神直近の従者
最初に滅茶苦茶メタいセリフを吐かせています。
読まれる際にはご注意を。
「俺っちはWs ロケッティでドラッグピッグに攻撃! これで終わりッス!」
「豚が蜂の巣にいー!」
「ボクは森の守人 トルネイドで君に攻撃するけど・・・なにか対抗はあるかい?」
「・・・無いわよ。 色々と恵まれているって本当に妬ましいわね。」
「あたいは次元魔導師 ディーメーンで攻撃するわよ。」
「・・・んぁ? 終わっちゃった? ・・・まあいいや、私達は所詮足止め要因だし。 終わったら寝かせ・・・zzz」
「私は暁竜 サンセットドラゴンの効果を使用し、貴殿のライフコアにダメージを与える! これで完全に終わりだ。」
「ち・・・ちくしょおおおおおおお!」
4人の戦いが幕を閉じた。 あるものはあっさりと、あるものは苦戦を強いられながらも。 とにかく四天王はここに崩れた。 これで先に進めると言うものだ。
「く、くそ・・・俺達は神から力を貰ったんだぞ・・・それが・・・こんな色んな意味であっさりと終わるなんて・・・」
悔しがっているのは「憤怒」の奴だっけか。 まあカードゲームのアニメとかだとたまに命のやり取りまで発展する事もあるから、この世界って地味に優しい設計だよな。
「そもそも本当にあっさり過ぎるんだよ! 出てきた瞬間に負けているなんて! 俺達のスキルすら見せられないなんて、ぐはっ!」
そんなことを言ってきたこいつの背中を、俺は踏んで黙らせる。 そしてこっちとしても言いたいことを言うことにした。
「喧しい! もう物語もクライマックスに差し掛かってるって時にお前らみたいな噛ませ犬4人分のデッキ構築なんか、仕事以外でのちょっとした隙間時間なんかに考えてられるか! こちとら考えてることが多すぎて、こうして出すだけでも手一杯なんだよ! そもそも4組のカードバトルを同時平行で状況を起こせれる訳無いだろうが! 展開とかカードとかスキルの説明とか、それだけで色々と圧迫するんだよ! 分かったら黙ってそこで寝てろ!」
「ちょ・・・なんか別の奴が乗り移ってない・・・ぐはっ!」
余計なことを言われる前にもう一度踏んで、その勢いで更に奥へと進んでいく。
ここまでの妨害は無し。 あの神からの言葉も無し。 そうなれば多少たりとも奴には近付いている筈だ。 そう思いながら廊下を走っていると、俺達に向かって走ってくるひとつの影があった。 俺達は身構える。 そしてその影が鮮明になってくるとどういう人物かが見えてきた。 格好は軽装だが、鞘や小型の盾を見るに、この国の兵士のような人物だった。 若いので恐らくは新米兵だろう。 そして向こうの方も、俺達が見えた辺りで力が抜けたのか、その場にへたりこんでしまう。
「あ・・・あああ・・・あ・・・」
「この状況で混乱を招いているのは分かっているが聞いてくれ。 俺達はミカラ様から直々に依頼を受けたものだ。 今は証明できるものはないが、危害は加えないと約束する。 なにがあったのか説明してくれないか?」
錯乱した兵士は、少しずつ落ち着きを取り戻し、そしてその流れで説明をしてくれた。
「ぼ、僕は、この国の兵士として志願した者です。 ま、まだ未熟者ではありますが・・・」
うん。 それは分かってる。 と言いたかったが、その感情を押し殺して話を聞いた。
「あの神と名乗るものから、この宮殿を乗っ取られたそうになった時、我々は既に動いており、そして敵と対峙をしました。 て、敵は「この世界のルールに従おう」と言って、我々をカードゲームで戦いました。 しかし、そこから・・・奇妙なことが・・・起きたのです。」
そう語ろうとする彼の体は震え始めていた。 この場所が寒いわけではない。 だが震えている様子は止まらなかった。
「一人一人相手をしたのに・・・どんどんやられて・・・相手が・・・モンスターを・・・召喚もしてないのに・・・仲間のモンスターが・・・違うものに変えられて・・・そのモンスターが仲間に攻撃して・・・敗れた仲間は・・・バタバタと倒れて・・・副隊長や・・・隊長まで・・・自分は怖くなって・・・仲間が戦ってる隙に逃げて・・・それで・・・」
俺はそれ以上語らせまいと、俺はその新米兵を抱き止める。
「ありがとう。 話してくれて。 そして教えてくれて。」
「ぼ、僕は・・・仲間を・・・見捨てて・・・しまった・・・小隊を・・・裏切った・・・」
「だが動物的本能としては正しい選択で御座るぞ、少年。」
また泣き始めそうな新米兵に、零斗さんが答える。
