気持ちは直接届いて
「私のオープニング、そして、ドロー。 プラポレーションタイム。」
今度はアリフレアの番になる。 あの言葉がアリフレア本人にも聞こえていたのかは分からないが、そんなことを気にしても敵は待ってはくれない。 とにかく今は集中してくれることを願うしかない。
「私は、コストを、12支払って、領域カード「フェアリーホール」を、発動、します。」
『領域カード:フェアリーホール レアリティ 銅 コスト 12
この領域カードが展開されている限り、自分フィールドの妖精族の体力は5上昇する。
自分フィールドの妖精族が効果により破壊された時、相手のライフコアに5のダメージを与える。
この領域が破壊される時、どちらかの効果を使用する。
・破壊されたモンスターを2体まで捨て場から召喚する。
・領域展開時に破壊されたモンスターのコスト以下のモンスターをデッキから召喚する。』
アリフレアの周りに劇場の様な建物が現れる。 そこでは様々な妖精達が思い思いに動いていた。
「私は、コストを、5つ支払って、魔法カード「逆凪の風刃」を、発動します。」
『魔法カード:逆凪の風刃 レアリティ 紫 コスト 5
コンバットタイムを行わない代わりに、自分フィールドのモンスター1体のHPの半分のダメージを相手のライフコアに与える。』
「私は、アンブレラメイトさんを、選択して、黒いミルレに、ダメージを、与えます。」
風のようなエフェクトがミルレの影とライフコアに当たる。 そしてさっきのアリフレアの影の時のように雫が飛んできて、また肌に触れる。
『・・・どうして私をあなたと共に連れていってくれないのですか? 私が貴族だからですか? 子供だからですか? 好きになった人の隣にいたいことのなにが悪いことなのですか?』
今のは完全に聞こえた。 恐らくミルレが心の底から思っていることだろう。 それが影となって目の前にいる。
「・・・っ・・・ク、クールタイムに、入って、私は、エンディングを、迎えます。」
アリフレアの反応からして、さっきのはアリフレアにも聞こえていたと見ていいだろう。 隣にいるミルレに、複雑な赴きを示している。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
そんなことはお構い無しにアリフレアの影は動き出す。
「私はコストを8つ支払い、「妖精僧侶」を召喚する。」
『モンスター:妖精僧侶 レアリティ 紫 コスト 8
種族 妖精族
クールタイム時、自分フィールドのモンスターの体力を4回復させる。
このカードが相手の戦闘及び効果で破壊された時、ライフコアを5回復させる。
ATK 6 HP 15』
向こうのアリフレアも防御面は着々と作られている。 タッグマッチとは言え、アリフレアは基本的にサポートカードがデッキの中に多く入っている。 長期戦になればなるほどアリフレアのデッキは真価を発揮するが、特性が同じではそれも危ういのかもしれない。
「コンバットタイム。 手札を1枚捨て場に送り、雲の妖精に攻撃。」
ん。 手札をわざわざ捨てて雲の妖精に攻撃したか。 だが「フェアリーホール」が展開されているから実際の体力よりも5多くなっている。 今のままでは一撃で倒せる訳じゃない。 それならあの捨て場に送ったカードになにか仕掛けたな?
