全て終わったから
清司が神様に願った力とは?
今回、遂にフィナーレ!
俺はある場所に来ていた。 浮遊感が凄く地面があるとはまず思えない。 そんな場所を1人で泳ぐように移動する。 そして目的の人物達を見つける。
「・・・あら? ここは?」
「不思議な場所だ・・・暖かい場所なのにどこか懐かしさを感じる・・・」
「父さん、母さん。」
俺はそんな2人、自分の両親に声をかける。
「・・・清司? 清司なの?」
「・・・見間違いでは無いようですよ。 少しだけ成長していますが、清司のようです。」
成長したって・・・まあ時間の流れが違うからなんとも言えないけれども。
「あぁ、でもこれは夢の話だから、今は亡き息子の姿が見えるのかも知れないですね。 同じ夢というのも奇妙な感覚ですが。」
父さん、これが明晰夢だと思ってるようだけど、実際のところは違う。 これは神様が2人の精神を1ヶ所に集めて、そこに俺の精神も行けるようにしたのだ。
神様の力が使えると言われてから半年間、なにに使うかと考えた結果がこれだった。 急だったとは言え、両親や友人になにも言えずに前の世界を去ってしまった事を、平和になったあの世界での唯一の心残りとして浮かんできたのだ。
「父さん、母さん。 急にいなくなってごめん。 唯一の一人息子だったのに、こんな形になっちゃって。」
「なに言ってるのよ。 そんなことでお父さんもお母さんももう悲しんでないわ。 人助けの代償としては大きかったかもしれないけれど、私達にとっては誇りなのよ。」
「そうさ。 それにこうして夢にまで出てきてくれるんだ。 出来すぎな位の息子だよ。」
俺が居なくなったことにはなんにも心配は要らないらしい。 愛情を持って育ててきてくれた2人のことを、俺は軽んじて見ていたのかもしれない。 それも踏まえて俺は両親に報告をしに来たのだ。
「そっか。 でもそれはそれとして、俺はこの姿のままで、別の世界で有意義に生きているよ。 友人も出来たし、婚約者も出来たんだ。 本当は母さん達にも見せたかったんだけど、そればっかりは無理だろうなって思って。」
「いいのよ。 あなたが元気ならそれで。」
「向こうでも頑張れているのならば、なにも心配をする必要はないね。 そっちの人達とも、仲良くやっていくんだぞ。」
「うん・・・・・・あれ・・・? おかしいな・・・ もっと色々と伝えたいこととか、話したいこととか、あったはずなのに・・・言葉の代わりに・・・涙が・・・」
俺は今日のためになにを話そうか、どうやって伝えようかと、念入りに考えてきた筈だった。 なのにいざ目の前の両親に、もう二度と会えないかもしれないと思っただけで、涙が止まらなくなって来ていた。 その行為に父さんも母さんも微笑みかけてくれた。
「あなたは昔から、どんなに辛いことや嫌なことがあっても、涙はほとんど見せたことは無かったわね。 「悲しむ」っていう感情が無い子だと思ってた。 でも、ちゃんと悲しんでくれるんだね。」
自分の息子に対してなんて言いぐさだって思ったけれど、それだけ俺は感情を出すことが余程乏しかったらしい。
「大丈夫さ。 どれだけ遠くに行っても、家族は家族だ。 伝えたいことや話したいことが無くても、ちゃんとお前の姿を見れただけで十分だよ。」
「父さん・・・母さん・・・」
もっと色々と、それこそ大人になったら親孝行とかもしたいと思っていたのに、大切な一人息子を無くしたショックが大きいのは誰よりもだった筈なのに、元気な姿を見れただけでいいなんて、とてもじゃ無いけれどお世辞だけで言っているとは思えなかった。
そして俺と両親との距離が徐々に話されていく。
「どうやら時間みたい。 そろそろ目覚める時間だ。」
「あぁ。 元気な姿を見せてくれてありがとう。 向こうでも頑張るんだぞ。」
「清司。 離れていても家族の絆は途切れないわ。 私達の事は気にせずに、そっちで伸び伸びと生きてね。」
そうして二人、もとい俺の精神が覚醒する。 時刻は午前6時頃を指している。
「あいつらのところに行くのは、明日だな。」
俺の神様の力の使う範囲は「両親と友人」になってはいるが、それぞれに1回しか使えないが、1日限りの能力ではないし、もう一度眠る気力もない。 そんなこともあって、友人達には次の夜に会うことにしたのだ。 まとめてやらなかったのはそれぞれに話したいことが合ったからである。
そしてその夜。 再び俺はあの場所、夢の世界へと入り、今度は俺と良く遊んでいた4人の友人を呼び寄せた。 みんな同じ場所にいることで困惑をしているらしい。 そんな光景にちょっと笑いながら、俺はあいつらに近づく。
「よっ。 お前ら。」
「その声・・・え? 野村か?」
「他に誰がいるんだよ。 あれからどれくらい経ったか分からないが・・・お前達は変わってないようで何よりだ。」
逆に変わっていたらこっちが困っていただろうがな。
「なんか悪いな。 お前達と別れた後に死んじまったから、いきなりいなくなっちまって悪かったな。」
「謝るなって。 むしろお前、うちらの地域じゃちょっとしたヒーローなんだぜ?」
「そうだよ。 それに僕達も寂しがっている場合じゃないからって、飲酒運転撲滅活動、みたいなものを始めたんだ。」
それは知らなかった。 俺がいなくなってから色んな事が起きていたんだなあ。
「それだけ元気が有り余ってるなら心配ないな。 でも俺、異世界転生して向こうで楽しくやってるぜ。 それを伝えたかったんだ。」
「へぇ、そっちも楽しそうで良かったじゃねぇか。」
