これで終わり・・・じゃない!
主人公の起死回生の一手とは。
「これだけ強大なモンスターに立ち向かった事は誉めよう。 しかしこいつに負けることを恥じることも無いだろう。 だが全ては無に帰すること。 君の頑張りはこの僕が、後世に伝えてあげようじゃないか。」
「余計なお世話だ。 そのデカブツすら越えてやるさ。」
「減らず口を。 僕はコストを8つ支払い、魔法カード「災害発生環境」を発動!」
『魔法カード:災害発生環境 レアリティ 紫 コスト 8
フィールドの「生成」カウンターを2つ取り除く事で、選択したモンスターはこのターン効果の対象にならない。 また相手はこのモンスターの攻撃を防ぐことが出来なくなる。』
「「生成」カウンターは君のモンスターから2つ取る。 これでもうカタストローフを止めるものはいない! コンバットタイム! カタストローフでそのモンスターを攻撃!」
カタストローフが行う攻撃はまるで天変地異のように大きく、激しい攻撃を行ってきた。 そんな攻撃を耐えれるわけもなく、伝説の拳士は倒されてしまう。 だがここで普通にダメージを食らう俺ではない。
「俺はコストを10支払い、インタラプトカード「神の砂風」発動!」
『魔法カード(インタラプト):神の砂風 レアリティ ミラージュ コスト 10
モンスターが戦闘で破壊された時、戦闘ダメージを半分にする。 この効果で受ける戦闘ダメージが15以上の時、更にその半分の数値とコストの半分の数値のライフコアを回復する。』
俺の周りに砂塵が巻き起こる。 かなり遠回りではあるが大ダメージは防ぐことは出来た。 ライフコアは次元回復の効果もあってまだ余裕がある。 こんなことでは倒れないさ。
「・・・クールタイムに入り、僕はエンディングを迎える・・・ なんでさ・・・なんで倒れないのさ・・・ これだけ攻撃してるんだぞ・・・なんで倒れないんだよ!」
「失ったものの大きさをお前は知らないからそうなるんだ。 もうお前に対して慈悲はない。 覚悟をしてもらおうか。」
「うるさい! 大人しく蹂躙されていろよ! 僕は神なんだぞ!」
「もう喋るなよ。 俺はお前を許す気はさらさら無いんだ。」
人の大切にしていたものを奪っておいて、自分だけが例外だと思ったら大間違いだぞ。 俺のデッキは既にそうなっているんだ。 あいつには、この世界での混乱の責任を全て取って貰う。
「俺のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム!」
俺は引いたカードを確認し、その後に自分の持っている手札を確認する。 そして全てを確信する。
「・・・そうか。 もう、全ての幕引きをしなければならないんだよな。 アリフレアの為にも、俺のためにも。」
「・・・なんだと?」
「俺はコストを45支払い「純粋竜」を召喚!」
召喚したのはベルジアに「力とはなにか」を知らせるために出したことのある純粋竜。 砂塵の中から、その輝きのみを取り出すかのように現れたその竜は、汚れの無い光沢だけの竜の姿だった。 そして純粋竜とカタストローフは互いに咆哮をぶつけ合う。
「それが全ての力を集約させたモンスター・・・ だけど攻撃力が100でも足りていない。 例えそのモンスターで攻撃をしようとも、僕には「生成」カウンターがフィールドにある。 カタストローフは「生成」カウンターが有る限りカウンターを取れば破壊はされない。 そしてそこモンスターはステータスが高い分効果を持ち合わせていない。 つまり、そのモンスターで攻撃しようとしようともカタストローフは倒せないということさ。」
「あぁそうだな。 そのカタストローフは倒すことは出来ないだろうな。 攻撃力を上げたとしても、効果で守られるだろうし。」
それは分かってはいること。 分かってはいる上で
「だがカタストローフは倒せなくてもそれを従えているお前の体力が無くなればそれでいい。」
「・・・うん?」
「俺はコストを10支払い、魔法カード「想いを束ねて」を発動する!」
『魔法カード:想いを束ねて レアリティ ミラージュ コスト 10
自分の捨て場に存在する全てのモンスターの攻撃力を、自分フィールドのモンスター1体に与える。 このカードの効果処理に対して相手は無効に出来ず、コンバットタイム時に相手は魔法、装備、領域カード及びモンスターの効果を使用できない。』
「な・・・っ!? そんな馬鹿な効果があるか! 明らかにおかしいじゃないか!」
「ああ。 こんなカードを実際に使ったら使用禁止待った無しだ。 だからこのカードは俺しか、いや、俺ですらもう一度使えるか分からないカードだ。 お前を倒す為だけに許された、神が俺に与えてくれたカードなんだよ!」
