26話 タクト ブチギレる
いつも読んでくださる方、新たに読んでくださる方、そしてブクマして頂いた方。
本当にありがとうございますm(__)m
よろしくお願いします!
ナエ達が危ないと、今出せる最大速度で移動する。
村の皆の無事を祈りながら、広い草原をひたすらに走って移動していった。
暫くしてガルカリ村を確認出来る所まで来ることが出来た。ここからでも村は激しい炎に包まれ、煙も激しく立ち上っているのが見える。
「タクトさん……この先に恐ろしい魔力を感じます」
「ああ……」
村に近づくにつれ、強大な魔力圧力を感じていた特級魔物以上の物を。
それと何体か魔物の気配も感じられる。
「これは……酷いです……あまりに惨いです……」
やがて到着した村の惨状にアルフィンは口を押さえている。
「……ここまでするのか……」
ガルカリ村の惨状は想像を越えていた。
村の面影が残されていないほどめちゃくちゃに破壊され、外壁も粉々に粉砕され、魔法兵器はスクラップにされている。
ここには交戦した跡と、魔力残留が残されていた。
戦士達は抵抗したのだろう。
しかし、力及ばず無数に体が引きちぎられ転がされている。それを魔物が貪ったのか、内臓は食い荒らされており、遺体は、まともな状態のを探すのが困難だった。
「……俺はここまでめちゃくちゃにした奴を絶対に許さない。必ず自分がやった責任を取らせる」
俺は今まで感じたことがない怒りを覚えていた。
感情が昂りすぎて自分を押さえるのがやっとだ。今すぐにでもこれを引き起こした張本人をぶちのめしたくて、自分でも魔力が荒ぶるのが分かる。
だけど、今は他にもやらなくちゃいけないことがある。
「タクトさん……」
アルフィンも俺の怒りを感じ取ったのか、少し気圧されていた。
「アルフィンはその間に救える人達を助けてあげてくれ。
魔力反応がいくつもあるから、まだ生きている人もいるはずだ。まもなくシズクも追い付いてくるから二人で協力してやってほしい」
「分かりました……タクトさんもお気をつけください……」
「大丈夫だ。俺は負けない」
俺は負けない。こんな事をしたクソ野郎を絶対に許さない。
壊された外壁を潜り、中に入っていく。
村の中は地獄だった。
そこら中に四肢が引きちぎられた死体の山があり、地面は大量の血液を吸い込み赤く染まっている。
血の臭いと火災の臭いが混ざり合い、悲鳴と爆発音が鳴り響いていた。
上級魔物を駆除しながら、シズクにギルドカードを使って念話する。
《シズク聞こえるか?》
《はい聞こえています。まもなくガルカリ村に到着します》
《そうか。村は魔物が多数いてめちゃくちゃにされていた》
《……やっぱり村は……》
《ああ……。俺はナエ達を探しながら、この惨状を引き起こした奴の所に行く。アルフィンは村の人達を治しているから、シズクは魔物を狩りながらアルフィンの補助を頼む》
《はい、タクトさんも気をつけて》
《ああ。頼む》
シズクとの念話の後、魔力を探りながら更に村の奥へと向かう。
ナエ達の魔力が集まる先には。
村長さんが頭を潰されて倒れていた。……間に合わなかったか。
そしてその場を支配していたのは、強力な魔力圧力を放ち、三メートル以上の巨大な体躯で黒色の肌に、鬼のような角を生やした筋肉隆々の男だった。
男は今まさにナエに拳を振り下ろそうとしているところで、ナエの両親が傷つきながらもナエを助けて欲しいと悲鳴を上げていた。
俺は一気に特大魔力を纏い、一瞬で男とナエの間に入り込んでその拳を受け止める。
「あぁ?なんだぁ? お前……村の人間じゃねぇな……お前なにもんだ?」
「…………」
「……タクトお兄ちゃん……」
「ナエ後は任せてくれ。危ないから少し離れているんだ」
「う、うん……」
ナエは言うことを聞いて両親達の方へ駆けていく。
「……お前か? ここをめちゃくちゃにして村長さんを殺したのは」
「あぁ?質問してるのはこっち――」
ゴキンッ
「グァァァッ!」
男の拳を握り潰した。
「おい。質問してんのはこっちだろ?」
「て、テメェ!」
ステータスオープン。
男の情報を見る。
ゲラルド
邪神軍四天王
レベル73
「そうか……お前がゲラルドか。お前は何で……こんな事をするんだ?」
「あぁ? 何で俺様を知ってんだ? テメェ!! その前に腕を離せ!!」
もう一本の拳で殴り付けてきたのを、俺はそれを受け止める。
そしてまた 握り潰した。
ゴキンッ
「グァアアア!!」
「だから質問してんのはこっちだって言ってるだろう? 言葉が理解出来ない程に、バカなのか?」
「グゥッ……俺様を舐めるのも大概にしねぇと――」
男の鳩尾に拳を叩き込んだ。
「グオアアア! ……ガハァッ! ……クソッが!」
ゲラルドは膝をつき、下から俺を睨みつけてくる。
「まだ分かんないのか? 聞いてもいない事を勝手に喋るな。いいから質問に答えろよ」
今度は右足でゲラルドの顔を蹴り飛ばす。その巨体を弾ませながら転がっていった。
「追加の質問だ。お前一体何人殺したんだ? この村の人達を……。ここの人達は本当に良い人達だったんだ。お前が殺していい、人達じゃないんだよ」
俺はゲラルドに向け、歩いて近づいていく。もう感情が昂りすぎて怒りが、頭の沸点を越えていた。
「誰がテメェの言うことを――」
「まだ。分からないのか」
ドカッ
バキッ
ズドンッ
どうやらまだ立場が分かっていないようだから、追加で殴る。
ゲラルドは地面に大の字で横たわり、息を切らしている。
「ハァ……ハァ……グゥ……」
「どうだ? 少しはその鈍い頭は働いたか?」
「……チッ……俺様はドレアムからこの村に毒を弾いたのがいるから、始末してこいと言われてソイツを殺しに来ただけだ」
ドレアムからか。そもそもこの人達が苦しんだのはあいつが病気……いや毒を撒き散らした事から始まった。そしてそれが効かないと分かると、直接殺しに向かわせたのか。
どこまでも……どこまでも! 人の命を何だと思ってんだ!
