平行線の中で
「僕のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
向こうもモンスターが倒されて、微量ながらもダメージは受けたものの、ただでは起きない事だろう。
「僕はコストを12支払い、装備カード「ナイトタイムブレード」を発動。」
『装備カード:ナイトタイムブレード レアリティ 銅 コスト 12
自分の捨て場に存在する獣族モンスター1体をフィールドに召喚し、このカードを装備する。
このカードを装備したモンスターは、コンバットタイム時、攻撃力を0にする。
このカードを装備したモンスターの戦闘終了時、攻撃したモンスターの攻撃力分、攻撃力を上げる。 この効果は元々の攻撃力と重複しない。
このカードが破壊された時、上がった攻撃力と元々の攻撃力の合計数値分、相手のライフコアに与える。』
「僕は捨て場に存在する、ダンプエレファントを呼び戻し、このカードを装備させる。」
カンタのデッキの中にある、数少ない攻撃的なカードを引いたようだ。 カンタ自身もあまり入れたがってはいなかった。
しかし全部が全部攻撃力を0にするにしても、なにかしらのメリットや布石は確実に必要だ。 先程のダンプエレファントがいい例だ。 攻撃力を0にしてでも、ちゃんと相手を倒せる手段を考えなければ、戦いには生き残れないのだ。 王となった今のカンタなら尚更だ。
「コンバットタイム。 ダンプエレファントでオーケスト・サックスロットを攻撃。」
攻撃をしたところで攻撃力が0なので、モンスターを倒すことは出来ない。 だが、倒すためならゼブレードの方が友好的とも思える。 ならばこの攻撃の目的は。
「攻撃を行ったことにより、ナイトタイムブレードに付与される攻撃力が上昇する。」
ナイトタイムブレードの付与攻撃力上昇。 しかも効果自体は続くので、攻撃をすればするほど、どんどん上がっていく。
「クールタイムに入り、僕はエンディングを迎える。」
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
ナイトタイムブレードの効果はかなり面倒だが、今のアリカでは処理出来るか分からない。 さぁどうする?
「私はコストを5つ支払って、魔法カード「一時の休息」を発動。」
『魔法カード:一時の休息』 レアリティ 水色 コスト 5
このターン、コンバットタイムを行わない代わりに、カードを2枚ドローする。』
手札に無ければ引けばいい。 その考えは間違いじゃない。 さぁ、お望みのカードは引けるか?
「・・・良し!」
どうやら当たりを引いたみたいだ。
「私はコストを4つ支払い、装備カード「使い古したマウスピース」をサックスロットに装備させるわ。」
『装備カード:使い古したマウスピース レアリティ 水色 コスト 4
装備したモンスターの攻撃力を5上昇させる。 このカードは3回目のコンバットタイム終了後に捨て場に送られる。
このカードが捨て場に送られた後、装備していたモンスターは2ターン目のエンディング時まで、元々の攻撃力が5下がる。』
「そしてコストを7つ支払って、魔法カード「備品廃棄」を発動するわ!」
『魔法カード:備品廃棄 レアリティ 紫 コスト 7
自分フィールドの装備カードを捨て場に送る事で、相手の装備カードまたは領域カードを破壊する。
手札を1枚捨て場に送る事で、相手モンスターを破壊することも出来る。』
「私は自分の「使い古したマウスピース」を捨て場に送る事で、装備カードを破壊する。 私が選ぶのは」
「僕はコストを6つ支払い、インタラプトカード「領域内からの眼光」発動。」
『魔法カード(インタラプト):領域内からの眼光 レアリティ 紫 コスト 6
自分フィールドのモンスター、及び装備カードを破壊する効果を無効にする。』
そう簡単にはやらせてはもらえないか。 さすがにダメージソースとなっているからか、当然の対策をしているだけの事だろう。
「コンバットタイム!サックスロットでダンプエレファントを攻撃!」
効果による破壊が出来ないと悟ったのか、直接攻撃を仕掛けに行ったアリカ。 幸いダンプエレファントの体力はサックスロットよりも下だし、更に言えばトランペリタの効果の乗ったサックスロットは顕在だ。 戦局はまた動く事だろう。 そのまま何もなければ、だが。
「僕はコストを4つ支払って、インタラプトカード「危機本能」を発動。 攻撃してきたモンスターの攻撃対象を変更して、コンバットタイムを終了させる。 攻撃対象をポイズンラマへと変更。」
