表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/147

145話 善き世界を目指して

いつもありがとうございます!


次話が最終回になります。

AM9時頃、投稿しますのでどうぞよろしくお願いいたします!

 



 何とかアレースローンと二人で規格外の化物を倒すことが出来た。

 俺一人だけだとかなりの苦戦を強いられたかもしれない。

 それだけの強敵だった。


 しかし、まさかこんな所でこんな厄介な存在と戦うことになるとは。まして何度も殺し合いをしてきた相手と共闘する場面が来るなんて思いもしなかった。

 その共闘した相手は、体半分を溶かされ回復に専念している。

 アレースローンは自身の体を治しながら話しかけてきた。



「タクトよ。私だけではあの化物に勝てなかっただろう。私が蒔いた種の後始末を手伝ってもらい感謝する」



「俺の方こそだよ。まさかお前と一緒に戦うことになるなんてな。人生は何が起こるか分からないもんだな」



「ふっ。そなたは特に波乱万丈の人生だな。私を倒す為にアフロイーリスに無理矢理に転生され、トランスヴァールの意志を引き継ぎ私と殺し合い。そして、殺すべき対象の私を救ってくれたのだ。タクトはこの世界のみならず、数多の世界すらも救った救世主だ」



 手放しに褒められるのは照れる。

 頬をポリポリと掻きながら言った。



「それなら……良かったかな。やっぱり皆が争いもなく平穏に過ごせるのが一番だと思うから」



 この世界に来てから色んな奴等と戦ったが、それは世界を守る為でもあったけど、大切なアルフィン達を守りたかったからだ。

 でもこれで俺の力が必要になる事はないと思う。

 平和になれば戦う必要がなくなるから。




 休憩をした後ユグドラシルの修復と調整をしている女神の所まで戻った。

 まだ作業は終わっていないらしく、世話しなく(コア)に触れながら良く分からない言葉を呟いている。



「女神。ユグドラシルの方は順調か?」



「タクトさん。アレースローンも。無事にあの脅威は退けたのですね」



「うむ。危うくまた死ぬ所だったがな。中々の強敵だった」



「そうだな。あの化物とはもう戦いたくない」



 あの化物の姿を思い出すだけで殺されそうになった時の恐怖が甦る。



「得たいの知れない者と戦われていたのは伝わってきてましたが、貴方達お二人にそこまで言わせる相手でしたか」



「私達が戦ったのは人間の悪意の集合体だ。人間は善い部分と悪しき部分との二面性を持つ生き物だが、これからは両方のバランスを保つ事が必要になるのであろうな。そうでないとまたあの化物が出ないとも限らない」



 様々な要因と、ハーディーンの行動が引き金になってあの化物は誕生した。

 何とか倒す事は出来たけど、また現れない保証なんてない。

 そしてそれは、俺達人間の行動次第。

 これからは、皆で相談しながら力を合わせながら善い世界にしていこうと改めて決意した。




 やがて作業は終わり、ユグドラシルの(コア)が眩しい光を放った。



「作業は無事に終了しました。(コア)も修復しましたのでマギア・フロンティアを襲っていた崩落は止まった筈です」



 外の世界の様子を確認してみた。



「魔力の漏れも無くなったし、地震も止まったみたいだ」



 アルフィン達も無事にルーデウスまで避難している。

 街は結構やられたけどそれは後で直せばいい。

 とにかく世界の破滅を止められた事にほっと胸をなで下ろす。



「それでは。これからユグドラシルを介して他の世界とも接続します。ですが、その前に貴方にお礼を申し上げます。この度は、わたしの勝手な判断、力の行使による転生。ハーディーンから世界を守って欲しいとのお願いを聞いて頂きありがとうございます」



 深く頭を下げお礼を言われた。



「転生の事は前も言ったけどさ、気にしないでくれ。謝ってくれたし気にしていない。ハーディーンとの事は、アレースローンが自分で改心してくれたからそれも気にしなくていいよ」



 アレースローンが気まずそうな顔をして言った。



「私からも礼を言わせて欲しい。こんな私を文字通りに命懸けで止めてくれて感謝している。お陰でターニアをこれ以上泣かせなくてすみそうだよ」



「いや、だから良いってお礼なんて。これからは温かい目で人間を見守ってくれればさ」



 俺の言葉を聞いたアフロイーリスとアレースローンが、お互いの顔を見た後頷いた。



「その事なのですが。今回の一連の出来事において、わたし達神は、人間と世界に干渉する事をやめようと思います」



「何でだ? 今回はこんな事になったけどまだ女神達の力を必要としている世界だってある筈だ。その人達は見捨てられるのか?」



「誤解しないでください。人間達がどうなってもいいと云うわけではありません。これからも、世界を維持していけるように陰ながら秩序と安定を図っていきます。

 只、今までわたし達はより良い未来の為に人間を導いてきたつもりでしたが、果たしてそれは本当に正しい事であったのかと今回の件で考えさせられたのです。

 過度に干渉し過ぎていたのではないかと。それは人間の自律を妨げる事にも繋がりかねません。わたし達が関わらなくたってタクトさん達のように、高い意識を持つ人達がいます。

