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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
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破壊神と創造神

「い、今の、光は、なんですか?」

「なにが起こったの? なんか街のみんなが何事もなかったかのように過ごしているけど?」


 後ろで待避していたアリフレアとアリカがこちらに駆け寄ってくるが、こちらもなにが起きたのかさっぱり分からない状態だ。 雷の後になにかが起きたのは確かなのだが、原因が分からない。


 なにより街の様子が、活気に満ち溢れているのだ。 あれだけ疲弊しているような街から一変している。


「あの雷がなにかをしたとしか考えられぬが、調べることは出来ぬようで御座るな。」

「そうだな。 あれだけの雷が落ちたのなら、少しは地面が抉れていてもおかしくはないと思ったが、綺麗さっぱりだ。 跡形も残ってない。」


 零斗さんやベルジアは原因を探ろうと雷の落ちた地点に駆け寄ったが、地面にはそんな痕跡は一切無かった。 焦げ跡すらもだ。


「よく分からないが・・・とにかく一度ここを離れよう。 長居するような場所でもないしな。」


 そう言って俺達は、この場を去ることにした。



「別に外まで出る必要は無かったんじゃないの?」


 完全に街の外である森まで来ると、アリカがそう言って疑問をぶつけてきた。


「アリカ殿、言いたいことは分かるで御座るが、一変してしまったあの街で、支配も同然のようになっていた記憶がある拙者達が居心地良く寝れるとは到底思えぬ。 汝には窮屈な思いをさせてしまうであろうが、こちらのほうが拙者達としてはやりやすいのだ。 許して欲しい。」

「え!? いや、そこまで言われると流石にバツが悪くなると言うか・・・ちょっと疑問に思っただけなので・・・」


 うーん、零斗さんの古風な言い方に慣れてないみたいだ。


「今は状況を整理しよう。 今回のベルジアの相手だが、最後に話して分かったと思うが、俺達と同じ様に、異世界からここに送られてきた奴だ。」


 名前まで聞いていなかったが、今となっては正直どうでもいい。


「何故あの者と敵対をする? 向こうの言い分は悪かったが、同じ異世界から来た者なら、仲間に率いれることも考えていたのではないのか?」


 そうか、この辺りはベルジアは知らないのか。 いや、知っていたとしても、アリカの時とは訳が違う。 キチンと説明しないと、ベルジアも納得しないだろうしな。


「ベルジア。 俺達の今回の旅の目的は、その転生した奴らをもう一度神様のところに返すことにあるんだ。 あいつらを産み落としたのは俺達と同じ神ではない、と言っておけばとりあえずは納得してもらえるか?」

「・・・そちらの複雑な事情までは私は察せれない。 だが本気なのは貴殿と付き合ってから分かるようになってきた。 信じよう、その言葉を。」


 信頼関係はやはり大事だ。 改めてそう思った。


『セイジ君!? 聞こえる!? 聞こえたら応答して!』


 おっと、今度はサヴィの方からテレパシーがとんできた。 概ねさっきの雷の事を聞かれるだろうが、こちらとしても説明がつかないので、今は応答をすることを考えよう。


『すまんなサヴィ。 聞こえてるぜ。』

『ああ、良かったわ。 そっちの方面に大きな雷が落ちたようだから心配だったのよ。 なにも起こってない?』


 どうやらこちらに起こっていたことは向こうには届いていないらしい。 距離の問題か、あの街だけなのか。 色々と疑問はあるが、サヴィには終わったくらいで説明すればいいだろうということで、一応、話を濁すことにした。


『こちらに関しては特に問題ない。 そっちも何かあったら報告してくれ。』

『ええ。 ゼルダもミルレも心配してるから、終わらせるならなるべく早くね。 それじゃ。』


 そうしてテレパシーが切れたとと共に、俺の意識も落ちていった。



「目を覚ませ。 お前と話がしたいんだ。」

「もう少し穏やかに言いなさい。 向こうも困惑してしまうでしょう?」

「俺はこういうもんなんだよ。 人のイメージに合わせるのは大変なんだよ。 あんたらと違って。」


 なにか声がする。 男女両方だ。 男は若く、女は妙齢で貫禄がある感じ・・・かな? まああくまでも憶測だからなにも言えないけど。 目を瞑っているということは夢に干渉されてる感じだな。 ゆっくりと目を開ければ、2人が言い争ってるような形で俺の前にいた。 何故その表現なのかと言えば、2人とも宙に浮いていて、さらに言えば俺も地面と接していないからだ。


「・・・お、ようやく起きやがったな。 このやり方って本当に不便だなぁ。 そのまま前に出りゃあ一発で分かるだろうによ。」

「分かるからこそ止めなさいと言っているのです。 名前や職業柄、嘘でも誠でも、都合が悪くなります。 身分を弁えろと言っているのではないのですから、自覚を持ちなさい。」


 喧嘩は俺のいないところでやってくれない? 言ったところで関係無いのは分かっているので、終わるまで黙ってることにした。


「おい、傍観者になってんじゃねぇよ。 お前に用があるんだから、会話に入ってこいや。」

「呼び出しておいて放置したのはそっちでしょうが。」


 そう答えると男の方は驚いた後に不敵な笑みを見せた。


「ほぉ。 この俺に意見を出すか。 あの良くも悪くも「らしさ」全開のあの二人が送ったのがあの世界だったから、能天気な甘ちゃんが来るかと思えば・・・筋が通ってるじゃないか。」