「あ、そうだ。 そう言えばあれからあのカードゲーム、野村が使ってたテーマデッキに最新カードが出たよ。 いままで使われることの少なかったテーマだったから、めちゃくちゃ強くなってるよ。」
「まじで!? うわぁ、それ見てみたかったなぁ。」
「今度会ったら見せてやるよ。 ・・・って、これは夢だから会えるかも分からないのか。」
その言葉に俺も詰まる。 神様の力によって精神をこちらに呼び寄せたものの、結局は夢物語で終わる。 俺の両親の時と変わらない。 だからこそ俺なりにお礼をいいに来たのだ。
「なぁ、そっちの世界って楽しいか?」
その問いかけに俺は即座に答えた。
「あぁ。 楽しいぜ。 とても。 でもお前達はまだ来るなよ? 若い時に行くのは勿体無いだろ? だから俺の分まで生きてくれ。 そして・・・忘れないでくれると嬉しいかな。」
「忘れないよ。 君との思い出も。 君の勇姿も。」
「向こうでも元気でな!」
そうして夢から覚める。 今回は昨日よりも長めに時間が取れた気がする。 とは言え起床時刻はほとんど昨日と変わっていない。
「我ながら規律正しいでやんの。」
そう思いながら俺はふと久しぶりにカードパックを開くことにした。 今は旅の予定はないので、カードゲームにも手を離していたが、ふと今日は引きたくなったので、1パックだけ引いてみることにした。
「・・・! ・・・・・・全く、神様もかなり面白がっていやがるな?」
そう言いながら俺はまだ太陽の昇りきらない空を窓から見た。
もう俺は向こうの世界には帰れない。 だけどそれが悲しいことだなんては思ってはいない。 向こうへの心残りももう残っていない。 両親や友人は俺が起こしたあの現象を「夢」と一括りにすることだろう。 それでも俺は構わない。 俺のやり残した事は終わった。 これでいいんだ。
そんなことを考えていると、不意にどこからか声がしてきた。
『セイジ君。 起きてるかしら?』
『サヴィか? どうした?』
『「テレパシー」が返ってきたってことは起きてるわね。 これからあなたの別荘へと立ち寄っていくんだけれど、先に言っておきたくってね。 あ、ゼルダ以外のみんなの所にも寄ってから行くから、よろしくね。』
そう言ってテレパシーが消える。 みんなと別れてからの集合は今回が初めてだ。 こんな辺鄙な場所に来ようとするだけでも本来は大変なだけに、サヴィの浮遊魔法があれば、案外すぐに着くことだろう。
「昼間は騒がしくなるか。 ま、久しぶりに顔を会わせるのも悪くはないか。 アリフレアには準備して貰わないとな。」
これから目覚めるであろう少女2人に、来客の説明と準備をしないといけないなと思い、俺はバイザーを机において部屋を出る。
今日というまたとない平和な日を進むために。
『魔法カード:闇から掴み取る光 レアリティ 紫 コスト 8
手札が0枚でこのカードを引いた時、コストを支払わずに発動できる。
自分の捨て場のモンスターを1枚デッキに戻すことで、自分はカードを1枚ドローする。 引いたカードがモンスターだった場合、更に1枚ドローする。』
『モンスター:ダークゴッドブレイカー レアリティ 銀 コスト 16
種族 戦士族
フィールドにモンスターがこのカードのみの場合、攻撃力を10上げる。
このカードと戦闘を行うモンスターは体力が5下がる。
このカードを破壊したモンスターは、次のターンのエンディングまで、魔法、装備、領域、モンスターの効果を受けない。
ATK 20 HP 18』
『魔法カード:過去からの餞別 レアリティ 銅 コスト 11
相手ターンのエンディング時にのみ発動可能。
このターンのコンバットタイム時に破壊されたモンスターのコストの合計以下のモンスターを、デッキからコストを支払わずに、モンスターの効果を無効にして召喚する。』
『領域カード:未来へ紡ぐ架け橋 桃 コスト9
このカードは展開されてから自分から数えて3ターン後に破壊される。
展開されている限り、互いにモンスターの召喚コストを支払った後、モンスターを捨て場に送る。
このカードが破壊された時、展開時に捨て場に送ったモンスターを捨て場から召喚する。 この時モンスターのステータスは倍になる。』
『領域カード:ピースフルアナザーワールド レアリティ 金 コスト 25
このカードが展開された最初のターン、互いにコンバットタイムを行えない。
自分フィールドのモンスターの効果が発動される時、相手はインタラプトカードを使用できない。
このカードが破壊された時、自分の捨て場に存在するモンスターを、コストを半分にして、可能な限り召喚する。』
約2年間の投稿となりましたが「カードゲーム世界で始める下克上」完結致します!
オマージュが飛び交うこの作品如何だったでしょうか。
元々のきっかけは別のカードゲームのラノベ作品の影響だったのですが、やはりカードバトルをする上で 召喚→バトル→会話の流れを繰り返すだけでも1話分は書いてしまいますし、途中から区切り方が雑になったり、現状を書かなくなった辺りは、かなり省いていたと思います。
そもそもカードバトルがメインにならなかったりする時もあったので、それも後悔点かなと思ってます。
本当ならもっと長く書く予定でもあったのですが、あまりグダグダになるのもと思ったので区切りとさせて貰いました。
最後のシーンは消し忘れたバイザーを左のカードからカメラワークで最後までいくという形のを想像していただければと思います。
ちょっとずつ伸びてきていたこの作品ですが、今回が終わりだと思うと少し寂しくも感じます。
そんなわけで今後も私の作品を待っていてください。
それではまた次の作品で。