「良いか少年。 汝の行動は、一社会の中では悪いことだと後ろ指を指されるかもしれぬ。 だがな、そのような統率力など、圧倒的な力の前では、無謀以下なので御座るよ。 拙者も兵をやっていた時期があった。 故に人の生き死には幾多も見てきた。 人が死ぬ時、自然には怒らぬのに、人に対しては激昂を見せる。 飼育されている動物に対してもだ。 それは何故か、それは知性があるゆえに、「理解を求めている」からであるぞ。」
そういって零斗さんは俺よりも前に立つ。
「この先に、汝の小隊の命を奪ったものがいるので御座るな?」
「まさか行かれるのですか!? お止めください! 兵士としていたのならば力量は十分に分かる筈です! それに奴の戦い方は常識を逸脱している!」
「でも俺達は行かないといけないんだ。 止めるためにな。」
そういって俺も立ち、その先に進むために歩み始める。
「もし気持ちが落ち着いたらもう一度来な。 多分さっきまで見ていた景色とは違うものになっているぜ。」
そして俺達は歩み進める。
「先程の兵士がこの状況下で嘘が付けるとはあまり思いたくはないが・・・「常識を逸脱している」・・・か。 敵はどのような戦い方をするんだ?」
「さあね? でも大丈夫じゃない? そんな相手だろうと関係ないでしょ。 特にあの2人には。」
「ねぇセージさん。 あの兵士さんの会話で、どうにかなりそうなの?」
ベルジアの疑問にサヴィが答えている。 でも疑問はあるようで、代わりにゼルダが質問をしてきた。
「全貌は見えないけど、相手がどんな戦い方をするのかは概ね分かった。」
「・・・マジッスか? あの会話の中にヒントがあったんスか?」
「セイジ殿。 次の戦いは、拙者にやらせて欲しいで御座る。 元兵士として、戦いの中で亡くなった兵達の、弔いをしたいで御座る。」
「そうですか・・・ なら教えておきますよ。 俺が想定する相手のデッキ特性を。」
「この扉の先にあの自称神がいるんすかね?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 だがこの先に待ち構えているものが例え罠だろうと、俺達は開けるしかやつには会えない。」
大きい扉を目一杯開ける。 そこに広がっていた光景は・・・
死屍累々、とまではいかないものの、数知れずの兵士がそこに転がっていた。 そしてそんな状況下の中心に立っている人物がいた。 そして俺は直感で分かった。 だから声をかけた。
「あの四天王を送った神がその先にいるのは明らかだ。 お前が最後の門番か?」
そう問えばその人物は右の手のひらを出す。 そしてその後になにかボヤけたものが見えるようになってきた。
「確かに私は神ではない。 だがあの方の考えを最も理解している者だ。 故に、あの方の元に従う。 この世界は「制約上」では人を殺められない。 それは神であるあの方でも望まないこと。 しかし私は許しはしない。 神であるあの方を、否定するだけなら私も目を瞑った。 だが罵詈雑言を浴びせる輩に、慈悲などはない。」
「で、そのボヤけたものが、ここにいる兵達の魂って訳か? 魂を抜くだけとは、随分と優しいものじゃないのか?」
こう口にはしているが、実際には沸々と怒りが煮えたぎっている。 あの魂が兵達の魂。 つまりあの神に負けたことによる神罰のような扱いを受けているのだ。
「そして君達もあの方に歯向かう愚かな人の子。 あの方は次の段階まで始めている。 ここまで来て邪魔をさせると思うか?」
だからいるんだろう? そう心の中でつっこんだ。
「汝を倒せば、その魂とやらも解放されるで御座るな?」
「くっくっくっ。 私に挑みに来ますか。 面白い。 あなたの魂も根こそぎ奪ってあげますよ!」
どちらも譲る気は無いらしい。 零斗さんも敵もディスクを構える。
「零斗さん。」
俺が告げ口を言おうとした時、零斗さんの右手があげられる。 その意図としては「言わずとも分かっている」。 つまり俺がこれからなにを言おうとしていたのか分かっているのだ。 だからこそ制止させた。 零斗さんは一緒にいた時間としてはアリフレアやベルジアには劣る。 だが俺の言葉を誰よりも理解しているのは零斗さんだ。 元は同じ場所に暮らす人間だからこそ、シンパシーのようなもので分かるのだろう。 だから俺も、零斗さんを信じることにした。 いや、なにも言わずとも、零斗さんが簡単には負けることはないと。
「「さぁ、劇場の始まりだ(で御座る)!」」
この話を書いたのは大体1ヶ月近く前なのですが、それ以前から思っていたことで、どこかでこう言った言葉を吐きたかったんです。
メタフィクションを混ぜるのは基本的にはタブーなんでしょうが、当時の状況とか色々と溜め込んでいたものですから、ちょっとだけでも読者の方にも理解をして貰いたいものです。




