120話 シズクと
アルフィンとお互いの気持ちを伝え合い唇を交わした。
その後は妙な照れ臭さと、存在の繋がりが増したのを感じながら少し歩き、オシャレなレストランに入りこの時にアルフィンにも俺特性の腕輪を渡した。
ナエとシズクにも送った物同様に、魔力付与をたっぷりと込められた物を。
今はホテルへの帰り道で、夜空を手を繋ぎながら歩いている。
「わたくしはとても幸せです。タクトさんに愛をいただく事が出来ました。わたくしの初恋がこの様に実るなんて今でも信じられない気持ちでおります」
そう言ってくれるアルフィンの顔は、本当に幸せだと思ってくれているようだ。
微笑みを浮かべ、いつもよりも更に美少女度が上がっている気がする。
「ですが、タクトさんをお慕いしているのは、わたくしだけではありません。もうお気づきになっていらっしゃると思いますが、シズクも同様にタクトさんを愛しております。ですからどうか、シズクにもお気持ちをお伝えしてください」
「俺が言うのもなんだけど、アルフィンがいるのにその上でシズクを……」
「わたくしは、シズクであればタクトさんが愛を向けられても構いません。わたくしにとっても彼女は大切で、その気持ちも理解しております。多分、身を引く事を言われていたと思いますが、それは本心ではない筈です。ですからどうか、シズクの事も受け入れてください。わたくしはそれを望んでいます」
もう一度ここで自分の気持ちを考えてみた。
俺は……シズクが好きだ。
そして、シズクも俺にその気持ちを伝えてくれている。
だけど、シズクはアルフィンに気を使い自分の気持ちに蓋をしようとしたのかもしれない。
端から見たら、二名もの女性を好きになるなんて良くない事だとは思う。だけど、自分の気持ちに嘘はつけない。
やっぱりシズクにも気持ちを伝えよう。
「分かったよ俺もシズクが大切だ。アルフィンとシズクを愛している。帰ったら気持ちを伝えるよ」
「はい。頑張ってくださいね」
またまた笑顔で応援してくれる。
我ながら本当に素晴らしい女性を好きになったもんだ。
自分でもそう思う。
決意をしてホテルに戻り、シズクに外に出て来てもらった。
そしてそのまま一緒に散歩する。
話しがあるからと連れ出したので、シズクは俺から話を切り出すのを待っているかの様に、静かに俺の少し後ろを歩いていた。
「シズク」
「何ですか?」
「先ずは、さっき背中を押してくれてありがとう。お陰でアルフィンに気持ちを伝えられたよ」
「それは良かったです」
シズクは優しい微笑みを浮かべる。
アルフィンの幸せを心の底から祝っているかの様に。
「……それで。俺は……男として二人の女性を同時に好きになるのは、最低に近い行為かもしれないけど……それでも、俺はシズクの事も好きだ。シズクとも特別な関係になりたいと思っている」
シズクは黙って俺の目を見て話しを聞いていた。
その瞳は、揺らいでいた。
そして、今度はシズクがその口を開く。
「私もタクトさんが好きです」
「それじゃあ――」
「ですが。私もタクトさんを好きになっても良いのでしょうか。今までは、タクトさんがお気持ちを決めるまではと、気を引きたくてアピールしてきました……。ですが、元々タクトさんを好きになったのはアルフィン様が先。それで私もと云うのは、アルフィン様にも悪い気がして……」
「アルフィンはシズクのことを言っていたよ。
さっきアルフィンが言っていた言葉をシズクに伝えた。
「……アルフィン様がその様な事を……」
アルフィンの言葉を考えているのか下を向き、何度か口ずさんでいる。
「……俺も悩んだけど、結局は自分の気持ちに嘘はつけないことが分かったよ。だから、もう一度言う」
シズクの顔を見ようと視線を向けると、さっきよりも揺らぎが少なくなったその瞳と交差した。
「シズクが好きだ。俺と特別な関係になって欲しい。これから先の未来も一緒にいたい」
「私も……タクトさんが好きです。これからもずっと側に居させて下さい。よろしくお願いします」
姿勢良く頭を下げられた。
気持ちが伝わったのが嬉しくて、シズクを抱き締める。
暫く抱きしめ合いお互いの温もりと、大切な者の存在を確認した後、照れ臭ささを感じながら体を離し、別々に部屋へと戻った。
自室のベッドに横になって今日一日を振り返っていた。
今日は大切な告白を二回もして、緊張して気疲れした。
でも。
その疲れなんか吹き飛ぶ程に、充実感も感じていた。
これから先の未来で彼女達と過ごす幸せな光景を思うと、楽しみで仕方がない。
アルフィンとシズクには、俺の全身全霊をかけて幸せにしよう。
その為には。
いよいよ明日ルーデウスに集まり、暗黒大陸へと突撃をかける。
今日進展した大切な彼女達との素晴らしい未来のためにも、明日は絶対に勝たないといけない。
そう決意をして眠りについた。




