耐えるか叩くか
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 すぐに倒れなかったことは想定外でしたが、私の勝利には揺るぎ無いこと。 何故なら私はただあなたの自滅を待てばいい。 残り少ない命の中で無様に抗う姿を見るのも、酔狂かも知れないですね。」
「随分とお喋りで御座るな。 動揺をしているのが良く分かるで御座るよ。 喋ることで精神状態を保とうとしている。 こちらも見ていて滑稽に思えるで御座る。」
挑発には挑発を返すで御座る。 拙者は交渉術などは持ち合わせてはおらぬが、こういった輩に対しての対処法は国を出てから自ら学んだ。 だからこそ疑心暗鬼にもなったりはしたで御座るが。
「っ! 神に対して侮辱したことを後悔させてあげますよ! 私はコストを10支払い、魔法カード「審判の裁き」を発動! これによりあなたのフィールドのモンスターは全て破壊されます! 手札を1枚捨て場に送ればこの効果は無効に出来ますが、手札が0の貴方にはこれを止める術はありません!」
ふむ。 先程の挑発で直情的になってる気がするで御座る。 神の従者にしては心が狭いで御座る。
「確かにそのような魔法を止める術は無い。 だが我が兵を護ることは出来ようぞ。 捨て場にある装備札「隠れ扉盾」を発動するで御座る。」
『装備カード:隠れ扉盾 レアリティ 桃 コスト 11
このカードを装備したモンスターは攻撃が行えない代わりに、体力を+20する。
相手モンスターは装備されているモンスターしか攻撃対象に取れない。
このカードが捨て場に存在する時1度だけ、山札を3枚捨て場に送ることで、自分フィールドのモンスターは効果では破壊されない。』
「拙者は代償により山札を3枚捨て場に送るで御座る。 これにより拙者の場の兵達は、裁きが下されようとも倒れぬ志を持った。」
雷の様な背景効果が現れたで御座るが、我が兵達は挫けず立っていた。
「くっ! ドクトルでは攻撃が通りません! クールタイムに入り、私はエンディングを迎えます!」
「拙者の開戦、そして山札を引く。 戦闘準備。 ・・・余程その神の使いに力を注いでいるで御座るが・・・投影した自分の姿とでも言いたいので御座ろう? 神を影ながらに支える縁の下の力持ち。 しかしその力も腑抜けてしまえば意味を成さぬ。 汝の戦法は穴だらけで御座るよ。」
「黙れ人間が! 仮にも神の従者である私にそのような口の聞き方を!」
口がどんどん悪くなっていくで御座る。 この場合セイジ殿ならどうするか。 語りで相手の本能をつつくか・・・いや、あそこまで狼狽している者にまともな判断が出来よう無いだろうと、すぐに倒しに行くであろう。 残り少ない灯火の為に、拙者も力を出し尽くそうぞ。
「拙者は手札を捨て場に送る事で、捨て場から「己を捨てた諜報部員」を召喚するで御座る。」
『モンスター:己を捨てた諜報部員 レアリティ 銀 コスト 16
種族 アンデッド
相手の攻撃宣言時、攻撃対象をこのモンスターに変更する。
捨て場に存在する時、手札を1枚捨て場に送ることで、コストを支払わずに捨て場から召喚する。 この効果で召喚したターン、このモンスターのステータスは半分になり、相手のライフコアに与えるダメージも0になる。
ATK 24 HP 12』
これにて拙者の場には全てを埋める兵が揃った。 狭間の猛者は攻撃が出来ぬが、それでも良かろう。 相手を倒すには十分で御座る。
「戦闘開始! 強者でドクトルを攻撃!」
奴の手札は既に使い切っている。 ドクトルを護る術はない。 ドクトルが破壊されていく。 相手に損傷は与えられぬが、相手の場はがら空きとなった。
「次で止めを刺すで御座る。 休息に入り、拙者は休戦をするで御座る。」
「くっ! こんなことがあってなるものか・・・私はあの方に仕える者だ。 人なんぞに負けるわけには・・・」
「何度も言いたくは無いで御座るが、戦闘はまだ続いているで御座る。 その神とやらに頼めば良いのではないか? 「この状況を打破できる札を引かせてくれ」と。」
セイジ殿の喋り方を真似たで御座るが、上手くは行かないもので御座る。 しかし相手の気を害するには効果はあるようで御座る。
「っ! 言われずとも! 私のオープニング、そしてドロー! プラポレーションタイム!」
相手が札を確認する。 そして
