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変質神の欲求

アルマ部分はある程度無視してもいけます


 死神の打倒とブレーン収束の対処は俺たちの大きな目的だ。

 変質神はこれを支援すると言った。

 それは非常に助かるが気になるのは変質神の狙いだ。


 彼女らの目的はこの世界を変質させることのはず。

 ただし、ブレーン収束を起こさないという条件付きだ。

 その点においては俺たちと目的が一致するが、死神の件も含めて俺たちを支援するという意味が分からない。

 ヘレンちゃんを変質させるという目的を達した今、俺たちは用済みのはずだ。奴らは親切心で動くような神ではない。行動の裏には必ず何かしらの欲求があるはずだ。


 つまり、俺たちを支援することで彼女らの何らかの欲求が満たされるのだろう。

 そしてこのクリスタという場所にいることが何より大事なことのようだ。


「……このクリスタで俺たちに何をしろと?」


 問いかけると変質神は笑った。


「変質者さんはいつも話が早い」

「結論から言う」

「わたしたちが望む世界の在り方」

「それを実現するときが来た」


「それはつまり他の神々とは異なる世界の管理……変化しながらもブレーン収束しない世界ということですか?」


「その通り」

「世界を停滞させない」

「でもブレーン収束もさせない」

「とっても素敵な方法」


 変質神は悪い笑みを浮かべている。

 きっと素敵な方法ではあるまい。


「どのような方法なのでしょうか?」


「クリスタの遺物を起動する」

「変質者スキルで制御する」

「ブレーン収束体を弱体化させる」

「世界は変質し放題」


 ひどく下卑た笑みを浮かべている。こいつら本当に品がないな。

 ともかくここの遺物を起動するとマナちゃんを弱らせることができるということか。

 どんな遺物だよ。というか変質者スキルで制御ってどういうことだ。


「ちなみに制御に失敗すると」

「世界中にワームホールができる」

「つまり」

「滅ぶ」


「なにそれ怖い」


 いや、そんな深い話じゃなくてもっと浅いところで疑問がある。


「死神は関係あるのですか?」


「関係ある」

「状況を見るに死神はブレーン収束体と目的が同じ」

「すべての世界を一つにする」

「そのために動いている」


 なぜ死神がそんなことをしているのか。ブレーン収束を防ぐ勢力の神ではなかったか。

 神々の内情もよく知らないので考えがまとまらない。


「死神のことは悩んでもしょうがない」

「死神に会って聞けばいい」


「…………もしやこのクリスタにいるのですか?」


「ここの遺物を中心に世界が変わりつつある」

「変質者さん達も遺物に向かうと良い」

「遺物は高収束したマナ放射器」

「LDM粒子に揺らぎを取り戻す」


 出やがった。謎用語だ。


「かみ砕いて説明していただきたいのですが……」


「説明するのが面倒」

「アルマ」

「はい? なのです」


 アルマが変質神の前に出る。アルマの右手をアルファが左手をオメガが握る。

 神に挟まれたアルマの中をせわしなくマナが駆け巡る。ブレアには見えているのだろう。大きく目を見開き驚いていた。ブレアがここまで驚くのだから何かとんでもないことが起きていたのだろう。一体何が。


「なるほど、なのです!」

「アルマ?」


 アルマはすっきりした顔でフラフラするという不思議なステータスになっていた。

 説明を求めて変質神を見る。


「むりやり記憶を更新した」

「ホムンクルスの仕様」


 何それチート過ぎない?


「説明するのです!」


 アルマは眼鏡をかけ、アルマ先生モードに移行していた。

 眼鏡をくいくいしながら話し始めた。

 これは大変なことになってしまった。かみ砕いて説明してほしかったのにこれでは大変長い講義が始まってしまうのではなかろうか。


「順を追って説明するのです。マナを世界に巡らせることは管理者の義務なのです。しかし現在の世界はそうはなっていないのです。これは世界の在り方として不自然なのです。不自然な穴の在り方なのです。しかし災害を起こさないような代替案もなく、どうしようもないまま時は流れたのです」


 ほら。出だしから長いよ。どうしようこれ。聞かないのもなんだし。


「そこへニトが現れたのです。この世界ではないマナを持つ者、並行世界から送られた魂、真の観測点、滅ぼすもの……いろんな呼び方があるけど要は預言者なのです。星の中心に座するブレーン収束体とホットラインを構築し、そのマナを預かりこの世界を捕捉する者なのです。それは分散マナと密結合している程度の神々とは別次元の存在なのです。その預言者がさらにマナを変質させる力を得たのです」


「あれ、俺の話か。俺が変質者スキルを得たのがラッキーだったってこと?」


「ラッキーなのですが偶然ではないのです。並行世界がこの世界を変質させる魂を選んだのです。つまり、この世界が最終的に行きつくであろう未来、そこも含めてもっとも変質にふさわしい魂であるはずなのです。今のブレーンの絶対時間では計れない存在なので魂の存在期間は0なのです」


 俺が0歳だったのって未来人だからってこと?

 まあそれはどうでもいいや。赤ちゃんプレイができないなら関係ない。


「ブレーン収束体と接続しつつマナの変質も可能……つまりニトのみが災害をコントロールし得るのです」


「ええ……」


 ただの一般的な変質者のつもりだったのにいつの間にか世界の命運を握ってしまっていたのか。どうせ握るならパンツでも握りたいよ。ブレアのパンツでもさぁ。


「そして今、世界は急速に変わり始めているのです。創造神を始めとした神々が創造した魔王は世界を停滞させていたのです。逆に変質神様が創造した勇者は世界を変質させていたのです。せめぎ合っていた状態をブレーン収束が動かしたのです。赤い女は魔王の周期を終わらせ、勇者の元を回収したのです」


「さて、世界は変わろうとしている」

「ある意味では終わろうとしている」

「世界の通路は既に変化してしまった」

「穴は既にマナをめぐらせ始めている」


 ヘレンちゃんは得意げに腕を組んで立っていた。ちょっとかわいい。


「カギになるのは変質者さん」

「変質者さんの思いはもう知っている」

「だからお願いしたい」

「ブレーン収束体の変質」


 マナちゃんを変質……できるのか?

 変質神にも変質者レベルでは勝てない。

 死神にも今のままでは勝てない。

 うーん。とりあえずややこしい話はすっ飛ばして要点だけ考えよう。


「死神をぶっとばして遺物を起動すれば万事解決ということですか?」


 できる気がしないが。


「その通り」

「やり方はある」

「変質者さんにはできる」

「アルマが説明する」


 あ、もう。また始まるのかよ。


「もっと説明するのです!!」


 アルマは完全に目がイってしまっていた。



説明ばかりでお疲れだと思います。

そんな皆さんのために小難しいことを抜きにして脳死で読めるコメディを書き始めました。


「毎日穏やかに生活していたら生活魔法を極めた」

あらすじ:真の生活魔法が 気 持 ち よ す ぎ て 誰も逆らえない。


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