表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/169

 間話 観る者


 古びた長机に老婆がごとき老人と、武骨な四本の腕を組む女戦士が一堂に会する。そして、真ん中に水晶に『ある映像』が映し出されていた。


「……やはり奪われていたのう」

「ああ、間違いねェ……【色欲ルクス】の能力だ」


 映し出されていたのは黒髪の少年。

 ドーベルが最後に見た光景だった。


「……此奴は無理じゃのう」

「己は願望を諦めたわけじゃねェ。己は最後まで足掻かせてもらう。それに、何の為にコイツを捕らえたと思っているんだ」


 麗しい顔に見合わぬ筋骨隆々とした魔王の背後には……

 この世界に召喚されし《勇者》が鎖で縛られていた。


「まあのう……それが良い方へと動けば良いがのう」

「チッ、腹が立つ。無欲なフリをしてらしくねェぞ」


 老人のような男の口が裂け、凶悪な笑みを浮かべた。その形相は正に『悪魔』だった。


「ヒッヒッ、よく分かっとるのう。お主なんぞよりも燻っているのはわしの方じゃ。何があろうと、譲る気はないぞう」

「あぁ、苛つくぜ。だが、それでこそ強欲だ」


 ピシリ、と。


 紅色と紫色の魔力が膨れ上がり、空間が張り詰める。ただでさえ相反する存在同士だ。互いが互いを存在を否定しているが『強さ』だけは認めているのだ。

 

「わしはあの二方も動いてくださると聞いたのでな。総勢でかかれば可能性はあるじゃろう」

「どんな手を使った? 奴らは動かないと言ってなかったか」

「ヒッヒッ、ありのままを話しただけじゃ。お主と違って、わしはあの二方とは仲良くしとったからのう」

「………いちいち癪に障る野郎だ」


 チッ、と舌打ちをする。


「どこまでも強情に欲する。どんな形でもよい、得られたもんが勝ちじゃよ」

「フン、今はテメェの思惑に乗ってやるよ。だが、その後は分かっているだろうなァ?」

「ヒッヒッ! 分かっとるともさ」


 手を組むのは今、この一度のみ。

 奥の巨扉が重々しく開かれる。


「さあ、征こうかの」

「指図するんじゃねェよ」


 そして、【魔王】は征く。

 果てなき願いを手にする為に。


読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