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99話 極秘


 転移魔術は希少であり、行使できる存在がいるだけで戦争の状勢を大きく一変させるほどといわれている。敵陣ど真ん中に極大魔術を放つこともでき、暗殺者を遠方の国に瞬きのうちに送り込むことも可能だ。


 ゆえに転移魔術は重宝され、シバにも担い手と、術陣が存在する。これは、国最大の切札の一つとして秘匿され、存在を知る者は内部のみで所在を知る者はさらに少ない。


「へぇ〜……これが転移魔術陣なんだ」

「そうよ、邪神を討つときにも使ったと言われているわ」


 物珍しげに眺める吟遊詩人に、全身白甲冑の騎士。

 彼女たちは魔術陣の前で楽しそうに会話していた。


「……なぜ、君達がいるのですか?」


 嘆息気味に黒のロープをまとう剣士が目を細めた。


「エンジェから言われたのよ」

「うん、王妃様と婚約(・・・・・・)なんてやるね」


 エンジェは今、シバを統率する女王となっている。


 商才は残念なことに皆無だったが、ロベリア家の大きな後押しもあって大改革を押し進めることができた。これは女王エンジェの熱意たってことでもあり、冒険者だった頃と見違えるほどに絶大なカリスマ性を身につけていたのである。


「……まぁ、良いでしょう。断る理由もありませんし、なんなら心強いくらいです」

「なによ、鼻につく言い方しなくてもいいでしょ。素直に『ありがとう』くらい言いなさいよ」


 ふん、とエリーは腕を組みながらそう言った。

 少し不安そうな表情を浮かべつつ、感謝を述べる。


「……ありがとうございます」


 あの顔は、本当は来てほしくはないのだろう。


「ダイアナ、体は大丈夫ですか?」

「ううん、大丈夫だよ」


 元々限られた命だ。残りの時はアベルの行く先を見届ける。彼が、どう生き、どう考えたのか、見届ける。それが残され命の使い道だと決めたのだから。


「そうですか。くれぐれも無理はしないでくださいね」


 と、彼は術陣の上に立ち、魔力を注ぎ込む。

 これほどの術陣を起動するなど容易ではない。


「時間はかかりますが、すぐに済みます。行くのでしたら陣内に乗ってください」


 乗り込むと、術陣が浮かび上がる。

 構築されていく光が自分たちを包む。


「うわあ、これって大魔術なんじゃ………?」

「そうですね。この規模と距離となると確かに該当しますね」


 本当に膨大な魔力。人間に内包できる魔力量ではない。本来ならば複数人数で起動するものだろう。

 これは妖精……いや、精霊級だ。


「魔力は……大丈夫なの?」

「空中の魔素を取り込んで構築しているので問題ないです。とはいえ、適性がないと体が破裂してしまうのですが」


 さーっ、と青ざめるダイアナだ。

 その様子に小さく笑いながらクエストについて説明する。


「さて、今回はエンジェの許可ももらっています。今回の主目的は捜索……アルマ大陸で行方をくらました《勇者》を見つけることです」

「アルマ大陸って……とんでもなく広大なんでしょ。どうやって見つけるのよ?」

「ゆかりの地から探ってみますが、《勇者》ほどの者を捕らえるとなると敵は限られてくるでしょう」


 そこで、エリーは気づいた。


「………【魔王】」

「ええ、名目では捜索となっていますが、事態によっては《勇者》の救出もします」


 こともなさげに言うが【魔王】は天災そのものといわれ、人間ヒュームひとりが刃向える存在ではない。


 それを、視野に入れているということは……


「ダイアナ、何か分からないことでもありましたか」

「う、ううん、大丈夫!それで、これからどこに向かうの?」


 魔術陣が白く輝き、転移が発動する。


「──アステル村。勇者召喚に成功した集落です」

読んでくださりありがとうございます。

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