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最終話 転生したら世界を救って欲しいとお願いされました

最終回です!

 



 女神達と別れの挨拶をしてから20日が過ぎた。




 地上に戻ってから本当に色々な事があったが、先ずは俺がマギア・フロンティアに戻ってきた時からの事を時系列順に振り返ろうと思う。



 あの後。

 光の扉を潜ると、荒れ果てた暗黒大陸の地に俺は立っていた。

 女神から地上とは時間の流れが違うと聞かされてたから、結構な日数をアルフィン達に待たせていると思い、早くその顔を見たくなった。


 気持ちは通じるものなのか、皆に会いたいと暗黒大陸にあるワープの石盤を起動しようとした次の瞬間。


 石盤からアルフィン達が現れたのには本当にビックリしたのを覚えている。



「あぁ! タクトさん!」



「無事だったのですね!」



「お兄ちゃん!」



「タクト!」



 俺の姿を見た四人に一斉にダイブされ押し倒された。



「うわっぷ…………ただいま皆」



 四人から発せられる甘い香りと温もりが俺を包む。

 皆の見た目からそんなに日数は経っていない事は分かったけど、それでも凄く懐かしい気がした。



「タクトさん! ああっもう! いつも心配ばかりかけて! もう! もう!」



 アルフィンに胸をポカポカと叩かれる。



「そうなの! お兄ちゃんは悪い子なの! めっ!」



 ナエは右手人差し指を立て、左手を腰に当てお決まりのポーズを。



「タクトさんの魔力が感じられなくなって心配してました。でも良かったです。お帰りなさい」



 シズクからは優しい微笑みを。



「女を泣かせるなんて悪い人。まぁわたしもその一人なんだけどね。この分は後でしっかりと返してもらうわよ。ふふ」



 アリサ女王からは妖艶な笑みをもらった。



「……ごめん。例のごとく今回も色々とあったんだ。許して欲しい。でもよく俺が戻ってきたと分かったね」



「タクトさんのその魔力は、もう色々と世界の理から逸脱しておりますので直ぐに気づきました」



 アルフィンの説明だと、何でも今の俺の魔力は世界の端に居たとしても直ぐに気づく程に強大なのだという。




 俺がいない間、皆は毎日毎日ここまで来てくれて俺の帰りを待っていたと教えてくれた。

 アーロンさん達やヨーク公達も大変心配してくれていたみたいで、捜索隊を結成して探してくれていたらしい。

 まぁその中でも「俺ならどんな事があっても死んだりしないだろう」と一部の人達が言ってはいたみたいだが。

 それでもここまで俺を想ってくれる彼女達と皆には本当に感謝しかない。



 ルーデウスへと向かう道すがら、俺が姿を消していた間の事や、ハーディーンと共にあっちに行っている間に、もう10日が経過していることを聞いた。


 もしかしたら浦島効果みたいに戻ったらアルフィン達がしわしわのお婆ちゃんになっているかもと心配もしたが、杞憂に終わってくれて本当に良かったと思う。

 愛する女性達(ひと)とは一緒に歳を取っていきたいからな。



 皆はルーデウス帝国とバラガン公国で戦いの後始末と、傷ついた人達の治癒や自分達に出来ることをしていたらしい。

 戦後の処理は目に見えない分も含め、かなりの手間を要される。アルフィン達もこの10日間は忙しい日々を過ごしていたんだろう。





 ルーデウスへと戻り、アーロンさんを始め各王達に連絡を取った。

 皆が皆心配してくれていたみたいで、それぞれから叱責と励ましと、労いも一緒に頂いた。ついでに各国の被害状況も聞いた。


 やはり思っていた以上に被害は甚大だった。


 次元の穴から漏れだした魔力の影響は、マギア・フロンティアの全大陸にまで及び、その被害を拡大した。


 街はほぼ壊滅し、大陸は地割れと隆起でボコボコになっていた。

 その中でも、不幸中の幸いだったのが奇跡的に死者が0だったこと。

 通常であればあり得ない。

 めちゃくちゃになってしまった世界を見ればとても信じられないと思う。


 それでも被害者が出なかったのは、アレースローンと共にギリギリの所で魔力を塞き止める事が出来たのもあると思うが、何より大きいのは、あの危機的状況で皆が協力して乗り越えようとしてたからだと思う。