「……何でドレアムは直接来なかったんだ?」
「知るかよ。他にやることでもあったんだろうよ。もう最前線も崩せると言ってたからな。次の手でも打ってるんじゃねぇか?」
「……何で関係ない人達まで殺した」
「せっかく俺様が来てやったんだぜ? 少しは楽しめると思ったら雑魚しかいねぇしよ。だから使えねぇコイツらにオモチャになってもらったんだよ。強ぇ奴は弱ぇ奴に何をしてもいいんだ当然だろう?」
狂ってやがる……。
「そうやって、気にくわなければ暴力。自分がイライラすれば人を殺す……か。お前は弱いな」
「俺様が弱ぇだと!!」
「ああ。弱い。自分の思うままに暴力を奮うことしか出来ないお前よりも、あんな小さな体で必死にお前から逃げようとせずに、挑んだナエの方がずっと強い!」
「な、なんだと? 俺様が……この俺様が……あのチビよりも弱ぇだとー!! もう一回言ってみろー!!」
「何度でも言ってやるよ。お前はナエよりも弱い」
「……ここまで俺様をコケにしたのはお前が初めてだ。満足に俺様のオモチャにもなれねぇコイツらといい、突然現れて俺様をボコるお前……このままじゃ俺様のこの怒りはどうすればいいんだ?なぁ?」
「そんなの知るか。お前の理不尽さと、その怒りに、ここの人達は関係ないだろうが」
「まぁいいか。お前を殺してコイツらも殺せば少しは俺様の怒りもおさまるだろうしなぁ!!」
「……もうお前の顔を見るのも、声を聞くのも不愉快だ……。
覚悟しろよここまで俺の大切な物を傷付けたんだ。お前に殺された人達の痛みをお前にも刻んでやる! 生きて帰れると思うな!!」
「それは俺様の台詞だー!! 俺様をここまでコケにしやがったお前は簡単に殺してやらねぇ!!」
俺は更に爆発的に魔力を高める。
ゲラルドも魔力を高め、身体能力強化と、俺に潰された拳を治し、その巨体にそぐわない速度でこちらに近づいてくる。
「オラァッ!」
ブオンッと音が鳴るほどの剛腕から拳を振るってきた。
下にしゃがんで拳をかわし、足払いをして転がす。
体制を崩し、後ろへ倒れ込んだ所で顔面を蹴り飛ばした。
「ガフゥアアアッ!」
鼻血をだして、後ろへぶっ飛んでいった。
「痛いか? 皆はもっと痛かったんだぞ? もっと味わえよ。ほら!」
ゲラルドの体を空高くに蹴り上げ、空へ浮かす。
「ガハァっ!?」
俺も空に浮き、そのまま両腕に魔力を込めて滅多打ちにした。一秒間に何発か分からない速度で殴り、たっぷり5秒程殴った後、地面に叩き付けた。
ズドォォォオオン!
力を入れすぎて、地面が陥没してしまった。
やり過ぎた。
「ここで戦うと被害が増えるな。そうしたら」
叩き付けられた衝撃で起き上がれないゲラルドの顔面を掴み上げ、右拳を振り抜いた。
ちょうど村の外まで吹き飛ばすぐらいに。
これで暴れてもこれ以上村に影響は出ないだろう。
ゲラルドを追おうとすると。
「タクトお兄ちゃん!」
ナエが俺の名前を呼んだ。
「ナエ。良く頑張ったな。もうじきアルフィンが来て、皆の傷を治してくれるから大丈夫だ」
「……あたしの……あたしのせいで村長様が、皆がこんな事に……」
「それは違うぞ。ナエも、皆も何も悪くない。悪いのはアイツらだ」
「でも……あたしが毒なんて弾いたから……」
「ナエが毒を無効化しなければ、村は全滅していた。ナエが無事だったから俺達に助けを求められたんだ。誰もナエのせいなんて思っていない。だから気にするな後は俺達に任せとけ。な?」
ナエの頭を撫でる。
「うぅ。……グスッ……わかったの」
「よしいい子だ。……アルフィン。ナエを頼む」
アルフィンの魔力が近づいて来るのが分かった。
「はい、任せてください。シズクと合流出来ましたので協力してあたります。それと……村の皆さんは診させてもらいましたが……救えた人は……10人でした……」
「……分かった。引き続き皆の治癒を頼む」
「はい。直ぐに取りかかります」
「頼む。行く前に村の火は消しておくか。霧滝」
上級魔法で消火能力が高い水の塊を降らして、村を包む炎を消した。
とりあえずこれで、被害は抑えられるだろう。
後は奴を片付けてからだ。
「それじゃあ自分がどれだけの事をしたのか、思い知らせにいくか」
お読みいただきありがとうございます( ゜∀゜)ノ




