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エロ、エロ、キラキラ


「なんてこった…………」


 三人ともすごく……何というかすごく磨かれていた。美少女である。

 まず第一美少女ブレア様からご紹介しましょう。


「ブレアはもともと美少女だったけどより洗練された感じだな」


「ありがとう。ちょっと涼しくしてみたのよ」


 美しく艶のある黒髪は綺麗に整えられている。

 服装はタイトなローブから長めのワンピースへと変わっていた。

 色は相変わらず黒だ。腕は肘まで、下は足首まで隠れるスタイルだ。

 そこまではいい。ここからが問題だ。

 まずスリットが入っている。太ももが! 太ももが! 白く透明感のある美しいおみ足が! 歩くたびに見え隠れするせいで俺の聖剣レーヴァテインが斬りかかりそうになる。

 そして胸元解放。まるで何かの必殺技のようだ。『胸元解放! アンリーシュ・リビドー! 男は動けなくなる……ついでに身体の一部は硬直する……』みたいな。胸の谷間が見えそうなギリギリの解放だ。これは目が離せない。見えるかもと思って目が離せない。

 と思いきや、歩くたびに太ももがちらりと見え隠れして目を奪われ、太ももが隠れた瞬間にまた胸元に目が行き……終わりのない視界封印結界に囚われてしまった。

 もはや逃れることは……なっ馬鹿な!

 ブレアは俺の思考を読んでいたのか、見下すように軽く微笑み、俺に背を向ける。黒髪が舞い、花のような香りが俺に届く。

 そして視界に広がる彼女の背中。なんて女だ。美しい背中が全面的に開放されている。

 これは全方位死角なしだ。前からは胸元、横からは太もも(あと横から見るオッパイも素敵)、後ろからは丸見えの背中。


 好きです。大好きです。目が離せない。


「ありがとう。魅せようと思って着たわけだけれど、あまり見られると気持ち悪いから程々にしてね。度を越すようなら潰すから」


「あ、はい」


 潰されてはかなわない。ほどほどにしよう。

 続いて第二美少女メテオストライクブースター殿だ。


「露出が増えたな」


「動きやすいっ!」


 メスブタはカーディガンが無くなっていた。

 短パンはより短く、ケツが見えそうなほどになっていた。そしてヘソが見えるチューブトップ。水着かよ。くそ、最高じゃないか。こっちにも視界封印結界が。逃げ場がないぞ。

 髪の毛は大きくは変わっていないが、毛先もきれいに整えられて、女子力がアップしている。メスブタに女子力。すごく違和感。


 セクシー黒髪美少女の隣にはセクシー桃色髪美少女。

 どうしよう。聖剣が神剣になりつつある。


「メテオちゃんは美容室で大変だったのです。ドラゴンみたいなモヒカンを希望したのです。強そうだからという理由で、なのです」


 ドラゴンみたいなモヒカンとは何だろう。


「強さに影響しないんだってなっ! 知らなかったっ!」


 髪型で強さが変わると思っていたのか。理解不能だな。


「そうか……、いや、今の髪型になって良かったよ」


 何より思うことは床屋エリーゼに行かなくて良かったということだ。

 あそこでドラゴンみたいなモヒカンにしてくださいなんて言えば、あのスキンヘッドのドラゴン狂いの人は何が何でもその髪型にしようと行動しただろう。最悪止めようとしたアルマに殺されていたかもしれない。


 そして、第三美少女アルマだ。こいつだけ様子がおかしい。


「アルマは輝いているな」


「そんな……面と向かって褒められると恥ずかしいのです。いくら相手がニトでも、なのです。えへへ」


 にへら、と笑い、てれてれもじもじと体をくねらせる。

 俺は無言でブレアを見た。ブレアも無言で俺を見る。わかったよ、俺がどうにかする。


「えーと、まずそのワンピースかわいいな。裾がふわっと広がっていて、短めでゆったりとした袖も、少しゆとりのある首元もカワイイ。何より白地に薄いピンクと青の花柄がアルマによく似あっているよ」


