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137話 認められないもの

 



 俺の放出する黄金色の魔力を見てハーディーンが叫んだ。



「あり得ん! あり得ん! あり得ん!! 想いの力だと? ふざけるな! そんなもの存在しない! 穢れきった人間共が他者を思いやる事で力を増すなど。その様な力があるなど……認めてたまるかー!!」



 怒号をあげると、暗黒の魔力を今日一番に高めて突進してきた。

 その動きは洗練され、無駄がない。

 俺なんかより遥かに戦闘経験を積んできた者の、完成された動き。


 だけど。

 どれだけ速く動こうとも、ハーディーンが仕掛けようとする場所が手に取る様に理解出来る俺には通用しない。


 魔力装填された拳を左手で受け止め、そのままがら空きの腹に右手を打ち込んだ。

 その一撃は力を込めていないにも関わらず、圧倒的な破壊力を生み出す。



「ぐぼおあっ……おああ……ゴホッ! ……」



 肋骨を何本かへし折る感触を右手に感じる。

 ハーディーンはたった一撃拳を打ち込んだだけで、吐血をし足元をよろめかせた。



「……ぐふぅっ……おのれ……おのれ! はああぁぁーっ!!」



 顔を憎しみに染めて、さっきよりも更に洗練された動きで蹴りを放ってきた。

 それを半歩横にずれてかわし、斜めから顔面を殴りつける。



「がはあぅあっ……バカな……そんなことが。認めぬ! 余を凌駕する力などー!!」



 尚も連続で仕掛けてくる攻撃を全て捌いて、カウンターで返した。



「……そ……そんなわけがない。余の力が通じぬ等……許してたまるか! 余は戦神だぞ! たかが人間に……穢れた人間に! この様な仕打ちなど……許してはいけない! 死ぬぇい!」



 激情して至近距離から魔法を放とうと魔力を溜めるのが分かった。



「この距離では余も被害を受けるが構わぬ! 消し飛べ! ヘイルリクウェイト・ハザード!!」



 隕石魔法よりも更に強力な力が込められた神級魔法を放った。

 大陸一つ破壊出来るほどの魔力が込められた、暗黒の業炎が真っ直ぐ飛んで来る。

 それに俺もハーディーンの魔法を上回る神級魔法で、撃ち返すことにした。


 皆がくれた思いを魔力に変換する。

 皆の笑顔を思い浮かべながら、優しい魔法を造り出した。



「思いやりの力」



 俺の右手から黄金色の魔法が放たれる。

 暗黒色の魔法と、黄金色の魔法が真正面からぶつかり合い、二つの尋常ではない魔力で構成された魔法が押し合いになった。

 しかし拮抗したのは一瞬で、俺の魔法がハーディーンの魔法を弾き飛ばす。



「そ……ん……な……余の……神級魔法が……防がれただと? ……あり得ない! あり得ない! あり得ない!」



 信じたくないと、何度も何度も魔法を放つが全て弾き飛ばす。



「…………」



 悉く防がれ、自身の力が通用しない現実に、ショックを受けてか沈黙する。



「ハーディーンもうやめよう。決着は着いた。これ以上はもう無意味だよ」



 戦いの休止を申し出た。

 これ以上戦った所で俺の優位は変わらないし、ハーディーンの底は見えた。


 俺はハーディーンを殺したいわけではない。

 確かにコイツのやってきた非道に対して、甘いかも知れないけど。

 きちんと反省をし、神として世界に悪影響を与えた責任を取りこれ以上マギア・フロンティアや俺の前世の地球、他の世界に何もしなければ命を取る必要はないと考えていた。

 コイツがどうしても全てを破壊したいのであれば……残念だけど俺の能力で完全に消し去らなければならないけど。



「……何故だ……何故余の力が通用しない? 何故神である余がとっくに見限った人間に追い込まれているのだ? 人間にこの様な力があるなど余は知らない……。余は間違っていたというのか? 余は人間を理解していなかったとでも言うのか?」



 混乱していて俺の言葉は聞こえていないみたいだ。

 ひたすら一人でブツブツと言っていたと思うと、叫びだした。



「…………いや……余が間違う筈がないではないか。

 余は神だぞ?

 間違っているのは……人間共だ! そうだそうに違いない。

 余はここで倒れるわけにはいかぬのだ。

  余が間違っていたなど認めたら、今まで何の為に、非情に徹してきたか分からぬではないか!

 そんなものは、認めるわけにはいかない!

 認めたら……()()()()死が無駄になってしまう」



 あの子?

 幾つか気になる言葉が出たけど。

 聞いても話してくれないだろう。

 どうすれば落ち着いて話してくれるだろうか。



 ひとしきり叫び終わると、弱まっていた暗黒の魔力がまた高まりを見せる。

 いや、どんどんと上昇をみせていった。



「余が間違う筈がない! 間違えているのは……そなただー!!



 なりふり構わず体全体で突進してきた。

 その両肩に手を置き体を止めながらそしてもう一度呼び掛ける。



「もう、勝負は決した。これ以上は、やめよう。俺はお前ときちんと話がしたい。お前はまだやり直しが出来る筈だ」



「うるさい! 話など無いわー!! おおおおおおお!!」



 俺の体をガッチリ抱きしめ、逃がさないように拘束してきた。

 そのままこの至近距離で、急速に魔力を高めていく。


 まさか……。

 急激に且つ、不穏な魔力の高まりを見てハーディーンは、自爆しようとしているのが分かった。



「やめろ! こんなことしても、無駄だ。離せ!」



「力の何割かはまた失うが余は不死身だ! だが、そなたは違うだろう? 残念だったな。この勝負……余の勝ちだー!」



 クソッ!

 聞いてない!

 一気に放出された魔力の奔流に俺達はのみこまれた。


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