表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
212/262

二度目のカードと二度はない

 俺は作られた引き(クリエイトドロー)で引いたカードを見てみる。 そのカードは・・・


「・・・これは・・・そう言うことか。」 


 作られた引き(クリエイトドロー)は俺が怒りに達した時に、その場で一発逆転のカードを引くものだとずっと思っていた。 だけどそれだけじゃない。 同じ様な理由で怒りを持ったのなら、それは同じカードを引く事になるのだろう。 だからこそこのカードがまた来てくれたんだ。


「俺はコストを10支払い、魔法カード「優しき者への集約」を発動! このカード効果により、場のモンスター全ての攻撃力を、陣に集約させる!」


 陣に力が宿っていくのが見える。 しかし


「それだけでは我が王を倒すことなど不可能に近い。 仮に倒せたとしても、私に届くのは微々たる攻撃のみだ。」


 この中で攻撃力が高かったのは陣か明王だ。 しかも明王は他の効果の対象にならない。 「優しき者への集約」は範囲は全体だが対象はそれぞれ取っている。 そして明王を倒したところで、次の手がない。 まだ攻撃力が足りないのだ。 ここにきて自分のスキルが不発に終わると言うのか・・・


「・・・いや、倒せないのは明王の方だ! ヨンマセ自身には盾となるモンスターがいない! コンバットタイム! ヨンマセのライフコアに直接攻撃!」


 陣が距離を詰めていく。 これが通れば・・・


「私はコストを7つ支払い、インタラプトカード「二重防衛網」発動。」


『魔法カード(インタラプト):二重防衛網 レアリティ 紫 コスト 7

 このコンバットタイム時のみ、ライフコアに入るダメージを半分にする。』

「これであなたのモンスターの攻撃が通ろうとも、次のターンが回ってくるようになった。」


「ふふふ。 ただでは終わらせん。 お前達にはそれ相応の苦痛を与えてジワジワと倒してやろう。」


 そうなると面倒だ。 しかしスキルも使い、カード効果によって既に戦闘が出来るのが陣のみになってしまっている。 更に戦闘が開始してしまっている。 もうこの攻撃を止めることは出来ない。 次までに備えなければならないのか・・・


「セイジ殿。」


 そう思い始めたとき、零斗さんが声をかけてきた。


「拙者は、あやつの統治する国のことを考えていたで御座る。 恐らく民達は、心を殺しながら生きているのではないかと感じた。 上のものになればなるほど、民の声は届かず。 貧富の差は広がるで御座る。」