「さすがニトなのです。わかっているのです」


 うんうんとうなずくアルマ。問題はここからだが。


「あと、そのブレスレット。キラキラだな」


「女のあこがれなのです」


「10個ぐらいつけているか?」


「10個なのです」


「ネックレス、すごいな。宝石のサイズも」


「白金貨をゴミのように使いまくったのです」


「何重になっているんだろうな、ネックレス」


「五重なのです」


「イヤリング…………」


「ネックレスより高かったのです」


「指輪が」


「さすがに全部の指につけるのは大変だったのです。でもその甲斐もあってキラキラなのです」


「うん。キラキラ」


「なのです」


 満足気に無邪気な笑顔を向けられた。よく見たらアンクレットもつけてやがる。


「さて、これらの宝石の価値を説明するのです」


 そう言ってアルマは眼鏡を取り出した。

 あ、こいつ! メガネが金色になってやがる。


「おっと、ニトは気付いたようなのです。お察しの通り純金のフレームなのです。ところどころ光っているのはダイヤなのです」


「マジかよ……」


 なんかすごい使いにくそう…………。メガネに適した金属じゃないだろ。


「く、重いのです。まあ、おしゃれは我慢、なのです。さて、まずこのブレスレットから説明するのです」


 そう言ってアルマは宝石類の説明を始めた。

 どうしよう。どうにかするタイミングが無かった。

 再び無言でブレアを見る。ブレアはため息をついた。


「アルマ、ニトに見せれて良かったわね」


「んなっ! なっ、なっ、なぁーにを言うのです、ブレアちゃん!」


「ニトに見せるって張り切ってたじゃない?」


「え、そうなの?」


「そそそそぉーれは、この宝石のセンスを見せようって話なのです。すごい宝石なのです」


「そうね、すごい宝石よね。センスがいいわ。ニトもそう思ったわよね?」


「え? ああ。センスいいな」


 一個一個はセンスいい。全体的にはセンス最悪。


「む、むふふ」


 アルマが変な笑いをしだした。


「ほら、もう全部つけてる必要はないわね? 戦いやすさを考えて身につけるものを絞りましょう?」


「……むむ。わかったのです。じゃあ、これと、これも…………これも、いや、これも? あ、これも」


「アルマ」


 ブレアさんから少し強めの圧が出る。


「ぴぇっ! なんでもないのです。そう、これとコレだけつけるのです。ブレスレットとネックレスなのです」


 選んだのは確かに戦いの時に邪魔にならないような細めのブレスレットとネックレスだった。まあ、かわいくていいんじゃないかな。


 しかし、セクシーブレア、水着メスブタ、カワイイアルマときて俺がアレだな。俺だけちゃんと戦う人だ。


「ニトは防具を身につけたのね」


「意味ないのです。カッコつけただけなのです」


 それはお前のアクセサリーも一緒だろ。と思うが口には出さない。


「すごいなっ! 硬いのかっ!? 殴っていいかっ?」


 そうなると思ったよ! 俺はメスブタの軽めのジャブを躱しつつ説明する。


「いや、これは柔らかいんだ。すぐ壊れる」


 実際にメスブタが触ったらすぐに壊れるのは間違いない。

 というかノータイムで壊しに来たの本当に怖い。


「じゃあ、何で着てるんだっ? 邪魔じゃないかっ? あたしを見ろっ! 動きやすいぞっ!」


 確かに動きやすそうだ。あ、またあちこちに目が行ってしまう。くそ、鎮まれ俺のレーヴァテイン!


「これは来るべき神々との戦いに備えているのだ。あえて壊れやすいものを身につけ、それを壊さぬよう強者と戦うことで、体術を向上させるのだ!」


 なんかとっさに適当なことを言ってしまった。

 まあ、そんな目的ならつけない方がいいに決まっているよね。

 ただのロマンだよ。かっこいいからだよ。

 ブレアにはバレバレだけどカッコつけていることを知られたくはないんだよ。


「そうかっ!」


 メスブタはさっきより早めのストレートを放ってきた。


「あぶね!」


「さすがニトっ! よく避けたなっ!」


 不敵な笑みを浮かべるメスブタ。何? 怖いよ……。

 いや、もしかしてコイツ俺を鍛えようと…………。


「メスブタ、お前の気持ちはありがたいが、正直に言うとかっこいいからつけているようなつけてないような、そんな理由もあるような無いような、深謀遠慮をめぐらしてのことでもあり、容易に仲間内で破壊をすべきことではなく、つまり何が言いたいかと言うと壊さないでくれる?」


「しんぼうえんりょ……?」


「あ、ごめん。もう一回言うけど、壊さないでくれる?」


「そうかっ! わかったっ!」


 ほっと胸をなでおろす。

 ブレアとアルマは、いつの間にか椅子に座ってお茶を飲みながら冷めた表情でこちらを見ていた。


 うん、そうだな。とりあえずみんなおしゃれになって良かったよ。


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