「私は捨て場に送った「サプライヤーフェアリー」の効果を使用する。」
『モンスター:サプライヤーフェアリー レアリティ 水色 コスト 4
種族 妖精族
このカードが捨て場に存在する時、一度だけ自分フィールドのモンスターの攻撃力を5上昇させる。
ATK 3 HP 6』
単純な攻撃力強化か。 コストや条件の割にメリットが少ない。 まあ元々アリフレアのデッキって戦闘よりじゃないから、火力不足になるのは、正直仕方ないことだろうな。 妖精僧侶がどこにいるかも分からない雲の妖精をなんとか迎撃したようだ。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。」
向こうの雲の妖精は攻撃させないか。 ダメージにならないから攻撃をしなかったのか、それとも無意味だと分かっているからか。 元々はアリフレアの影であるため、根底は変わってないのかもしれない。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを10つ支払い、「スターサイン ミノタイル」を召喚。」
『モンスター:スターサイン ミノタイル レアリティ 桃 コスト 10
種族 機械族
このカードの攻撃力は自分フィールドの「スターサイン」カードの枚数×3倍上乗せされる。
このカードの戦闘開始時、戦闘する相手モンスターのHPがこのカードよりも高い時、このカードのHPをそのモンスターに1上回るように攻撃力に加える。 この効果を使用した後、HPは戻らない。
ATK 7 HP 20』
ミルレが出したのは牡牛座のモンスター。 カードと言うことはモンスターだけでなく、装備カードや領域カードも適応される。 状況有利は作りやすいな。 今場にいるのはイルルアルタとスコルピー、そしてミノタイルの3.体。 攻撃力はどのモンスターよりも上回っている。
「コンバットタイム。 私は手札を1枚捨て場に送り、ミノタイルで雲の妖精に攻撃。」
「手札をわざわざ捨て場に送って攻撃を仕掛けたっすね。 アンブレラメイトの装備効果があるっていうのに。」
「純粋にダメージを稼ぎに行ったのね。 それともなにかに焦ってる?」
ミルレに限ってそれはないだろう。 影アリフレアの雲の妖精はアンブレラメイトが装備されているとは言え体力は6。 ミノタイルの攻撃が通ればダメージはかなり与えられる。
そしてミノタイルの攻撃が当たった・・・のはアンブレラメイトの一部のみで、雲の妖精にダメージはない。 だがライフコアにぶつかるため影アリフレアのライフコアが削れ、そしてあの黒い雫が飛んでくる。
『ご主人様は、私を、大切にしてくれる。 それだけで、私は、幸せなのに、それ以上の事を、してもらいたいって、思ってる自分もいる。 それは何故? ご主人様を、困らせたくない、のに。』
アリフレアの気持ちは影であっても揺らいでいる。 それはアリフレアの心が全く穢れを知らないからだろう。 優しいアリフレアらしい影の在り方だ。
「続けて私はイルルアルタでスコルピーに攻撃!」
さすがにこれ以上手札を送るわけには行かないと判断したのか、標的を影ミルレのスコルピーに変更される。 そして影ミルレは対処をしてこない。 スコルピーは装備カードごと倒され、影ミルレのライフコアが砕かれる。 そして影ミルレの黒い雫も飛んでくる。
『私が貴族だから? 子供だから? 私だってセイジ様の元にいたいのに! 私は、私自身があの方の事を知らないのが腹立たしいです!』
ミルレは本心では俺と一緒に冒険をしたいと思っていたのだろう。 だがそれはミルレに対する俺の過保護な部分もある。 一国の姫として、そして1人の幼子として見ていた、俺の。
「・・・クールタイムに入り、私はエンディングを迎えます・・・」
ミルレもアリフレアの気持ちを知ってしまって、かなり複雑な心境になってしまった。 今回はタッグマッチ。 故に2人の心が共鳴しているかのように、互いの気持ちを打ち明けてしまっている。 人というものは必ずなにか人には言えない気持ちや想いを持っている。 しかしそれを表立って話す奴はよっぽどいない。 それを知ってしまえば、関係が崩れるのは目に見えて明らかだからだ。 だからこそ上手いこと人は取り繕い、合わせようとする。
だが彼女たちはそのようなことを知らない。 出来ないと言ってもいい。 何故ならそれを知るにはまだ早すぎるとも言えるからだ。 過保護過ぎるのも良くないが、無知ゆえの好奇心は侮れない。 だから避けていたのかもしれない。 常に俺といるとどうなるのかを知らせないために。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
影ミルレのターンになる。 状況としては影側が劣勢状態になっている。 だがミルレとアリフレアの2人がこのまま圧しきれるようなカードプレイングを持っていないことは把握済みだ。 しかしそれは向こうも同じはず。
「私はコストを20支払い、「スターサイン サネルクテイマー」を召喚。」
「なっ・・・!? そのようなカードは私のデッキには入っていません!」
「なに!?」
ここに来て本人のデッキと違うカードを入れていただと? なにかの拍子に変わったのか? あのモンスターが厄介者になることには間違いない。 あれは本当に彼女達の影なのか、1つの不安が頭をよぎり始めた。




