全ての元凶、現る。
カンタにどんなスキルが備わったのでしょうか
「な、なんだ!? なんで攻撃が行われていない! あのライオンの攻撃で終わりじゃないのかよ!?」
相手も当然驚いている。 倒した筈の相手が倒れておらず、攻撃も止めてしまったのだから、困惑を極めるのは目に見えていた。
「ちっ! だがまだモンスターはいるんだ! インスピレーションバイブレーダーで・・・なに!? 何故クールタイムに入っているんだ!?」
その言葉でこちらも驚きを隠せなかった。 まだ攻撃が出来る筈なのに、ルール上攻撃が出来なくなっていたのだから。
「なんすか? あいつにもなにが起きているかわからないんすか?」
「どうやらそのようだな。 そして使った本人も、なにがなんだかという顔をしているぜ。」
カンタの方を見ても、なにが起こっているのか分かっていなかった。 使った本人ですら分からないことが起きたのだ。
「・・・くっ! クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える!」
「・・・僕のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」
そしてさらに不思議なことが起こる。 なんと相手フィールドのモンスターがカンタのフィールドに吸い寄せられるように行っていたのだから。
「なんだ!? 本当になにが起きているんだ!?」
その辺りでようやく2人の間にショーウィンドウの画面が現れる。
『スキル:平和の色欲
自分フィールドのモンスターが相手フィールドより少ない状態で、相手の獣族、獣人族、鳥獣族が攻撃を行った時、その攻撃を無効にし、コンバットタイムを終了させる。
次の自分のプラポレーションタイム時、相手フィールドにいる全てのモンスターを、自分フィールドに配置する。』
あれがカンタのスキル・・・七つの大罪の「色欲」から出来たスキルか。
「なんだそのスキルは!? 言ってることが無茶苦茶じゃねぇか! こんなのはあり得ねぇ!」
スキルなんだからズルいのは当たり前だろう。 とはいえ俺も確かに思っていた。 いくら発動条件が人それぞれとはいえ、発動すればほとんど一発逆転の一手になるなど、バランス崩壊もいいところだ。 まあ、実際に俺もそれで何度も救われているから、強くは否定しないがな。
「・・・コンバットタイム。 超獣の王 イオライオで相手のライフコアに直接攻撃。」
「ちょ! ちょっと待て! こ、こんなのって・・・」
イオライオの攻撃は止まらずに、敵のライフコアを爪で引っ掻いた。
「こんなのってあるかぁぁぁぁぁぁ!!」
そしてライフコアが「0」になったのを確認して、
「クールタイムに入って、僕はエンディングを迎える。 これで終わり・・・だよね?」
『勝者 カンタ シノクラ 報酬として小国イラミーナの王位継承権を取得しました。』
AI領域が解かれて、イラミーナの街並みに周囲が戻る。 周りには亜人達が行く末を見守っていたようだ。
「ふざけるな! もう一度だ! もう一度俺と勝負しろ! あんなのがあるって分かっていたらこんな結果になんぞなってない! 俺はこの国の王となる人材なんだ! 終わっていい訳がないんだ!」
負けた奴ほどよく吠えるとはこの事で、大人であるにも関わらず言っていることが、この場にいる全ての生物よりも圧倒的に子供だ。 見てて悲しくなる。
「僕達はもう、あなた達のような人間に奪われる権利を持たない。 僕が王になったのならば、従って貰おう。 この国に留まらないで、別の国で細々と生きるんだ。 最もこの国には肉食の亜人もいる。 これ以上留まるのなら、彼らの怒りを買おうとも文句は言えない筈だ。」
そして男達は様々な肉食獣人達に睨まれ、流石に命の危機を悟ったのか逃げるように去っていった。
そして亜人達はカンタの前に跪いた。
「この国を治める王よ。 我々は貴方の意向に従うことを、ここに誓いたい。」
1人の亜人が言うと、亜人達は今度は頭を垂れた。
「わわっ! みんな顔を上げてください! 僕はあなた達を従えようとは思っていません。 今まで通り接してください。」
あたふたしているカンタを遠目に見て、俺は安堵をした。
「師匠、どうやらもうこの国は大丈夫そうっすね。」
「うむ。 もう少し発展すれば、私の国とも貿易を結ぼう。」
「みんな、笑顔に、なっています。」
みんなの感想も含めて、ようやくカンタも報われたのだろうと思った時だった。
『セイジ君!? 聞こえる!?』
「サヴィ? どうした? そんなに慌てて?」
『大変なの! マーキュリーの国王の宮殿が・・・ミカラさんが何者かに追い出されたのよ!』
「・・・なんだって!?」
俺の言葉にその場にいた全員が俺の方を向くが構っていられなかった。
「どうした!? セイジ!? なにがあったんだ!?」
「・・・っ! サヴィ! 敵の特徴、分かるだけ説明してくれ!」
『結構数はいるけど・・・ミカラさんを倒した敵は、猫目で色白、黒髪でヘアゴムをしている男よ。 服装は白い装束で・・・なんか水晶みたいなのを持っているわ。 緑色の。』
「緑色の水晶?」
「え? その水晶って・・・」
言葉を紡いだのはカンタだった。
「なんだ? 知っているのか?」
「あ、うん。 全貌は聞こえてないから分からないんだけど・・・僕があった神様はその緑色の水晶を持ってたんだ。」
その言葉を聞いて俺は、カンタの肩を掴んだ。
「いいか、よく聞いてくれ。 これから君にある人物の特徴を言う。 覚えてる限りでいいから、そうかそうじゃなかったか言ってくれ。 いいな?」
「う、うん。」
俺の圧力に気圧されているようだが、そんなことを構っている暇はない。
「まずは猫目で色白。」
「うん。」
「黒髪でヘアゴムをしていた。」
「ヘアゴムまでは分からないけど、髪は長かったよ。」
「服装は白い装束。」
「うん。 そうだった。」
これでハッキリと分かった。 どうやらカンタ達を送った元凶が、痺れを切らしたのか向こうからやってきたのだ!