 皆で助け合い励ましあって知恵を出しあい守りあったからこそ、こういう結果に終わることが出来た。

 本来人間は苦難を乗り越える為に団結することが出来る筈なんだ。

 確かに自分勝手な人間はいるが、それでも俺はどこまでも人の本質は善なのだと信じたい。




 世界の現状を確認した後。

 俺はまず、めちゃくちゃになった大陸と街の復興から取り掛かった。


 既にそれぞれで修復作業に動き出してはいたみたいだけど、正直あまり進んでいなかった。それだけ直さないといけない箇所もあり、とゆうかほぼ全てを元通りにするならば、新たに街を興すことと変わらない。

 だからどうしたってかなりの歳月がかかってしまう。

 もっとも普通のやり方であれば、だが。



 結果的にいえば、修復は俺の能力でちょちょいと一瞬で終わった。

 大陸も同様に、バーッとやってガーッとやって元通りに。


 もともとクリエイト魔法は極まっていた感があったけど、アレースローンから力を受け取ってからそこも更にレベルアップしていた。

 いまだに死人を甦らすことは出来ないけど、それ以外のあらゆる事を俺は出来るようになっていた。




 街を建て直した後は、ルーデウス帝国に皆が集まり、これからの世界のあり方を相談し、議論を重ねた。


 争いがない世界。人を思いやれる社会を築いていくにはどうすればいいのか。

 いつまでも他者を思いやれる世界にするには、どうすればいいのか。

 俺が地球で見たきた事。

 歴史、戦争等も踏まえて、間違った選択をするとどの様な未来になるのかを反面教師として、生かさせてもらった。



 その中で決まった事は。

 個人が一国が権力を持ちすぎず栄えすぎずに、世界中の国、街、町を平等にしていくこと。

 最終的にはどこも同じレベルの施設を造り、皆が公平に利用出来るようにしていくこと。

 半年毎に各王達が集まり、確認しあっていくこと。

 この戦いを絶対に忘れないように後世に残し、語り継いでいく事。

 他にも色々な取り決めがあるが、ここでは割愛する。




 そして。

 戦いが終わり、幾つかこの世界に大きな変化が起きた。


 一つ目は。

 ハーディーンが消えたことでマギア・フロンティアから魔物の姿は完全に消滅した。



 二つ目は。

 ユグドラシルがこの世界から姿を消した。

 元々存在していた部分にはポッカリと大きく深い穴が開き、守護していた砦と神殿だけがその場に残されていた。

 今頃は何処かの別次元に根を張っているのだろう。

 これが女神達が言っていた人間に干渉しない事の一つなのだと思う。


 ユグドラシルの調整の役目をおっていた聖女シャトヤーンさんや、聖樹教会は解体されそこに従事していた人達は自由の身になった。

 聖女じゃなくなったシャトヤーンさんは、ほっとした顔で世界を旅して困っている人達を助けたいと言っていた。

 妹の様に思っているシズクとも、色々な事にも挑戦していきたいと語っていた。



 三つ目は。

 魔素の量が減った。

 日々少しずつ減少している程度だから今は普通に使えるが、いずれは消費量が少ない補助系の魔法しか使用出来なくなるだろう。

 相手を傷つける攻撃系魔法は使えなくなる。

 今のうちから魔法に頼らない生活の仕方を考えていかないといけない。




 この様に世界の変化の把握と、街の復興が終わると。

 待ちに待った大宴会だ。

 屋外に設置された、宴会場には何十万人もの人達が集まっている。

 連合軍の戦士達やその家族、マギア・フロンティアの住人達が次から次へとワープの石盤から現れ、片手に酒やドリンクを持っては、バカ騒ぎをしていた。


 この一年間のストレスと、緊張感から解放され大いにはめをはずした。

 朝から夜までドンチャン騒ぎ。

 それだけこの大戦に様々なものを溜め込んでいたのだろう。

 失ったものも沢山ある。

 数えきれない哀しみも、行き場のない怒りもある。

 でも、だからこそこの場で全てを発散し、また明日から希望を持って生きていこうと皆の心の底からの笑顔は輝き、街中を笑い声が満たしていた。



 それはここでも。



「ガハハハッ! それでよ! タクトが街をあっという間に直しちまったんだよ! あれは凄かったな!」



 ジェクトさんが豪快に酒を浴びるように飲み、バカでかい声で話す。



「俺が見たのは、真っ二つになった地面をくっつけてたぜ! 流石魔王様だぜ。な!」



 それに負けじと、バルデルさんも一気に酒を流し込み上機嫌で酒の器を傾けている。



「本当だなハーディーンすら倒しちまうしよ! タクト様様だぜ! タクト! すげ~男だな! お前わよ!! 飲んでるか? ほらっもっと飲め! 英雄様の飲みっぷりを見せてくれ!」



