国王の見解
新章の様なものです
今後の活動について後書きに書きます
「おーい。 待ってくれぇ。」
オストレリア行きの船に乗ろうとしていた時に、そんな声がしたので振り返ると、走ってこちらに向かってくるメスリ王子がいた。
「メスリ様。 そんなに慌ててどうしたんですか?」
「はぁ、ようやく追い付いた。 これを渡そうと思ってな。」
そう言って手渡しされたのは、俺が改良を頼んだサブデッキケースと折り畳み式の小さな機械だった。
「こっちは分かりますが、これは?」
「遠くにある同じ機械と連絡を取れるものだ。 名付けて『小型通信魔道具』。 今は通話機能しか付けれていないが、後々は文章でやり取りが出来るようにするつもりだ。 ちなみに試作品だから、まだ俺の工房にあるもう1つの魔道具にしか通じない。」
うわぉ。 この世界で携帯、しかもガラケーにお目にかかれるとは。 確かに今まで手紙でやり取りをしていたし、それ以外の手段と考えられるなら魔法の「テレパシー」だと思っていたからだ。 「テレパシー」については俺もサヴィに教えて貰ったが、ぶっちゃけ詠唱の方が長過ぎて止めた。 あんなのを口にしてる間に介入される。
「わざわざありがとうございます。」
「お前が既に行くことが決まっていたからな。 大急ぎで作らせて貰った。 改良が進んで、量産が出来るようになれば、いずれは世界とも繋がるようになるだろう。」
その想いは間違っていないと、元地球住みの俺達には確信を持てた。
「俺達と別れた後の事を聞いてもいいか?」
船に乗った後、俺はアリカと親睦を深めるため、会話をすることにした。 あれからサヴィの探知魔法を使って見つけた場所は湖の畔近くだったので、最初は行き倒れになってしまったのではないかと思っていたが、そんな様子はなくて、逆に釣りをしていた時は安堵と拍子抜けで飛んでる最中に落ちそうになった。
「あなた達と別れた後は、まずは別の街に向かってみようと思い、ただひたすらに歩いていました。 ただ食糧が無くなって来た時は本当に死んでしまうのかと思ってしまいましたね。 あの時近くにあった木の実が無ければと思うとゾッとします。 九死に一生を得た思いでしたよ。」
そんな状況になりつつもよく生き残ったものだ。 人間タガが外れた時が本性を現すということだろう。 生きたいという執念とも言えるが。
「そこからはそれなりに大きなトラブルもなく、色んな人と話したりしていました。 それはもうあの村で称えられていた時よりも、ずっと。」
どうやら彼女もこの世界に適応した人間だったようだ。 最初にいた場所が悪かっただけだったんだな。
「でも貴方の話を聞いて、にわかには信じたくなかったのですが、事実面倒事を起こしているとなれば、その矛先がこちらに向きかねないと思ったんです。」
「だからいても立ってもいられず、この旅についてきた、と。」
「そうです。 迷惑はお掛けすると思いますが、邪魔立ては致しません。 ですから・・・」
「別に追い出そうとはしてないし、この件に関してはアリカも必要だったんだ。 そう自分を落とすようなことを言うな。」
事実流されるがままに来ていないことだけ確認できたから個人的にはそれでいい。 アリフレアもいるし、女手1人という訳でもないから、その辺りは気楽だろう。 仲良くやってくれるとこちらとしてもありがたいものだ。
そしてオストレリアに到着し、まずは街自体に変化がないかの確認を行う。 辺りを見渡しても前に来た時と同じ様に変化はない。 とはいっても、たかだか1人の法螺吹きにそこまで影響されることなんかほとんど無いか。
「まずはどうするで御座る? セイジ殿。」
「俺は国王に会ってくる。 みんなはそれっぽい人物を見かけたら、様子見してくれ。 どうせ向こうから接点を見出だそうとはしてこないと俺は思ってるし。」
その言葉に反対意見は無く(そのやり取りにアリカは驚いていたが)、そのまま情報収集の流れとなった。
俺は国王(子供)が住んでいる小さな家の前に立つ。 そして周囲に誰もいないことを確認して、ドアを叩く。
すると向こうも俺の意図が分かってくれたのか、少しドアを開いて、俺を招き入れた。
「久しいですね。 セイジさん。 急にこちらに来たのでびっくりしましたよ。」
「いや、こっちも連絡無しに訪問してんだ。 招き入れてくれたことを感謝する。」
ミカラ様の話では、同盟になった今では、それぞれのやり取りを行っているとの事。 それを聞けて、こちらとしても少し安心する。
「それでこの国に来た理由は? 観光目的では無いのですよね?」
「話が早くて助かる。 最近この国に「勇者」がいるって話を聞いてな。 その事について、なにか知っていることはないかと聞きたかったんだ。」
「「勇者」・・・ですか。」
ん? アレクが嘲笑した? 俺なんか変なことを言ったか?
