随分と姑息な
賽の目が振られ、拙者が「1」、敵が「3」となり、敵が先攻になったで御座る。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを15支払い、魔法カード「神への貢ぎの玉座」を発動。」
『魔法カード:神への貢ぎの玉座 レアリティ 銀 コスト 15
このカードを発動したプレイヤーは、このターンでの召喚、魔法、装備カードの発動、コンバットタイムを行えない。
このカードの効果処理として、相手は半分のライフコアを支払う。 その後相手はカードを2枚ドローする。
処理終了後、相手はモンスター、魔法、装備カードのコストを支払わずに召喚、効果を使用できる。
ドロータイム以外でカードをドローした場合、互いにカードを確認する。 そして相手はカードの種類によって、以下の効果を得る。
モンスター:そのカードを捨て場に送る。
魔法カード:そのカードは次のターンまで使用できない。
装備カード:ライフコアを10回復し、デッキに戻す。
互いのエンディング時、互いに5のライフコアを回復する。』
「効果処理で拙者のライフを!?」
「では頂きましょうかね。 あなたの命の半分を。」
そう告げると雷のエフェクトが現れ、拙者にぶつけられる。
「ぐっ!」
「レイト君!?」
サヴィ殿から声がするで御座るが、実際の負傷ではないのでそこまで大きく問題にはならない。 しかし聞きたいことは山ほどあった。
「何故だ? 何故汝が発動した札に、拙者の心臓核を使う?」
「言葉が少々難しいですが、意味は大体分かります。 何故、という答えなら、ここは神がおられる神聖な場所。 供物を捧げる者としては当たり前であろう?」
「そんなカード・・・!」
「なにも言うで無いぞサヴィ殿。」
なにかを言おうとしているサヴィ殿を制止し、そのまま敵に向かう。
「神の側近にしては勝利に自信が無さそうに見えるで御座るな? だが拙者とて相手の土俵で戦えぬ程落ちぶれてなどおらぬ。 この命、汝の戦いのためにくれてやる! そしてその上で汝を倒す!」
心臓核を半分奪われるのは確かに痛い。 だがそれを差し引いても、敵に対するメリットが大きい。 一体なにを考えている?
「拙者は効果処理として、山札から2枚引くで御座る。」
「私もこれ以上はなにも出来ません。 クールタイムに入ってエンディングを迎えます。 そしてライフコアを回復しますよ。」
なにを企んでおるかは分からぬ。 だが札が増えたということは拙者としても戦術が増える。 自分の首を絞めるような諸行ではあるが、拙者にとっても敵となるならば、容赦などはせぬ。
「拙者の開戦、そして山札を引く。 戦闘準備。」
先ほどの魔法の効果により、拙者の代償は払わなくて済むようになっている。 これは拙者にとって、いや、敵にとっては好条件。 代償がないという事は、ある程度自由に札を操れるという事になる。 手札は8枚。 拙者の戦術になるまでは少々時間はかかるで御座るが、好機は逃さんで御座る。
「拙者は「絡繰魂武士 摩真奈」を召喚するで御座る!」
『モンスター:絡繰魂武士 摩真奈 レアリティ 銅 コスト 12
種族 機械族
このカードが戦闘を行う時、現在のHPの数値で行う。
このカードが戦闘で破壊された時、相手モンスターのHPを10減らす、または相手の手札を1枚捨て場にランダムに送る。
ATK 4 HP 20』
「更に拙者は装備札「幻霧盾」を摩真奈に装備するで御座る。」
『装備カード:幻霧盾 レアリティ 水色 コスト4
このカードの効果で手札を1枚捨て場に送る事によって、HPを5上昇させる。』
「攻撃開始! 摩真奈で汝の心臓核に直接攻撃するで御座る。 そして「幻霧盾」の効果により、拙者は手札を3枚捨て場に送り、摩真奈の体力をあげるで御座る!」
これで総攻撃力は35。 この損傷はなるべくなら避けたいところであろう。 しかし奴はなにもしてこなかった。 そのまま心臓核へとぶつかる。 油断か余裕か、まだ読みきれないで御座る。
「休息に入り、拙者は休戦するで御座る。 そして汝が発動した魔法により、心臓核を回復するで御座る。」
「そんな堅苦しい喋り方をしなくてもよろしいのではないですか? ここはあなたの住んでいた場所ではないのですから。」
「これが拙者で御座る。 それに今さら普通の喋り方には戻れんゆえ。」
これはセイジ殿に言われたことで御座るが、相手は拙者達の事を少しでも揺さぶろうとしてくると。 話し半分で聞くくらいが丁度良いと。
