変質者ToDo
「えーと、ロボの名前がアルファとオメガってのは変質神様と関係が?」
変質神様の名前もアルファとオメガだ。
かなりどうでもいい話だと思ってはいるが一応聞いておこう。気になっている人もいるかもしれないしな。
「関係ない」
「関係ある」
「…………どっち?」
初めて意見が割れたな。
珍しく変質神同士でにらみ合っている。
「関係ない」
「関係ある」
「答えにくい事なら答えなくても大丈夫ですので」
またややこしい話が始まっては困る。
「あれは始まりにあったもの」
「いいえ、あれは終わりに訪れるもの」
「マナという存在の起源を思えば」
「ならばこそ関係がある」
「むむむ……」
「ぬぬぬ……」
ややこしくなりそうだ。ツッコむのはやめよう。
「アルマが答えるのです。要はマナというのは高次元の存在であるが故にブレーンに限定されずに移動し、その世界の記憶を交換するのです。異世界であっても神話や生命の形態が似るように、ある世界の神の名称が別の世界における特異点を示す名称に――――」
「わかった、わかったから。大丈夫だ。落ち着け、あとで褒美をやろう」
「褒美なのです!」
「そうだ。宝石だ」
「ふむ、ニトにしては気が利くのです」
アルマは満足気に頷くが神がそれどころではない。
「アルファありきでオメガがある」
「ちがう、オメガがあればこそアルファがある」
「始まったから偶然的にロボができた」
「違う、終わりがあるから必然的にロボがいる」
「関係はない」
「関係はある」
変質神の周囲でマナが荒れ狂っている。ブレアの顔が青い。これはやばいぞ。
ふと皇族の皆様を見ると全員気を失っていた。当然か。
「どちらでもいいのでは。ともかく私はさっさと穴を通したい。穴の女神として」
ヘレンちゃんがどうかしている発言を堂々とした。
それを見た変質神たちはとてもうれしそうに笑う。汚い笑みだ。こんなに美しい幼女の顔でここまで汚い顔をするとはやはり中身は大事なんだな。俺も気をつけよう。
「で、結局俺は何をすれば」
「ブレーン収束体とのつながりを意識して変質者スキルで遺物のマナ放射をコントロールするのです!」
「アルマ先生。それよりも起動の仕方とかいろいろわからないんですが」
「さっき知識がアップデートされたのでわかるのです」
「すげぇ便利……」
「ちなみに起動にはクライトン帝国の継承可能者が必要なのです」
「は?」
ここで継承権の話がでるの?
気絶した皇族の皆様を見る。
「遺物を保有していた旧世界の人類の子孫……クライトン帝国の皇族でなければ遺物を起動できないのです。遺物のカギはマナ波形で認証しているので直系のマナ分割者でなければ起動しない仕様になっているのです」
「それってあの皇族の継承権チェッカーでやってたやつか」
「なのです」
「メテオなら起動できるってことかしら?」
ブレアの質問にアルマが頷く。
当のメスブタは他の皇族と同様に意識を失っている。倒れている理由は違うが。
再び変質神が話し始めた。
「これだけの遺物、本来なら破壊してもおかしくなかった」
「それでも神々が残したのは理由がある」
「最悪の場合、神々が使うつもりだった」
「世界が変わる危険を冒してでも残しておきたい技術だった」
「……なるほど」
ブレーン収束を防ぐ最後の最後の手段としてとっておいたのだろう。
すごいな旧世界の人類。神々の奥の手になりうるものを作るとは。
「ちなみに」
「マナ放射の方向の調整は変質者さんがやるけど」
「そのマナをブレーン収束体にうまくあてるように」
「収束が必要」
「ブレアか……」
「遺物を見ないと何とも言えないわね」
すごいなブレア。やる気あるじゃん。俺はちょっと怖いんだけど。
「フォローしてあげるわ」
「あ、ありがと」
やさしい……すき……えっちなことしたい。
「…………」
あ、ごめんなさい。なんでそんな怖い目するの。
そうですね。今はちゃんとする時間ですよね。
ブレアから目をそらしてアルマを見る。
「ちなみに遺物を起動するとクライトン帝国はどうなるんだ?」
「ちょっと浮くのです」
ステラ皇女が喜びそうだな。
「それにしてもアレだな。継承権争いがどうとか言ってる場合じゃなくなったな」
「そうね。死神も来てるようだし……」
「帝国どうこうじゃなくて、いろいろ失敗すると世界が滅びるという状況なのです」
とりあえず皇族の皆さんは帰ってもらうとして……。
「死神を倒すってどうすんの?」
「変質者さん」
「そろそろ」
「スキルを」
「極めては?」
「はい?」
できるなら苦労しませんが?
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「紡がれるラグナロク」
あらすじ:英雄が死んで主人公が力を引き継いだ。