「いえ、すみません。 貴方の事を笑ったのではないです。 あれを「勇者」と呼ぶのは、逆に恥ずかしさを覚えまして。」
やはり本物ではないだけに、滑稽に見えてしまうようだ。 アレクが実際のところいくつなのかは知らない。 知らないが、そんな少年が嘲笑するとなると、会う前からかなり憐れに感じてきた。
「まあ、勇者でないなら「愚者」とでも呼びましょうか。 彼が来たのはいつ頃で?」
「1ヵ月程前かな。 船で来ていないのは分かったけれど、ハーレーストラからの陸路ではないところから来たみたいなんだ。」
1ヶ月前だとミルレの国にいた時と同じくらいか。 ハーキュリーに戻ってきてすぐに報告があったのは対応がかなり早かったと言えるだろう。
「それで突如現れたその愚者はおかしなことを吹聴し始めてね。 やれ「自分には力が宿っている」だの「勇者の末裔」だのと法螺吹きをしている。 しかしその力を見せびらかすためだけに、気に入らない人物に制約カードバトルを仕掛けているというのもまた事実。 それで本当に力があるとなった時、その光景を見ていた住民は信じてしまった者が多かったんだ。」
「じゃあその愚者のスキルを間近で見ただけなんだな?」
「ええ。 まだ数回しかやっていないものの、後何回か同じことが続けば、それこそこの国の人間はその愚者の言い分を信じてしまうことになる。」
「現国王は?」
「まだ住民の一部にしか信じていないから、父や母の元に届く事はないが、時間の問題ではあると思っている。」
事の深刻よりも親の方が心配なのは当然か。 となるとこちらで早急に処理しなければ、被害は拡大していくことだろう。
「となれば、早めに摘んでおく事に越したことはないか。」
「なにをしようと思っているんです?」
「なに。 この国の沽券に関わるようなら、少しばかり退場をして貰おうと思ってるんですよ。 別に手を汚すような事はしません。 そのまま出ていって貰うだけですので。」
「・・・君がそう言ってくれるのならば、僕も信じることとしよう。 マーキュリーとオストレリアとの架け橋を掛けた君にね。」
俺は別に大したことしてないんだけどな? 結んだのはそっちなんだし。
そして俺は国王、アレクの家から出ることにする。 改めて思うが、こんなに近くに国王がいることを、オストレリアの国民。 少なくともこの街の住民は気が付かないのだろうか? 暗黙の了解か気付いてない不利をしているのか、それとも本当に気が付いていないのか。 色々と疑問もあるが、問題解決が優先事項なので、詮索は止めることにする。
そして国王と別れた後に街を改めて確認する。 変化がないと言えば嘘になるが、目に見える変化は起きていない。 実際本当にいるのかも、怪しくなってきた。
そんな時に皆と合流することが出来たのだが、雲行きが少々怪しい。
「どうしたのみんな?」
「見つけたんで御座るよ。」
「見つけたって・・・」
その言葉の視線を追うように見ていると、確かにそこにいた。 勇者被れの俺たちのような顔立ちをした人物が、間違いなくその場に現れたのだ。
今現在こうして作品を投稿していると思うのですが、最初に比べると投稿頻度は落ちていまして。
理由としましてはこちらの都合ではありますが、完全に執筆活動に遵守出来なくなっているからなのです。
ですので今後は今日から週一投稿にさせていただきます。
完走まではする予定ですが、リアルの状況によっては出せなくなる週も時折出てくることもあるかもしれないので、その時はその時にお願い致します。