実際に少しばかり挑発をしてきたようで御座るが、その程度は兵士時代に既に養っている故、全く心に響かんで御座る。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
お互いに損傷は大きい。 肉を切らせて骨を断つ、という戦法もある。 奴がどのような戦法で来るか、身構えておくで御座るよ。
「ふふふ。 あなたは少なくともこう考えている筈だ。 「何故敵に優位な状況をわざわざ作ったのか」とね。」
敵の言っていることも当たらずも遠からずで御座る。 いくら相手が心臓核の半分を支払うと言う無茶苦茶に近い条件があるとは言え、自分自身にメリットの無いカードは、逆に足枷にしかならぬ筈。 それは始まった当初から思っていたことで御座る。 ならば何故そのようなカードをわざわざ入れるのか。 しかも最序盤に使うようなカードでも無かろう。
「それについては教えてあげますよ。 別に敵に優位を与えたつつもりはありませんよ。 ただ勝利のための一打点に過ぎません。 それを証明しましょう。」
そして手札のカードを1つ使用した。
「私はコストを6つ支払い、魔法カード「上下関係の眼差し」を発動。」
『魔法カード:上下関係の眼差し レアリティ 紫 コスト 6
相手は手札を1枚捨て場に送る。 その後自分の手札が相手の手札よりも多い場合、その差×5のダメージを相手に与える。』
「くっ・・・! 相手の手札を捨てたさせた上で、尚損傷を与えるか・・・!」
「さぁ、手札を捨てて貰おうか。」
どうやら捨てるのはこちらで選べるようで御座るな。 ならば今後のためにこのカードを先に捨てておくで御座る。 元々はすぐに捨てる予定であったゆえ、腹は痛まぬ。
「そして手札の差分、3枚の5倍の15ダメージを受けよ。」
「ぐっ!」
痛みは先程よりは軽いものであるが、向こうの魔法の効果によって回復していなければ、もっと深刻になっていた事だろう。 そのような事で感謝はしたくは無いで御座るがな。
「さらに私はコストを4つ支払い、魔法カード「マインドダウン」を発動。 これによって更に5のダメージを受けて貰いますよ。」
これだけでも1/3で御座るか。 最初の半分を奪われたのを考えると、長期戦は望めないかも知れないで御座るな。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎えますよ。」
自分の心臓核を守る兵士を置かない。 相手の戦い方は概ね把握したで御座る。
これはベルジア殿と同じ、兵での攻撃による損傷ではなく、魔法などの効果による間接的損傷。 しかもベルジア殿以上にそちらに特化している。 そして最初の半分の代償を考えれば、向こう側が加速するのは明白。 どうやらこの戦い、長引かせるわけにはいかぬようで御座るな。
「拙者の開戦、そして山札を引く。 戦闘準備。」
今の手札では役不足で御座る。 しかし変化がないよりは幾分ましで御座ろう。
「拙者は魔法札「零からの施し」を発動するで御座る。」
『魔法カード:零からの施し レアリティ 桃 コスト 10
自分の手札が3枚以上の時、手札を全て捨てて、カードを2枚ドローする。 このカードの効果で加えた手札のカードのコストは0となる。』
本来ならば最初の時点で使いたかったで御座るが、相手のペースに乗せられ、時期をずらされた。 そして後半の効果は無意味で御座るな。
「拙者は今の手札を捨て場に送り、山札から2枚のカードを引くで御座る。」
「では玉座の効果により、手札を見せなさい。」
見せる分には構わないで御座るな。
「拙者が引いた2枚は「兵」の札と「装備」の札で御座る。」
「なら効果によってモンスターは捨て場に送って、装備カードはデッキに戻して貰おうかな? ああ、勿論ライフコアの回復はさせてあげよう。」
拙者は兵の札を捨て場に送り、装備札を山札に戻す。 そして山札は混ざり直した。
「どうですか? 神の前には隠し事など不可能なのですよ。」
「別に隠し立て等はするつもりは無いで御座る。 それに手札が無ければ、なにも出来ないと思っているようで御座るが、生憎拙者にはこちらが好都合で御座る。」
「ふふふ。 手札も無いのに、何が出来るのですか? 出来ることと言えば神に跪く事ですよ。」
この世界に来てからと言うもの、拙者はどうも相手に見下される節があるようで御座る。 手札が主本ならばそれも仕方の無いことで御座るか。 故にセイジ殿から教わったやり方をさせて貰うで御座る。
「そのような慢心が命取りにならぬ事を願うで御座るよ。 拙者は捨て場存在する「異次元からの強者」の効果を使用するで御座る!」




