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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
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亜人小国

「それが次の場所に行く理由で御座るか。」


 目が覚めて、零斗さんが起きたタイミングで話をした。 因みに他のみんなはまだ夢の中だ。


「しかしわざわざ神の方から出向いてくれるとは。 拙者にもなにかお告げがあればよかったで御座るが。」

「俺の場合は特別ですよ。 それよりも次の場所にいるという転生者についてですが・・・」

「警戒をするに越したことはなかろう。 前科の2人がいるで御座る。 拙者達のような善人とは限らん。 もしかしたら拙者達の方が異質なのではないかとすら思えてしまっているで御座る。」


 それもそれでどうかと考えてしまうけれど、零斗さんの言っていることもあながち間違いではないのかもしれない。 こちらに送った神が違えば、また変わったかもしれない。 零斗さんの場合はまた別だけど。


「相手がどういう人物かは俺が判断します。 この力を使えるのは何しろ俺だけですし、問答無用ならこっちも同じですから。」


 対話の余地があればなんとかなるかもしれないが、期待値は高くない。 そうなってくれば送った神の方がろくでもないと言うことになる。 前の二人の事を考えればなおのことだ。


「この事は伝えるで御座るか?」

「いや、こちらとしても完全に教えるわけにもいきません。 理由は後で教えますよ。」


 それよりも重要なことを考えていた。 果たして今度はなんの大罪になるのか。 どの大罪も面倒なのは変わりない、が、一つ一つ解決していかなければ、平穏は訪れないかもしれない。 それだけ俺も神に頼られているのだから。



「イナミーラか。 私が知っている限りでは小国、つまり国土として大きくはない。 だがそれ以上の情報が無いのもまた事実である。 力になれず申し訳ない。」

「なんで謝るんだよ。 だからこそ俺達は出向くんじゃないか。 俺だって最初から知ってて行く訳じゃないんだ。」


 空を飛びながらベルジアになにか情報はないかと探りを入れてみたが、やはりと言っていい程に情報は得られなかった。 何時ものごとく無い物ねだりしてもしょうがない精神で飛んでいた。


「そういえばイナミーラってどの辺りになるんだ?」

「小国故、まだ地図上に乗っていないのかもしれない。 実際に私も探すことが出来ずにいた。」


 幻の国なのか? それはそれでかなり面倒になるぞ? 探せない訳じゃないだろうが時間がかかることになるかもしれない。


「アリフレアちゃん。 寒くない?」

「大丈夫です。 アリカさんこと、体調が悪くなったら、ご主人様に、言ってください。」


 そんな風に飛んでいて二人のやり取りを見ている時に、上からなにかが降りてくるのが確認できた。


「止まれ! ここから先は亜人小国「イナミーラ」の領域だぞ!」


 現れたのは鳥の、羽の大きさからしてコンドルの亜人だろう。 その亜人が武装をしてこちらに向かって槍を構えていた。


「なるほど、国境はあるのは分かっていたけれど、空域までは考えていなかったな。」


 そう言いながら俺は両手を万歳した。 人で言えば降伏のサインだが、亜人に通じるのかまではいまいち分からない。


「ふむ。 羽も無しに飛んでいるのは珍妙な事だが、敵意が無いのは分かった。 そのままゆっくりと降りるんだ。 後ろの仲間もだ。」

「俺が降りれば同時に降りていきます。 彼らも危害は加えさせません。」


 そう言って俺は先に降下を始める。 そうして地面に着いた辺りで、もう一人の傭兵らしき人物とあう。 こちらは顔が蛇のようになっていた。


「どうした? アユ? なにかあったのか? ん? 彼らは?」

「イナミーラの空域に入ろうとしたので塞き止めたのだ。 いくら空とは言え我が小国の領域には変わりないからな。」


 アユと呼ばれたコンドルの亜人が蛇の亜人に説明をする。 どうやら正当な手続きが必要らしい。 亜人の国に入るんだ。 しかもこちらは人族。 暴れまわられたら被害を被るのは国側だからな。


「我が国に入る前にこの書面を確認した上で記名をしてもらう。 偽名を使えばすぐに分かるからな。」


 そう言って蛇の亜人は目を細める。 恐らくは蛇特有のサーモグラフィで体温の変化を見ているのだろう。 嘘発見器は何だかんだで信頼できるからな。


「やっぱりこの国には亜人しかいないのかな?」


 書面を見ながらそんなことをポツリと呟くと、アユがそれに対して反応した。


「そうだ。 亜人にだって居場所はある。 地図に載らなかろうと構わない。 我々なりに生き方を指し示す場所があるのは僥倖である。 国土を大きくする気持ちも持っていないのでな。」