 インさんもまた、二人と同じ量を飲みながら尚も余裕のある様子で騒いでいた。



 戦争が終わったら大々的にやろうとの約束通り大宴会の毎日が続いている。

 隊長陣、連合軍の皆、シーゲル陛下達も勿論参加している。


 リューガ達、竜王国の民も宴会に参加していた。

 そっちのテーブルにも寄り乾杯を交わす。



「流石タクトだな。生きて帰って来たか」



「リューガも皆の事を守ってくれたんだろう? ありがとう」



「いやワレは大した事はしていない。予言通りに世界を救ったそなたの仲間になれて、誇りに思うぞ」



 怖い顔に精一杯の微笑みを浮かべて褒めてくれた。



 合間合間でたくさんのテーブルを周り、沢山の人達と乾杯を交わしていった。


 飲みすぎて何回吐いたか分からないけど、本当に楽しい最高の宴会だったと思う。

 ベロンベロンに酔っ払えばアルフィンとシズクとアリサ女王に優しく介抱してもらう日々。


 そんな楽しい三日間はあっという間に過ぎていった



 そして現在。

 俺達はある目的の為に、暗黒大陸へと来ていた。

 歩きながらその場所へと向かっている。



「本当に皆着いてくるの?」



 俺の横と後ろを歩く四人に確認した。



「勿論。わたくしはついて参ります。もう二度とタクトさんの側を離れませんわ」



「私も当然ついていきます。剣の修行にもなりますし、タクトさんと愛を育んでいきたいですので。ナエちゃんはお父さん達に挨拶は出来ましたか?」



「うん。お父さん達も困ってる人達がいれば助けなさいと言っていたの。だからあたしもいく。新しい世界で友達が出来れば嬉しいな」



「あら。今更それを聞くの? わたしはタクトから離れるつもりはないわ。結局皆も来るのね。せっかくタクトと二人っきりになれると思ったのにね」



 アリサ女王が二人にちょっかいを出し始めた。

 それに返すアルフィン。



「別にアリサ女王は、エリス王国で職務をされていても良いのですよ? わたくし達()()()タクトさんに着いて参りますので」



「あ~ら。そういうアルフィン王女だってユルゲン陛下は大丈夫なのかしら? トランスヴァールとクリスタをほったらかしにして」



「御父様には、レスターが着いておりますので問題ありません。

 それにタクトさんはわたくしの全てですので、アリサ女王に譲るつもりもありませんわ」



「そう。それなら異世界で今度こそ決着を着けましょうか。誰がタクトの序列一位なのかを!」



「望む所ですわ!」



「負けられません!」



 アルフィン、シズク組とアリサ女王でバチバチと火花を散らし始めた。



「やれやれなの。また始まったの」



 ナエはやっぱりお決まりのポーズを取る。

 もはやテンプレといえる光景。



「おーい。そろそろ行くぞ! 女神達も待ってるだろうしさ」



 そう。

 ある目的とは、この先の空間にいる女神達に会うこと。




 今から二日前。

 あの大宴会が終わり、皆と修復した街を歩いていると邪悪な気配を察知した。



「この感覚は……」




 マギア・フロンティアではない何処かの世界で何か善くない事が起きようとしている気配を掴んだ。

 そしてその気配とは何となくだけど、アレースローンと戦った悪意の集合体と似ていた。



 この時の俺はあまりに強力になりすぎてしまった自分の力を、完璧にコントロール出来ていなかった。

 有り余る力で、本当に無意識に次元の穴を開けてしまったのだが。

 これまた偶然にその次元の穴はあの不思議な空間と繋がっており、中には女神とアレースローンが居たのだ。



「え? あれ? 何で? え?」



 もう二度と会うことはないと思っていた二人組がいて、思わず素のリアクションをしてしまった。



「フム……。これは」



「あら。こないだ振りですね。タクトさん」



 これまた二人らしいリアクションで返されてしまった。



「タクトさん。こちら方がもしかして女神様なのですか?」