 唐突に語り始めた零斗さん。 いきなりどうしたんだろうと話を聞いていた。


「あの者にどのような理由であれ、()()()があった筈で御座る。 そんな多くの想いがある筈で御座る。」


 その言葉で俺はハッと気が付いた。 それと同時に、今は一人でないことを知らしめられた。 これが俺達と相手の圧倒的な違いだと。


「拙者のこの気持ち、汝の力に変えるで御座る! 我がスキル「鎮魂歌による憑依」を、陣に上乗せするで御座る!」


「鎮魂歌による憑依」零斗さんがこの世界に来て得たスキルであり、その効果も零斗さんのデッキだからこと本領を発揮する力だ。


 そして攻撃力が更に上乗せされたことにより、例えダメージが半分であろうと、ヨンマセのライフコアを削りきることが出来るようになった。


「さぁどうした? そっちはそれ以上はないのか?」

「くっ!」


 そう聞くとヨンマセは隣の通訳者を睨みつける。 だが通訳者もこれ以上はないと言わんばかりに首を横に振った。


「なっ!? なにも出来ないだと!?」

「自分で出来ないからと他人任せにしていたから、いざという時になにも出来なくなる。 結局はあんたも最終的には見放されるんだよ。 味方にもな。」

「ふざけるな! 我は国の王だぞ! 統治するのに人を使うことのなにが悪い! 使わなければなにも出来ぬ奴らを、我が使ってやっているのだぞ!?」

「その言い分に誰が納得すると思う? そんな想いで国を建てた人間に、限界が無い程働くと思うのか?」


 その言葉と共に、陣の持っている刀に、赤と青のオーラが渦のように巻いていく。 そしてその刀を陣は構える。


「な、なんだ・・・そのモンスターの刀は・・・? い、一体なにをしたんだ!?」

「特段なにもしていないさ。 ただ強いて言えば・・・」


 陣は音もなくヨンマセのライフコアの背後に回る。 そして「チン」という音と共にヨンマセのライフコアは砕けた。


「お前には、人々が膨れ上がらせた怒りや悲しみを、抑え込み過ぎた結末を知らしめたかっただけだ。」


『勝者 セイジ、レイトペア。 これにより、交渉権はヒノマルが主導になります。』


 AI領域が解かれ、ヒノマルの町並みが広がる。 俺は終わった事が分かっていないのか、棒立ちのままのヨンマセに近付く。


「さて、交渉権はこっちになった。 とはいえこっちだって別に完全に貿易を行わない訳じゃない。 交渉通訳は俺がやる。 契約がある以上は文句は・・・」


 言葉が途中で遮られる。 何故ならヨンマセが俺の襟を掴んできたからだ。


「こんなのはあり得ないんだ! 誰にも負けないんだよ! 我は! 我は国の王だぞ! 誰かに見下させる理由など無い!」

「ちっ! 往生際の悪い! ここはお前の国じゃない! それにお前は負けたんだ! 駄々なんかこねてないで、大人しく言うことを聞け!」

「これは駄々ではない! 我は負けてない! あんな口約束1つで縛られると思うなよ! そうさ、そちらに交渉権があろうが関係無い・・・お前がこちらに勝てないくらいに圧倒すればいいんだ・・・なにも考えることなんて無いじゃないか。」


 俺はその言葉に忌々しさを覚える。 確かに今までの連中は負けた後は潔く負けを認め、それ以上のことはなにもしてこなかった。 その感覚に少し自惚れていたのかもしれない。 だからこそ余計に苦虫を噛み潰したようになったのかもしれない。


「ふふふ。 それと忘れてるようだから言っておくぞ。 我々の会話は向こうには一切届いていない。 つまりこうやっていざこざしていても会話の内容は知られない。 そして我がお前にわざと攻撃をされたことにすれば、お前達の国は賠償請求を受けることになる。 我に逆らったことを後悔するくらいにな。」


 そんなことをされたらヒノマルに大ダメージになりかねない。 今回の事は悪手だったか・・・そう思ったとき、三月朗様がこちらに声をかけてくる。


『セイジ殿。 あのヨンマセ殿にお伝えしてくれるか?』

『・・・一体・・・なにを・・・お伝え・・・するんですか?』

『我々ヒノマルは、そちらの国との貿易を最低限に抑えると共に、今後の交流は検討をすると伝えるのです。』


 その言葉に俺は驚いた。 まさかこちら側の声が聞こえていたというのか?


「よそ見している暇があるのか!? おい! 我は頂点に立つ者ぞ! 我を無視するなどいい度胸・・・」

「こっちの大将からの伝言だ。 貿易は最小限、そして交流は関係性が良好だと判断出来ない場合は検討をするってよ。」

「なっ・・・なにを言っているんだ・・・?」

「意味が分からないなら砕いて説明してやるよ。 あんたの国とは貿易を極力避けたいんだとよ。」

「な、なんだと!? 何故だ!? 何故利益的なことを考えない!? それでも国の長なのか!?」


「それをそのままお前に返してやるよ。 自分の事ばかり考えている王ってのはな、お前が助けないから誰も助けてなんかくれないんだよ。 お前は今までは自分のわがままが通ったからそこまで成り上がれたんだ。 だがここはお前の国じゃない。 お前の思いどおりになんか動かないんだよ。 分かったらとっととこの国から自分の国に帰る準備をしやがれ! 目障りだ!」


 その俺の恫喝にも等しい言葉で、ヨンマセは完全に崩れたのだった。


『セイジ殿。 今回の件、お主に任せっきりで済まなかった。 私もまだまだ未熟だな。』

『ま、今まで交流が無かったんですから、それも仕方の無い事ですよ。 俺達の仕事も、ここで終わりのようだしな。』

『拙者達も帰る準備をするで御座るか?』

『ええ。 ヒノマルの事について報告をするためにな。 おっと、みんなを城の中に待たせてるんだった。 戻ってみんなの顔を見に行きましょう。』


 そうして俺、零斗さん、三月朗様は、最初にこの場所にきた道をひたむきに戻る事にした。 そう言えば大分朝早くに来たから、みんな起きてるかな?

長かった・・・タッグマッチはやっぱり長いか・・・


最後のスキル使用も大分無理矢理詰め込みました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] お疲れ様でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