表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】異世界でお兄様に殺されないよう、精一杯がんばった結果【コミカライズ】  作者: 倉本縞


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/100

13.パトラッシュと一緒

そんなわけで週末、私は優しいイケメン騎士にエスコートされてお買い物、という人生初のパラダイスを堪能していた。

こんな幸せ、今まで経験したことがあっただろうか。いや、ない。速攻で答えが出る。


私は、ゆっくり隣を歩くラッシュを見上げた。

柔らかそうな茶色の髪に優しそうな緑の瞳が印象的な、非常に好感度の高いイケメンだ。

単に顔の美しさだけで言うなら、ラス兄様の圧勝だが、ラッシュは親しみやすい美形で、イケメンという言葉がぴったりする。

お兄様レベルの気おくれするような美形より、ラッシュのほうが好みだという女の子も多いだろう。


「マリーさん、お腹すきませんか? あそこの屋台が人気みたいなんですけど、どうでしょう?」

「いいですね!」


人混みではぐれないようにという気づかいなのか、ラッシュがそっと私の手を握ってきた。

家族以外の男性に手を握られたことなど皆無の私は、それだけでドキドキしてしまった。


ああ、フォール地方に来てほんと良かった!

こんなデートみたいなこと、この世界でもできるとは思わなかった。

まあ、ラッシュは騎士道精神を発揮して、こっちに来たばかりの私を気づかい、街を案内してるだけなんだろうけど。


屋台で売っていたのは、軽く炙ったパンに魚や肉などの具材を挟んだ、ホットサンドのようなものだった。

私は魚、ラッシュは肉の具材を選ぶと、ラッシュがお金を払ってくれた。


「ありがとうございます、ラッシュさん」

「これくらい、いいですよ。マリーさんにはいつもお世話になってるし」

照れくさそうな笑顔がまぶしい。

これから何かツラいことがあっても、イケメンにお昼おごってもらった事実と、この笑顔を思い出せば、何とか生きていけるような気がする。


屋台に併設されているベンチに並んで腰かけ、私とラッシュはパンにかぶりついた。


「おいしー!」

「そうですか、良かった」


お世辞抜きでうまい。

毎日、自炊続きだから、こういうちょっとジャンクなお店の味に飢えていたのだ。


うまいぃ~とホットサンドもどきを味わう私に、ラッシュがすっと自分のパンを差し出した。

「あの、良かったら、僕のも味見してみませんか? ちょっと辛いですけど、おいしいですよ」

食べかけなんて失礼かもしれませんが、とちょっと困った風に笑う顔も、すばらしくイケメンだ。

まあ、たしかにあまりお行儀は良くないかもしれないが、屋台での食事なんだから、そんなマナーにこだわる必要もないだろう。

私はラッシュのパンを受け取り、代わりに自分のパンを差し出した。


「じゃあ、私のもどうぞ。こっちは塩味でさっぱりしてますよ」

「ありがとうございます」

私の差し出すパンを受け取り、ラッシュが輝く笑顔で私を見た。


優しいイケメンと、パンを取りかえっこして食べるとか。

ここは天国ですか! パトラッシュが天国に連れていってくれたんですね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