「今のはこちらが悪いのですから、もう少し態度を控えなさい。」


 主従関係なのか親子関係なのか、そんな風貌を見せるやり取りの後に、男の方が改めて俺に目を向ける。


「ま、俺の事を知ればどんな相手だろうが身を竦めるだろうがな。 俺はお前らの世界で言う破壊神だ。」

「なっ!? は・・・破壊神・・・!?」

「おっ? いいねぇ、その表情。 正しく俺が望んでいた表情だ。 そうだ、俺は恐れられるべき神なんだよ。」


 色んな物語でよく語られているから、破壊神がいないなんて事は思ってはいなかった。 だが、それならば何故俺の前に現れたのかが分からなかった。


「先に言っておくけどな。」


 こちらがなにかを言う前に向こうが話しかけてくる。


「破壊神っつったって何もかもを破壊したい訳じゃない。 そんな衝動的な事で動く奴はただの動物だ。 俺は世界の不都合になるような場所を1から構築させるために破壊をするんだ。 「神の怒り」と言やぁ聞こえはいいが、そう言う風に落としたのはお前達人間だ。 動物は自然の摂理でしか動かない。 人間は知能的な分様々な過ちを犯す。 その根源を絶ってるだけなんだよ。」


 そのつらつらと並べた言葉は信憑性があり、同時に目の前の神が、自分勝手な神で無いことを、心で理解した。


「破壊神は破壊神でも、あんたは正しい行いをする破壊神なんだな。」

「へぇ。 理解は高いようだな。 いや、それぐらいじゃなきゃ面白味に欠ける。」

「なにが「面白味に欠ける」ですか。 彼に目を付けてからと言うもの、暇な時は必ず観に行っているではないですか。」

「おおっと、それを言うなよ。 威厳無くなるだろうが。」


 何はともあれお気には召したようで安心した。 それよりももう一人の方は誰なのかの説明が欲しいのだが。


「先程からの無礼をお許し下さい。 私は創造の神、と認識していただければ、それで構いません。」

「創造の神・・・前の世界でのエジプト九栄神のクヌム神様ってことか。」

「残念ながら我々にはそういった名前のようなものはございません。 そのような名はあくまでも人が覚えやすいようにしただけの事。 意味があるとすれば信仰心が増えるだけでしょう。」


 そう言うことか。 ま、確かに分かりやすいならなんでもいいもんな。


「ん? それで俺が呼ばれた理由ってのはなんなんだ? 自己紹介だけにしては随分と仰々しいというか、そこまでしなくてもいいというか・・・」

「っとと。 本題を忘れたら意味がねぇよな。 と言っても俺達が言うのは事後報告みたいなもんだ。」

「事後報告?」

「お前らがさっきまでいた街に大きな雷が落ちただろ? あれは俺の仕業だ。 あの街自体を一度()()した。 当然そこには人も入ってる。」


 ・・・は? 街を抹消した?


「困惑するのも無理はねえ。 なんてったって街は消えてないからな。」

「破壊神である彼が壊した後に、私が創造の力で街や人を再構築したのです。 ただし彼、強欲の力を持った転生者が来た歴史を無かったことにして。」

「無かったことに・・・それならなんで俺達にはその歴史が残ってるんだ? いや、正確に言えば俺や零斗さん、アリカは転生者だからともかく、ベルジアとアリフレアまでその歴史が残ってる。 あんたらにとってはこれは不都合にならないのか?」

「あなた達が転生者で知っている為、変に歴史を無かったことにしても、あなた達の方に違和感が生じると思ったので、彼らには記憶を残しました。」


 それがいいことか悪いことかは、今後分かることか。 ならば今は気にする必要はないな。


「とにかくこの世界での歴史の一つとして刻まれるのみで、変化はあまりないと言っておきましょう。 外部の人間には違和感があるでしょうが、時が解決してくれます。」

「で、次はお前に助言をするために呼んだんだ。 「破壊神が助言を?」 なんて考えは捨てな。 これでも神は神なんでね。」


 それとこれとは話が違うって訳か。 助言を貰えるなら特に文句はないが。


「お前には次の目的地を「イナミーラ」にしてもらう。 目的地を言うからはっきりとさせておくが、そこに例の転生者がいる。 悪さをしている様子はないが、直接確かめてこい。 人間の世界で神の力を手にしているお前にしか出来ん仕事だ。 頼むぞ。」


 破壊神に頼み事をされたら、断るわけにもいかないでしょ。 世界が壊されるかも知れないし。


「分かりました。 「イナミーラ」ですね。」

「そうだ。 っと、夢も終わりだな。 まだまだお前には期待してんだ。 楽しませてくれよ?」

「普通に別れることが出来ないのですか。 私からも応援しています。 それでは。」


 そうして俺は朝日を浴びることとなり、あれが夢だったことを再認識したのだった。

この二人の神も含めて色んな逸話がありますが、そう言ったものとは関係無いので、その辺りは深く推察しないで頂けるとありがたいです。


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