 それがどんな国王だったか分からない。 分からないが、詮索しても意味はないだろう。 確認を終えた上で記名する。 勿論他のみんなもだ。 そしてそれをアユに渡して確認を待っていると、ふとあることを思ってしまう。


「ファルケンのやつ、身分を隠しながら、やれているんだろうか?」


 今度も独り言を喋っていると、またもアユが反応した。 耳いいなこの人。


「ファルケン、ファルケン・ライナーと知り合いか?」

「え? まあ、そうですけど。」

「ほーう、そうだったか。 いやなに、やつも実は1週間ほど前にこの国の空域を飛んでいてな。 私と同じ鳥の亜人ということで意気投合してなぁ。 はっはっはっ!」


 そう豪快に笑うアユ。 こういうと失礼だが、やっぱりこうしてみても人間と大差なく見えるんだよな。 亜人と人間との違いって、なんだろうな?


「よし、ここから先の通行を許可する。 だがくれぐれもイナミーラ内での暴動は避けて貰いたいものだな。」

「ありがとうございます。 そうだ。 折角だから、ファルケンがどこに行ったのか聞いてもいいですか?」

「構わんぞ。 奴は「強いカードゲーマーと戦ってみたいッス」と言っていたので、この先の亜人の街を案内した。 まだそこにいるんじゃないかと思うが。」

「それならそちらに向かいます。」


 そう言って行こうとした時に、ふと蛇の亜人の方がこう呟いた。


「ああして亜人に対して好意的な人間と最後に会ったのは、最近来たあの人だったな。 どことなく雰囲気も似てるし。」


 今度は俺がその言葉に反応する番になった。 今の情報は逃したくない。


「なぁ、その人間って今どこにいるか、知っているか?」

「うん? あの人ならこれから向かう街にいると思うぞ? あの人に用なのか?」

「・・・少し話をしたいと思っていまして。」


 そいつが転生者か確定できない以上言葉を濁すことしか出来なかったが、確かな情報は得られた。 闇雲に探さなくて済みそうだ。


「先程の話を聞いている限りでは、悪さをしている人とは思えなかったけれど。」


 アリカの考えに俺も同意見だった。 だがそれが天然か計算か。 そこまで見極めなければならない。 「百聞は一見に如かず」というように、表面だけ取り繕ってるようならこちらにもやりようはある。


「セイジ殿、着いたようで御座るよ。」


 いつの間にか道が舗装されており、前を見ると何かの門に差し掛かっており、そしてそこを抜ければ亜人の街並みがあった。


 どことも変わらない普通の街だが、ここで全く違うのは歩いている人達だ。 顔が動物、足元が動物、背中が特徴的など、色んな亜人がいる。 犬猫は勿論、狐に雀、ハリネズミやアルマジロもいた。


「正しく、亜人のための、国、ですね。 ご主人様。」


 アリフレアの言うように、ここまで亜人密集率は余程無いだろう。 この中から人を探せ。 というのは難しいようで簡単なのかもしれない。


「セイジ、向こうの方が少々賑わっているようだ。 何があるか見に行ってみないか?」


 ベルジアが指差す方は、確かに亜人達がさらに密集している場所だった。 しかもなんか盛り上がってるみたいだし。 なにかの祭りなのだろうか?

 亜人達の間をくぐり抜けて中心の方にいくと、そこではカードバトルが行われていた。 亜人のみの国でも、カードゲームは栄えているようだ。 そしてそこで見慣れた人物を見かけることとなった。


「俺っちはクールタイムに入るッスが、手はあるッスか?」

「・・・ここまで、か。」

「なら俺っちはエンディングを迎えて閉幕ッス。」


 そう宣言した後に、ワッと周りは歓声を挙げた。


「ふっ。 強さに傲っていたのかもしれないな。 俺も歳を取ったもんだ。」

「何を言ってるッスかランキングNo.5。 流れはそっちにあったッス。 あのカードを入れてなかったら、俺っちの完敗だったんスから。」

「それを引き当てる運も大切だ。 その運を捨てるんじゃないぞ。 No.4も一筋縄ではいかないからな。」

「望むところッス。」


 そういって互いに握手をする亜人二人。 その片方のファルケンは俺達といた時とは見違える程に凛々しくなっていたのを、俺はこの目で確認したのだった。

久しぶりのファルケン登場


次回はファルケンのカードバトルをお送りする予定です

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