126話 四天王再び①
連合軍の皆が魔物を担当してくれたお陰で、俺達四人は消耗することもなく、ハーディーンの魔力反応がする場所へと足を踏み入れることが出来た。
ワープの石盤を設置しに来た時、ハーディーンの魔力を探るとどこか違和感みたいなものを感じたから何かあると思ってたが。
「やっぱりか……」
ここも、通常のとは違い不可思議な空間になっていた。
「変な場所何にも無いの。それに真っ暗」
「そうですわね。生気も感じられませんし、明かりさえも無いとは。これでは危ないので照らしますね。フラッシュライト!」
アルフィンが照明魔法でこの場所を照らしてくれたお陰で、より詳しくこの場所を見れる様になったが、周りを見渡しても何も存在していなかった。
「ありがとうございます。どうやらここは、とてつもなく広い場所のようですね」
「タクトさん。何か気づかれたご様子でしたが、ここがどのような場所か知ってらっしゃるのですか?」
「ここは、女神が居た所と凄く似ているんだ」
「女神様がいらっしゃる所とですか?」
「そう。あそこも、ものすごく広くて物も何も無かった。ただ白さだけが際立っているだけで不思議な空間だったんだ。ここも同じように広くて何も無い。唯一違うのは、真っ暗な事だけかな」
女神の所は白くて、ここは光すらも入らない程に闇が支配している。
それとあまり長居しない方がいいかもしれない。
さっきから少しずつ魔力が邪に染まっていく様な感覚もする。
「先に進もう。この空間は、俺達にも負の作用を及ぼしそうだ。精神汚染もあるかもしれないから、気をつけて」
「せいしんおせん? ってなあに?」
「何か気持ちが落ち込んだり、悪いことを考えたりするかもしれないと言う事ですわ」
「この場所は、特殊な感じも受けます。どの様な不利な事態になるかも分かりません。気をつけましょう」
「うん。分かったの」
今一度気持ちを引き締める。
ここは、ハーディーンの根城だ。
何を仕掛けているかも分からない。
慎重に進もう。
入口から歩みを進めると、ここにも当然の様に魔物がいた。
そして、各ポイント毎に魔物を産み出す装置が置かれていた。
繭のようなもので、くるまれた卵が無数にある。
アルフィンと、ナエがそれを見て青い顔をしながら悲鳴をあげている横で、俺とシズクはそれらを壊していった。
進んだ先々で、それらの光景と(一部が)悪戦苦闘しながらハーディーンの魔力がする方向へと歩いていく。
「うううっ。もうあの光景は見たくありません。わたくしはあの光景は一生忘れないでしょう」
「あたしも。絶対に夢に出てくるの……お兄ちゃん今日一瞬に寝てもいい?」
アルフィンとナエが口元を抑え青白い顔をしている。
「あはは……。確かに気持ち悪かったですね。アルフィン様とナエちゃんの気持ちも分かります」
「でも、皆が気持ち悪いのを我慢したからこれで魔物の数も減っていくだろうね」
「それでしたら我慢した甲斐がありますわね。……ですがこの先にも多数の魔物の気配がしますね」
アルフィンが道の先を見つめ、険しい表情をする。
「ええ。それに奥に進むにつれ、一体一体の魔物の強さも上がっている気がします」
「うん。段々と手強くなってきたの。お兄ちゃんまだ先だよね? 悪い人がいるのは」
「まだ半分も近づいてないかな。このままトラップとか無く、魔物だけ出てくれれば楽なんだけど――――そう簡単にはいかないか」
進路方向から、さっきまで相手をしていた魔物とは比べられない程に強力な魔力が近づいてくるのを感じた。
「皆! 気をつけろ。強いのが来るぞ」
注意換気をすると全員が構えて、魔力がする方向を見据える。
その注視する方向から姿を現したのは。
「…………あれは。ゲラルド? いや……でも、ゲラルドは私が倒しました。では、あれは……」
偽物かと、現れたゲラルドを見る。
「……どうなってるのかは、分からないけどゲラルドで間違いないみたいだ。ただ、魔力圧力もトランスヴァールに居た時よりもパワーアップしているし、それに……あの黒い魔力。あれが気になるな」
「…………」
ハーディーンが使っていた様な変な魔力を纏っているけど姿形は、ゲラルドと同じ。
ただ、言葉を話さずに目の焦点が合ってなくて様子がおかしい。
「様子が変なのが気になるが、倒して先に行こう」
魔力を練ろうとすると、シズクから待ったがかかった。
「いいえ。ここは、わたしに任せてください。タクトさん達は先に進んでください」
「え? いや、でも」
「大丈夫ですから。それに、タクトさんは力を温存しておいてください。ハーディーンを倒す為にもこんな所で力を使うべきではありません」
それでも危ないから却下だと言おうとシズクの顔を見ると、絶対に大丈夫だからと自信を覗かせる顔をしていた。
「……分かった。シズクを信じるよ気をつけて」
「信じてくれてありがとうございます。私は、こんなところで負けません。直ぐに追い付きますので」
「シズクお姉ちゃん。絶対負けないでね」
「……シズク。待ってますわよ」
「はい! 必ず追い付きます!」
ゲラルドの相手をシズクに任せて俺達は先に進む。
ある程度まで進んだ先で、後ろから二人が激突する音が聞こえた。
シズク待ってるぞ。
三人になり、暗闇を照らしながら雑魚敵を倒しながら進んだ地点で、またも巨大な魔力が近づいてくるのを感知した。
「……またか」
「……この魔力の感じは。あたしが倒した……」
魔力の先からは、ナエの予想通りの姿をした者が現れる。
「…………」
ゲラルド同様にやっぱり様子がおかしい。
あの黒い魔力を纏っているのも。
「様子が変だけど、やっぱりジャギなの……。でも、何で」
「ジャギまで……倒した相手が現れるとはどうなっているのでしょうか?」
「新たに造り出したのか……。もしくは、完全に死んでなかったか……ハーディーンなら何でもやれそうだから、分からないな」
「神としての力ですか。厄介です。危険な相手ですから、皆で――」
「ここはあたしに任せてほしいの。それにジャギと約束したの。次に会えた時は、友達になろうねって。だから、もし悪い人がジャギに嫌な事をしたなら、あたしが許さないの!」