「サヴィ。 そいつは城にいるんだよな?」
『ええ。 拠点にしようとしているから、間違いないわ。』
「なら俺達はハーキュリーに急いで飛んで帰る。 それまで足止めをしておいてくれるか?」
『待って。 それならテレポート・・・いえ「ポインタ」の方がいいわ。 場所や人物を思い浮かべながら詠唱すればいいわ。 他の人物も連れていきたい時は貴方の手の甲にその人物が触れていれば一緒に連れていけるわ。 正式詠唱は「我をあるべき場所へ誘え ポインタ」よ。』
「分かった。 サヴィ達も来るんだろ? 城の前じゃなくってミカラさんの近くに行く。 宮殿の前に行って返り討ちは目も当てられん。」
『分かったわ。』
そうして俺はみんなの方を向く。 するとアリフレア、ベルジア、ファルケン、零斗さんは既に準備が出来ていたようだ。
俺が手の甲を差し出すと、なにも言わずに重ねてくる。 その手の中にはアリカの分もあった。
「アリカは無理してこなくていいんだぞ?」
「いえ、最後まで見届けさせてください。 私は、こうなってしまった原因を、もっと知りたいから。」
「僕も付いていってもいいですか?」
そう言いながら手の甲に重ねてきたのはカンタだった。
「僕は自分の神様に話したい。 この転生に、貴方が望んだものがあるのかと。」
その言葉にまっすぐ見据えられる。 その勇気だけでなにも言わなかった。
「それじゃあ行くぞ。 ・・・よし。 『我をあるべき場所へ誘え ポインタ』。」
そうして俺達は軽いような重いような不思議な感覚になって、足が地に付いた時には・・・
「・・・驚きました。 何もないところから現れるなんて。」
「サヴィから空間跳躍魔法を教わりまして。」
そう言っていると、隣に光が降りる。 そして光が無くなっときには、同じ様に顔馴染みが現れる。
「セイジ様!」
ミルレがすぐさま飛びかかってきた。 まあ数ヶ月も会っていなかったんだ。 これくらいは許そう。
「なんだか、初めて見る人がいるみたいだけど。」
「カンタの事か。 彼は亜人小国イラミーナから来たのだ。 そして自らの力で王位を継承した。」
「説明ありがとうベルジアさん。 それにしても、貴方はトカゲの亜人、ですか?」
「正確にはちょっと違うけど今は関係無いかな? ボクはリーゼルデ・フォン・フランシュシュ。 長いからゼルダでいいよ。」
向こうで会合している間に、俺はミカラ様に状況を聞くことにした。
「ミカラ様。 サヴィの遠隔確認魔法から状況はある程度聞いています。 城を取られたというのは?」
「簡単な話だ。 先程の君達のように何処からともなく現れ、私と制約カードバトルを行い・・・私が負けたのだ。」
あのミカラ様が・・・負けた? ミカラ様のデッキは召喚こそ厳しいものの、決まれば簡単には突破できない。 それを打ち負かしただって?
「そして奴は宮殿を拠点とした後、次に行ったのは我々の排除だった。 当然だろうな。 邪魔者をそこに追い出したいのは間違いないのだから。 ムサロとメスリもそのうち合流することだろう。」
そう説明をしていると、なにやら空に人形が浮かび上がった。 どうやら立体映像のようだ。 そしてその姿を見たカンタが言葉を溢した。
「間違いないよ。 あの人が、僕をこの世界に送った神様だよ。」
当初の目標とは大分かけ離れましたが、なんとか話を持ち越すことが出来ました。
最近は面倒で章変換などはしていないのですが、お話自体は終わりへと向かっています。
最後までお付き合いの程、よろしくお願い致します。




