103話 絶望と希望
よろしくお願いします!
「皆は絶対に、死なせない! うおおおおおおおおおおーー!!」
何としてでも、皆の軌道上にある魔法だけでも消し去るんだ!!
もう、魔力は枯渇しているのは分かっているけど、俺の体、皆を守るだけの力を生み出してくれ!
皆を守る為の力をどうか!!
体中に激痛を感じながら、無理やりに魔力核を稼働させることで、アルフィン達の頭上にあった隕石を破壊する事が出来た。
もう、体内の魔力はスッカラカンになったけどなんとかなった。
「あっ……」
魔法が消えたのを確認して、安堵してしまった。
体に力が入らずにグラリと、前のめりで倒れこんでしまう。
「タクトさん!」
少し離れた所から俺を呼ぶアルフィンの声が聞こえた。
「……良かった……無事だった……か……うあっ! ……うぐぅあぁあああああああああっ!!」
皆の無事が確認出来た途端、体中に耐え難い痛みが襲う。
魔力核が、体の芯がバラバラになってしまいそうに痛い。
「がああぁぁぁあぁぁあぁぁ!!」
あまりの痛さにその場を転げ回る。
痛みで意識を保てなくなりそうだ……。
駄目だ……。まだ、ハーディーンを倒した訳じゃないんだぞ。
立ち上がって……皆を守らないと。
立て!! 立たないと、皆が殺されてしまう!
だけど、体は意思に反して動いてくれない。
体が痛くて、苦しくて力が入らない……。
起き上がることができない。
「……今のも、防いで見せるとは……。だが。もう楽になれ。今すぐ、そなたに永遠を与えよう」
邪神は、とどめを刺そうと右腕を高く上げ、そこに高密度の魔力を溜めていく。
「やめてーー!!」
それを見たアルフィンが、悲鳴をあげながらシズクとナエがいる場所から、駆けてきた。
そのまま、俺に覆い被さり自分の身を呈して、ハーディーンの攻撃から守ろうとする。
「……アルフィン……駄目だ……逃げるんだ……」
「嫌です! このまま、タクトさんが殺されるなんて!」
「互いに、互いを護り合うか……涙ぐましいな。ならば慈悲だ。一緒に逝け!」
ハーディーンは、魔力を溜めた腕を振り下ろし、魔法を放った。
駄目だ……。
このままじゃあ……。
一緒に殺されてしまう……。
アルフィンだけは。
それだけは、絶対にやらせない!
「駄目だーー!! うおおおおおおおお!!」
アルフィンを突飛ばし、間に立ってハーディーンの魔法をその身で受けた。
「いやあぁぁぁーー!! タクトさん!! やめてください! そんな体で、魔法をうけたら……タクトさんが死んじゃう……」
アルフィンの悲鳴が聞こえる。
ごめんな……泣かせてしまったか……ごめん。
だけど。
必ず守るから。
俺はどうなってもいい。
アルフィンだけは!
何としても!
護る!
「うおおお! 護るんだーー!」
魔法が、俺の体を傷つけていく。
血が吹き出し体を朱に染めていくが、そんなの関係ない。
俺の命を使ってでも、皆を。
ドクンッ!!
【クソッ! 寝ている間にこんな事になってやがった。タクト! もういい!! 代われ! このままじゃ死ぬぞ!!】
「俺が……皆を……守らないと……」
【タクト! 代われ!】
「……俺が……皆を……守……る……」
【タクト! ……駄目だ。聞こえてない……どうする……】
「……俺が……」
【っ! 意識を失ったか。今だ!】
俺が皆を……。
薄れいく意識の中で、アルフィンの悲鳴が聞こえる。
誰かに名前を呼ばれる声と、引っ張られる感覚、ユグドラシルが点滅しているのを見ながら意識を手離した。
タクトside
out
―――――――――――――――――――――――
ユーリside
ハーディーンが復活したと連絡を聞いてから、今度こそクソ邪神を倒す力を溜めるためにまた眠る事にした。
それが、間違いだった。
俺は、ハーディーンが完全に力を取り戻してから暗黒大陸を出ると思っていたが、まさかこんなに早く来やがるとは予想していなかった。
目が覚めた時には、タクトの命が危ない状態になっていた。
タクトが意識を失った瞬間に、無理やりタクトの意識を深層に押しやり、俺が体を使うことにしたが。
「まずは、この魔法を何とかしねぇと」
一気に魔力を高め、魔法を吹き飛ばす。
「なんだと! 余の魔法をこんな状態で弾くなど……それに、この魔力は……」
400年振りに見たクソ野郎の顔は、驚きに染まっていた。
「オラアッ!」
まずはそのいけすかねぇ面に、右拳を叩き込んでぶっ飛ばす。
「ぐふうあぁぁっ!」
クソ野郎と一旦距離を取ったからこれで、涙を流して泣いている姫さんと話が出来る。
「後は、任せろ。コイツの相手は俺がやる」
「……ひっく……ううっ……この……魔力反応は。……ユーリ陛下……ですか?」
「ああ、そうだ。タクトに代わってこの体を使っている」
「ユーリ陛下! タクトさんが!!」
「ああ。分かってる」
「タクトさんは、無事なんですか!?」
顔をグシャグシャにしながら、姫さんが聞いてきた。
「……タクトの存在を構成している芯と心に負荷とダメージを負いすぎた。傷は姫さんが治せるが、芯と心は……。すまない、俺がもっと早く気づければ……。正直タクトがどうなるか、分からない」
「……そんな……タクトさんが……」
姫さんがガクッと崩れ落ちる。
ごめんな。俺のせいだ。
後でいくらでも、文句を言ってくれてもいい。
今は、タクトがこんなになってまでも守ろうとした、姫さん達を守らないとな。
タクトの代わりに。
「……この忌々しい、魔力は……!」
吹き飛ばした地点から近づいてきた。
「よう、暫くだな。こうして向かい合うのは」
「ユーリ・ライゼ・トランスヴァール!!」
もの凄い形相で睨みつけてくる。
「そなたの忌々しい封印のせいで、余が400年もの間……! よくも! よくもー!!」
額に青筋を浮かべ、怒鳴り付けてくる。
カンカンだな。だが。
「神の癖に、こんな事でキレんなよ。それに――――キレてるのは、お前だけじゃねぇ!! 俺も、てめぇに返す借りがあんだよ! それを返させてもらうぜ!」
お読み頂きありがとうございました
(*- -)(*_ _)ペコリ