効果を使用した瞬間から、純粋竜は色んな光を吸収している。 だがその光で身体が逆に神々しく輝いていた。
「これで純粋竜の攻撃力が、カタストローフの今の体力を上回り、そしてお前のライフコアを砕く力になった。」
「そ、そんな・・・そんなことが・・・」
奴の表情が歪んでいく中で、俺はゆっくりと語る。
「このカードが俺の、お前に対する怒りの全てを表しているんだ! 困惑に陥れたお前の罪、仲間を裏切らせた罪、心の奥に潜む想いを暴いた罪、命を奪った罪、そして何よりも、人の大切にしていたものを壊した罪! その罪を、この一撃で一身に受けて貰うぞ! コンバットタイム! 攻撃力の上がった純粋竜で天地生災竜 カタストローフを攻撃! ライトミックス・スパイラルレーザー!!」
純粋竜の口元に光が集まり、その光が螺旋になってカタストローフにぶつかっていく。 そしてその散りばめられた光が敵のライフコアにぶつかり、ライフコアが削られていく。
「そんな・・・嫌だ・・・僕はこの世界を蹂躙するんだ・・・神として・・・崇められる存在になるんだぁぁぁぁぁぁ!」
「神様がそんな望みを抱いている神様に、世界を任せられる訳がないだろう? お前は欲深すぎたんだよ。」
そして全ての光が無くなった瞬間に、敵のライフコアも「0」になり
「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。 全てに、幕を閉じよう。」
この一言で全てが終わった。
『勝者 セイジ ノムラ これによりこの世界は神への譲渡を拒否します。』
AIフィールドが解放されていく。 だがこれで完全な終わりだとは思っていない。 俺にはやるべき使命がある。 俺はそいつに近付く。
「っ! は・・・ははは。 その力を僕に使うというのかい? だけど残念ながら僕は神の存在なんだ。 神の世界に戻してくれるならむしろ好都合というものだよ。 今度は絶対に手に入れてやる・・・! 僕が世界を掌握するんだ・・・!」
「おっと、悪いがそれは叶わない願いだな。」
唐突な第三者の声に顔を上げるとそこにいたのは
「は・・・破壊神・・・様・・・?」
「さっきお前は神の世界に戻るなら好都合と言ったな? だがお前が戻るべき神の世界は、お前が望んだ場所じゃない。」
「そ、それはどういう・・・」
「貴方には1から、神としての自覚を持って貰えるよう「教育」をしなければならないと、神の会合で満場一致となりました。 ですから私達が徴収に参ったのです。」
疑問の説明は創造神が行った。 神同士のやり取りではあるが、言っていることが完全に家族会議だ。 とんでもない事を犯した息子を折檻する親みたいだ。
「ああ、心配せずとも場所は神が多く集まる場所ですので、今度は絶対に逃がしはしませんよ?」
「ひぇぇ、怖い怖い。 そら、とっとと行くぞ。 そうなった原因究明の為にお前の話を聞きたいって、他の神がカンカンなんだよ。」
「そ、そんな・・・ぼ、僕は僕なりに頑張ろうとしたんです! それなのに・・・」
「そんな言い訳は破壊神の前じゃ無意味だって分かってやってるのか? 行くぞ。」
そう言って破壊神に連れられていく姿に同情はしない。 そしてそんなやり取りが終わった瞬間に、俺はあることを思い出した。
「アリフレア!」
急いでアリフレアの元に駆け寄る。 そこには力無く横たわるアリフレアとそれを囲うようにサヴィに魔力を与えているみんなの姿だった。
「アリフレア・・・」
唐突な別れとさよならすら言えなかった悲しさが押し寄せるが、俺は無言でサヴィに手をかざす。
「サヴィ。 俺の魔力を使っても、アリフレアは戻せそうか?」
「・・・正直ここまで治らないと絶望的よ。 それに死者蘇生は魔法の中でも禁忌に近い。 それは君が一番分かっているんじゃない?」
死者を蘇らせる事は、どの世界でもおいそれとやってはいけないこと。 だがアリフレアはそんなことをしてでも取り戻したかった。
「そのまま続けていて下さい。」
後ろで見ていた創造神がそう語りかける。
「どうやらその子の魂は保護されているようです。 ですから肉体が死ぬことがないようにだけ、維持を努めていてください。 私は神の世界に戻ります。 それでは。」
そう言って創造神は帰っていった。 保護しているという言葉にはピンとは来なかったが、とにかく息を吹き返す可能性があるのなら続けよう。 俺たちの心は一心同体となり、アリフレアの肉体を回復させ続けた。
カードゲームとしては決着が着きましたが、物語はまだ続きます。
純粋竜の技名、本当は漢字にしてルビを振りたかったのですが、直訳的にすると訳が分からなくなるので止めました。
セイジの台詞の中にはラスボスになる前の主人公の台詞をリスペクトしたものがあります。




