107話 託された思い
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女神にずっと気になっていたことを聞くことができた。
納得がいった部分、いかなかった部分はあるけどちゃんと、知ることが出来て良かったと思う。
質問を終えて、これからどうするかを話していると、俺を今まで何度も助けてくれた人物がこの場所に現れた。
「よう。やっぱりここにいたんだな」
この場所にやって来たのは、ユーリだった。
いつもは念話みたいに話をするだけだけど、こうして顔を見ながら話すのは初めてだ。
トランスヴァールに飾ってあった、肖像画を観たことがあるから顔は知っていたが、本物はめちゃくちゃイケメンじゃないか。
「女神から俺の代わりに戦ってくれたと、聞いたよ。ありがとう。アルフィン達は大丈夫かな?」
「ああ、クソ野郎はぶっ飛ばしといたから、とりあえず一週間の猶予は作れた。問題は……姫さんが号泣だったことだな。目元を真っ赤に腫らして泣いていたぞ?」
やっぱり、アルフィンを泣かせてしまっていたか……。
申し訳ない気持ちで、いっぱいになる。
ユーリは、少しからかいを含む表情をして言った。
「ここから戻ったら、キスの一つや二つぐらいしてやれよ?」
「分かったよ。正直自信ないけど、色々と頑張る事にする」
「ハハハ。相変わらずヘタレじゃねーか」
ひとしきり笑った後、じっと顔を見てくる。
「冗談はさておき……その顔を見ると、女神から大体は聞いた後みたいだな?」
俺の目を見て何かを感じ取ったのか。
察しがいいからなのか分からないけど、ユーリは話はほとんど終わっていることに、気づいた様だ。
「さっきまで聞いてたよ。ハーディーンの事も、俺の転生の事も、あの能力の事も」
「そうだったか。俺は直接聞いた事はないが、今日までずっと考えていたから大体は察しがつく。それで――スッキリしたか?」
「正直モヤッとした部分もあるけど、ずっと引っ掛かってた事が分かってスッキリもしたよ。これでまた。戦える」
俺の返答を聞いて、安心したのか軽く息を吐いた。
「……そうか。それは何よりだ。ならあとは、お前の復活の事だけだな。肉体は姫さんが治す様に言っといたから、残るはタクトの存在骨子か。女神、俺はどうすればいい?」
ユーリは女神の方を向いて質問する。
少し離れた所から俺達のやり取りを聞いていた女神が前に出てきた。
「こうして直接話すのは初めてですね。ユーリ陛下。マギア・フロンティアの為に、400年間もご尽力くださりありがとうございました。今日までこの世界の為に、大切な物を犠牲にしてまでお力を尽くしてくださった事。本当に感謝しております」
ユーリに向かって頭を下げた。
立場なら、神である女神の方が上なんだろうけど礼儀をキチンとしている。
俺に対してもそうだが、感謝の心と謝罪の心を表すのに立場は関係ないのかもしれない。
「そう言えば、そうだな。ほとんど接触もしなかったが、こんなスゲー美人だったとはな」
「……フフ。そう言っていただけると嬉しいです」
女神は、美しい微笑みを浮かべる。
ユーリの言うとおり、女神もスゲー美人なんだよ。
アルフィンと、シズクには敵わないけど。
「まぁ。ラクスの方が、美人だけどな。あんたは二番目ぐらいだ」
「まぁ。フフ」
「ハハ。確認だが。結局、俺が待ち望んだ存在は、タクトだったんだよな?」
「はい。そうです。貴方が、ユグドラシルを通して要望した人物は、タクトさんです。長い間待たせてしまいましたが」
「それはしょうがないだろうさ。こんなある意味で、神の様な力の素質を持つのは、限りなくレアだろう。だけど、これで。クソ野郎を倒せる。タクトを無事に復活させればだが」
さっきまでの少しおちゃらけた雰囲気を追いやり、本気の表情で質問をするユーリ。
女神も、それに合わせて真剣な表情で、答えた。
「……察しの良い、貴方ならばもう分かっているかも知れませんが、タクトさんに、貴方の魂を存在させている全ての力を託していただくことになります」
「ああ。問題ない。元々俺は最初から、そのつもりだったしな」
ユーリは簡単な事の様に言うけど……でも、それは。
「……ちょっと待ってくれ。俺の状態って、そんなに悪いのか?
ユーリの……その……魂を使うとか……」
「気にしなくていい。姫さんにも言ったが、俺は400年前に終わっている人間だ。たまたま、今日まで魂だけは存在出来ていただけだ。それに、いつまでもこうしてられねぇしな。ラクスも待たせている。もういい加減逝かねぇとな」
「ユーリ……」
「だから、そんな顔するなって。タクトお前が俺の望む存在で良かったよ。いきなり訳も分からない状況で、マギア・フロンティアをハーディーンから守れなんて言われて、素直に動いてくれた。俺の言うとおりにも、修行も、その他も頑張ったな。その優しさ、人の良さがあったからこそ。ここまで世界は守られてきたんだ。だから、何も気にせず受け取っておけ」
自分の存在すらも、俺を助ける為に使おうとしてくれるユーリの優しさと、温かさに涙が出そうになる。
だけど、ここで泣いてしまったらユーリに心配をかけてしまう。
だから、必死に我慢した。
「ありがとう。本当にありがとう」
「だから。気にすんなって。あ、そうだ。一応俺がいなくなった後の事も伝えておく――」
ユーリに、後で行っといた方がいい場所と、やっといた方がいい事を教えてもらった。
本当に……最後まで、俺や、皆の心配までしてくれて……。
ユーリには、頭が上がらないな。
「分かった。これもしっかりやらせてもらうから。
……ユーリ。ありがとう。後は、任せてくれ。ユーリが安心出来るように、必ずやり遂げるから」
「おう。後は……頼むぜ。これから先の未来は、ハーディーンの物じゃない。お前達の物だ。しっかり世界と連携して、平和な世の中にしてくれ」
ガッチリと握手を交わした。
「それじゃあ……。行くわ。女神頼む」
「それでは……行います」
女神が俺達二人に手を翳すと。
ユーリが眩しい程の、光の珠となって俺の体に入っていく。
魂がまた俺に戻った感じではなく、俺の足りなくなった体のピースが補われていく様な感覚を受けた。
これはユーリの記憶だろうか。
俺がまだ見たことない場所が映像となって流れていく。
そして、これまで歩んできたユーリの足跡も。
更に、ユーリの戦闘の経験値と、知識、体の動かし方から魔力までも、本当にユーリの全てを授けてくれた。
「……ユーリ。ありがとう。託してくれた思いも、力も。必ず世界の為に使うと誓う」
ユーリに感謝しながら、絶対にやり遂げると誓いを立てた。
お読み頂きありがとうございました
(*- -)(*_ _)ペコリ