「ハーディーン……じゃないのですね。えっとアレースローンがいると云うことは、ここがお話しで聞いた場所ですか」



「不思議な空間なの。凄い静かで眠たくなるの」



「あら。本当にわたしと同じぐらいに美女ね。女神は」



 これまた別々のリアクションを取る四人。



「ふふ。いきなり賑やかになりましたね。とりあえず少しお話ししましょうか。この状況も含めて」



 そこで、それぞれの挨拶の後、この不穏な気配についての情報が聞けた。

 最初、ハーディーンの変わりように皆は慣れなかった。

 それもその筈で、アレースローンに改心した事を俺からの話しだけでしか聞いてなかったからな。

 こうして目の前にすると、その代わり様に誰でも驚くと思う。

 まぁ直ぐにアレースローンが心から反省していることが分かったみたいだから問題はなかったのだが。

 


 そして。

 悪意の正体は、やっぱり俺達が戦ったのと同じ様な化物らしい。

 力はあれよりもだいぶ弱いが、厄介な存在が生まれてしまった。



 アレースローンは、戦う力を俺に渡したので対処することは出来ない。

 かといって、人間の争いなら介入するつもりはなくても、この化物は放っておけない。


 どうしたものかと頭を悩ませている時に俺が次元を開けてしまったと。

 そういう経緯らしい。


 何でもこんな化物はしょっちゅう出現するものでもないらしい。

 今回はたまたまなんだろう。

 それでも女神とアレースローンは、この状況にも意味があるのだろうと言いそして改めて化物退治をお願いしてきた。



 俺達の答えは決まっていた。

 俺達は同じ気持ちだった。

 自分達の力で解決する事を決めた。



 それで現在に至ると。

 でも。

 まさかなぁ。


 まさかやっとマギア・フロンティアを救ったばかりで、今度は違う世界に行く事になるなんてな。

 やっと平穏に過ごせると思っていたのに、誰が予想出来たと言うんだ。



 だけど。



「タクトさん! これからもずっと一緒にいましょうね。異世界に行こうともわたくし達はあなたに着いていきます!」



 こうして、愛する彼女達(ひと)と一緒に色んな思い出を作っていける。

 その事が楽しみで仕方がない。

 楽しい事も、もしかしたら大変な悲しみもあるかもしれない。

 そんなものは彼女達と一緒に乗り越える。

 これからも共に生きて幸せを噛み締めていこう。

 それが。

 俺が転生した意味だと思うから。






 転生したら世界を救って欲しいとお願いされました。




これにて本作品は完結となります。



 約7ヶ月連載期間となりましたが、まずここまでおつき合いくださった読者の方々に感謝を申し上げたいと思います。


 そして感想や評価をくださった方々にも深く感謝しております。

執筆する上で大きな支えとなっておりました。



 ずっと読み専だった私が、最後までこうして書き終えることができたのも皆様のお陰です。

何も知らない私に何度もアドバイスを頂いた、お気に入り作者様の存在も大きかったです。



活動報告でも御礼を書かせて頂きますが、改めて本当にありがとうございました!


これからも、作品は書いて参りたいと思いますが、ひとまずは自身のレベルアップと、色んな方々の作品を読んでいきたいと思います。

 


とにもかくにも完結までおつき合いくださり本当にありがとうございました。


もし。

これからお読み頂く読者様がいらっしゃれば、少しでも楽しんでお読みいただけたのなら、作者としては幸いでございます。



 なお吉


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[良い点] やはりファンタジー物はハッピーエンドがいいですね。 [一言] まずは連載作品の完結おめでとうございます。お疲れ様でした。 7ヶ月で40万文字以上の作品を完結させるのは並みならぬ情熱と努力…
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