これによってダメージはあったものの、これ以上は攻撃が行えなくなった。 しかしやはり違和感というものも存在してしまう。
「カンタさん。 あなたはそんなにもモンスターの命を軽く扱う方では無かった筈。 このような場面で言うのはおかしいとは思っていますが、自身のモンスターに対して、もっと愛着があった筈です。」
「戦いの勝利のために犠牲にして何が悪い。 僕はあの方を守るために戦っているのだから、モンスターの命まで鑑みる必要はないだろう? 攻撃が終わったのならば、こちらに手番を回すんだ。」
完全に意思を乗っ取られているのか、既に壊されてしまったのかは分からないが、喋り方も相まって完全に俺達の知っているカンタではなかった。
「っ。 クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。」
「僕のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 僕はコストを10支払い、「アンティークビースト」を召喚。」
『モンスター:アンティークビースト レアリティ 銅 コスト 10
種族 獣族
自分フィールドの獣族モンスターが相手のモンスターを破壊出来なかった時。 このカードの攻撃力を戦闘を行ったモンスターの体力分上昇させる。
このカードが捨て場に送られた時、デッキからコスト10以下の獣族、魚族モンスターをコストを支払わずに召喚する。
ATK 0 HP 15』
「そしてコストを 5つ支払い、装備カード「乾燥した泥」をアンティークビーストに装備させる。」
『装備カード:乾燥した泥 レアリティ 水色 コスト 5
1ターンに1度、相手が攻撃をしてきた時、モンスターへのダメージを半減させる。
装備したモンスターと戦闘を行ったモンスターは、コンバットタイム終了時毎に攻撃力を2下げる。』
向こうの準備は着々と進んでいるようだ。 しかも徹底的にモンスターが倒されないようにしている。 カンタの本質を考えれば当たり前の事であり、カードゲームの基礎においてもちゃんとしている。
「コンバットタイム。 ダンプエレファントでサックスロットを攻撃。」
「破壊されないからって何度も・・・!」
それがナイトタイムブレードの効果だと分かっていても、止める術は今はないようだ。 そしてつばぜり合いのような金属音が重なり、ダンプエレファントは戻されるが、ナイトタイムブレードの効果は上乗りされていく。 そして
「アンティークビーストの効果により、自分フィールドのモンスターが戦闘で破壊出来なかった事で、攻撃力をサックスロットの体力分上昇させる。」
アンティークビーストが攻撃力を上げた。 それはサックスロットには届かないが、バイオリーナの体力を奪うには十分な程にだ。
「アンティークビーストでバイオリーナを攻撃。」
これが通ればバイオリーナは倒されてしまう。 バイオリーナもアリカにとっては重要な攻撃手段だ。 ここで倒されればこの先が厳しくなるだろう。
「私はコストを6支払ってインタラプトカード「小休止」を発動!」
『魔法カード(インタラプト):小休止 レアリティ 紫 コスト 6
コンバットタイムを終了し、その後互いにカードを1枚ドローする。』
アンティークビーストは攻撃を止めて、カンタのフィールドに戻った。
「攻撃が止まったことにより、お互いにカードをドローするわ。」
カンタもアリカもドローする。 実力は拮抗している。 だがカンタにはナイトタイムブレードという爆弾が備わっている。 ダメージが少ないタイミングで破壊を目論んだアリカも次なる一手を考えなければナイトタイムブレードの効果をもろに受けてしまう。
「クールタイムに入り、僕はエンディングを迎える。」
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
互いにライフコアに余裕はある。 だがそれ以上に2人とも自分を守る術をだいぶ費やしたのではないかと感じる。 ここからは殴ったら殴り返される戦いになるだろう。
勝つ術を手に入れるのが早いのはアリカかカンタか。刻一刻と過ぎていく時間の中でも、俺は2人の成長を見ていることに、親心も出てきてしまう。 こんな形で無ければ、2人ともリスペクトしあえたかもしれないが、今は先に進むことを考えるしかない。 なんとしても勝ってくれ。 アリカ。
戦況的にほとんど動いていないので、現状報告はありません。
そもそも話の継ぎ目みたいな話なので




