔゥゥゥゥッッ……!!!」


森の奥から、腹の底に響くような低く重たい唸り声が聞こえた。


――来る!


それは明らかに、今までとは格が違う。肌を刺すような瘴気。空気が一変した。騎士たちの表情も一瞬で緊張に染まる。


「……構えろッ!」


アースファルトさんの号令とともに、騎士団が剣を抜いた。


私も思わず息を呑む。


ざわり、と森の木々が揺れる。 次の瞬間、巨体の魔獣が木々をなぎ倒して現れた!


――異形の黒狼こくろう。全身を漆黒の瘴気に包み、赤い目がぎらぎらと光っている。


「これは……Sランク魔獣、〈夜哭く牙〉……!」


騎士の一人が名を叫んだと同時に、緊張が一気に広がる。


私の初仕事、終わりかけだったのに――

まさかのボス戦、開幕!



---


読んでくださりありがとうございます!

今回は、ついに聖女としての初仕事回!

チート無双の気持ちよさと、緊迫のボス戦開幕をお届けしました。


そしてそして……

あの男が、再登場します。

次回、ついに!あの人が!かっこよく登場します!!


お楽しみに〜

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