「ふふっ。 ふふふふふふふふふふ。」
不敵に笑い始めた。
「はははははは! 人が神に頼むと言う事がどう言うことなのか! 神の力を増幅させるだけじゃない! 成果は必ず訪れるのだと! 神が味方についてくれるのだと! 私はコストを10支払い、魔法カード「贄の身代わり像」を発動! これで貴方の場のモンスターの数だけ私の場に像が現れる! そしてその像の体力はそれぞれ20! いくら強者だろうと一撃では届かない! どれだけ攻撃されようとも耐えればこちらの勝利! もうこれ以上貴方の抵抗を見ることも無くなると言うことです! クールタイムに入り私はエンディングを迎えます! さぁ! 貴方の手で閉じなさい! 愚かなこの幕劇を!」
・・・そこまでくると最早呆れすら通り越すで御座る。 しかし事実、先程の捨てた札はこの場では効力を発揮しなかった。 故にこの引きが、互いに運命を決める札になる。 拙者は恐れる。 もし希望通りの札が、なにも出来ずにただ死を待つだけの屍と化してしまうだろう。
そんな不安が募ったからか、拙者はセイジ殿を見る。 その時見せたセイジ殿の表情は、拙者の事を信じているような瞳を持った表情で御座った。 この綱渡りな状況で拙者が勝利すると、拙者以上に想っている瞳をしていたで御座る。 ここで萎れてはならないと、そういうので御座るな。 拙者も信じようぞ。 自分が作り上げた来た、この札達を
「拙者の開戦、そして山札を引く。 戦闘準備。」
拙者が引いた札は・・・ここで来てくれるか! やはり人の想いと言うものは、時に奇跡をも越えるなにかを発揮するようで御座る。
「拙者は魔法札「託しゆる想い」を発動するで御座る!」
『魔法カード:託しゆる想い レアリティ 銀 コスト 14
自分フィールドのモンスター1体を選択し、そのモンスター以外の自分のモンスターを捨て場に送る。
選択したモンスターは捨て場に送られたモンスターの攻撃力の合計の半分の数値と全ての効果を使用することが出来る。』
「拙者が残すのは「異次元からの強者」。 亡霊は自身の効果により捨て場には送られぬ。 しかし3体分の攻撃力は得られたで御座る。」
「それで全ての像に攻撃をしようと言うわけですか。 しかし全部を破壊したところで私のライフコアは削りきれません。 悪あがきしては・・・頑張った方ではないですかねぇ?」
「拙者に取っても、この選択はある意味賭けて御座った。 確かにこのモンスターのみでは、汝を倒すことなど出来ぬと。」
「選択を誤りましたね。 ですが卑下にすることもないでしょう。 貴方は魂となり私の手の中に留まるのです。 肉体は死ぬでしょうが、魂があれば別のものに乗り替えることは出来る。 それで良いのではないですか?」
「それも良いかもしれぬ。 だがそれでは今まで汝に負けた者達が報われないではなかろうか。 拙者は、この国に突如として現れた国賊に奪われた命の為、拙者はその無念を晴らすために戦っている。」
拙者の想いが、哀しみが、異次元からの強者に集まる。
「その想いを背負い力に替えよ! 「鎮魂歌による憑依」!」
今まで無下にされてきた無念の気持ち。 この一撃に全てを宿すで御座る。
「な、なんですか・・・その力は・・・? それが・・・人の力と言うのですか?」
「そうで御座る。 ただし生きた者だけではない。 この想いは、汝を倒したいと言う全ての者の想いで出来ているで御座る!」
そして異次元からの強者は中段の構えをとり、目の前の5つの像を一直線に見るように向き合う。
「その像が人柱だと言うのならば、拙者が全てを壊してみせよう。 戦闘開始! 異次元からの強者で全ての身代わり像に攻撃! 「紫電一閃」!」
そしてその構えから放たれた突きが、全ての像に突き刺さり、1つずつ粉々に砕けていった。
「わ、私は・・・神の従者だぞ・・・! 神に最も近くにいる存在だぞ! 人ごときに負けるなぞ・・・あってはならぬのだぁぁぁ!」
「いくら神に近かろうとも、それは汝の実力ではない。 そして我々が会おうとしている人物は、拙者達は神とは呼ばん。」
全てが打ち砕かれ、空に砕けた像が舞い、星空のようになった後
「休息に入り、これにて閉幕で御座る。」
全ての決着を着けたで御座った。
長いようで短かった(気がする)神の側近との対決でした。
この話もいよいよ大詰めが近づいて参りました。