 タクトさん達であれば、善き世界を造ってくれると期待も込めての考えなのです」



「私もアフロイーリスと同じ考えだ。人間達に干渉するべきではないと思う。

 それは、自分達の足で立ち上がり歩きだす力を奪いかねないと思いアフロイーリスと決めた。

 私は世界に物理的に干渉して多くの死者を不幸な者達を生み出してしまった。だからその責任も取り、これからは他者を傷つける力を、危害を加える力を放棄する。

 そしてこの戦神としての力をタクトに譲りたい。

 私はもう誰も傷つけたくない。私には必要ない力だ。受け取ってくれるか?」



 二人からは、覚悟が感じられた。

 この決断だって簡単に出来ることではない。

 干渉する力を放棄することは、人間が間違った場合に止めることが出来なくなる事。

 それでも、敢えて放棄するのは今後こそ人間を信じ抜く決意があるからだと思う。

 その覚悟を見せられた俺には、二人の決断を覆す事は出来ない。



「…………分かった。二人の気持ちを尊重する。確かに人間は自分達よりも崇高な存在がいると、それにすがって依存してしまう。都合の良い時だけ、神を信じ例え自分の選択肢が間違っていても、それを理由にして過ちを犯す。

 だから、もうこれからは自分達の自己責任で世界を守っていかないといけないんだと思う。せっかく世界を守ってくれている女神達には残酷な結果になることも何処かの世界で出てくると思うけど。そうならないように精一杯生きていくからさ。俺達人間も神離れしないとな」



「理解して頂いてありがとうございます。そしてアレースローンだけに責任を取らせるつもりはありません。わたしも又、責任を取って神としての力の大半を放棄します」



「それが、私達なりの覚悟だ。それでは力を受け取ってくれ」



 アレースローンが両手を前に突き出すと、そこから白色の光の玉が浮かび上がり俺の体に吸い込まれた。

 自分の能力が強化されていくのが分かる。

 魔力や戦神としての能力、戦闘経験までも渡してくれた。



「もう戦う事もなさそうだけど、パワーアップしちゃったな」



「ふっ。タクトはもうれっきとした化物だな。そなたと私の力が合わさった。望めば全世界を支配出来るぞ。思うがままやりたい放題に出来るぞ?」



 アレースローンが冗談を言う。



「いやいや。やらないよ。俺はアルフィン達がいるこのマギア・フロンティアだけでいいって。俺はこの世界で生きていきたい」



「それは本心ですか?」



「ん? どういうこと?」



「もし。タクトさんが望むのでしたら、もう一度地球で生を与える事も出来ます。好きな条件で環境で望む力を与える事も出来ます。それだけの功績を貴方はしてくださいました」



 転生すればもう一度地球で生きられる。

 家族や友人達にも、会うことは出来る。


 でも。



「いや。俺はもうこのマギア・フロンティアで何よりも大切な存在が出来た。だから、俺はこの世界で生きていきたい。せっかくの申し出だけど、断るよ」



 俺の答えを聞いた女神が美しい微笑みを浮かべた。



「分かりました。大切な存在に出会えて良かったですね。どうか幸せになってください。それでは地上への道を造ります」



 女神が光輝く扉を作った。



「これは?」



「その扉を潜ると、地上に戻る事が出来ます。あとここは、地上と時間の流れが違いますので外では日数が経過しています。一応伝えておきますね」



 外とは時間の流れが違うのか。

 そう言えば、この前の時もそうだったな。

 だったら早く帰らないと。

 皆に早く会いたい。



「ありがとう。これからは皆と力を合わせて、相談しながらやっていくよ。二人に誓ったとおり絶対に失望させない世界にしていくから」



「私はそなたを信じる。どうか願わくばこれから先、人間達が善き未来を築いていってくれることを」



 アレースローンから右手が差し出された。



「ああ期待していてくれ。それじゃあ、二人とも元気で」



 それを確りと握り返した。

 二人に見守られながら光の扉からアルフィン達が待つマギア・フロンティアへと帰った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=123401350&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