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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
209/262

コンビネーション

「色々と手を回したみたいだが、所詮はその程度。 いささか威厳だけのようだな。」


 ヨンマセがこちらを見下すように見ながら台詞を吐いてくる。 しかしその程度で悔しがる俺達ではない。 別に想定範囲内で戦っているし、あいつに遅れを取っているとも思ってはいない。 むしろこの状況下で、いかに相手よりも優位を取るかで真剣に考えている。


「我のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」


 今のところヨンマセの方のデッキの全貌が見えない。 場にいる民達のカードも使い道はまだ見えてこない。 これが前の世界のように、召喚のための布石として使うのならばまだしも、このカードゲームの主な召喚方法はコストの支払いによるもの。 召喚された後の効果としてはいまいちピンとこない。


「我はコストを8つ支払い、「民からの特攻兵」を召喚。」

『モンスター:民からの特攻兵 レアリティ 紫 コスト 8

 種族 戦士族

 このカードが戦闘を行う時、このカードよりもコストが高いモンスターは、効果を使用することが出来ない。

 ATK 6 HP 5』


 そしてまた効果として使い所が曖昧なカードを出してくる。 この世界でのカードは主に所持者の肉体的、精神的、視覚的な情報を感じ取って、それを元にカードのデザインや効果に反映されることが大半だ。 しかしヨンマセの場合はどこまでがその情報なのかが全く見えない。 そもそもあいつはカードの効果を見てデッキを組んでいるのだろうか? まだカード情報が少ないから早合点するわけにはいかないが。


「我はコストを7つ支払い、魔法カード「懸賞金増額」を発動。」


『魔法カード:懸賞金増額 レアリティ 紫 コスト 7

 このカードを使用したコンバットタイム時、自分モンスターの攻撃が相手のライフコアに当たった場合、そのモンスターの攻撃力を2倍にする。 この効果は破壊されるまで継続される。』


 俺のモンスターは今は攻撃対象にされない。 必然的に俺に攻撃は向けられる。 今の手札では対処も出来ない。


「コンバットタイム。 くくくっ。 その様子だと対処法が無いと見える。 それもそうだ。 自分を守るカードを相方に使用したのだ。 愚かなことよ。 我が兵達よ、そのものに苦痛を与えよ。」


 そして俺は民達の攻撃を一身に受ける。 一身にと言っても受けているのは俺自身ではなく、ライフコアであるが。


「クールタイムに入り、我はエンディングを迎える。」


 削られ方がえげつなくなってしまったが、まだライフコアには余裕がある。 しかしなんとかこの状況だけでも変えていきたい。


「セイジ殿。 奴の戦い方が分かったで御座るよ。」

「本当ですか!?」


 俺よりも先に零斗さんが感付いた。 少しでもいい。 情報が欲しい。


「あやつは戦術的な物は一切持ち合わせていないで御座る。」

「え?」

「戦う光景をただ見て楽しんでいるだけ。 効果を見ずに、ただただ民達が必死な姿を高みの見物するだけに考えられたようで御座る。 おそらくは札の絵のみで選んでいる可能性が高いで御座るよ。」


 なるほど、だからテーマやコンセプトが見えなかったわけだ。 考え無しのデッキなら、相手にも分かりゃしない。


「しかし逆を言えば、まともに運用できぬ代物という事。 それは拙者達にとって、かなり有利な事で御座るよ! 拙者の開戦、そして山札を引く! 戦闘準備!」


 零斗さんは引いたカードを確認する。 すると今度は俺の方を見る。


「セイジ殿。 この戦い、ヨンマセを集中砲火するのが勝利の形で御座ろう。 だが・・・」


 零斗さんはヨンマセではなく、通訳者の方を確認する。


「邪魔はしてくるでしょうね。 ですが止めるのは攻撃手段では無いですよね?」

「うむ。 そしてヨンマセのために守りを固める事だろう。 セイジ殿と同じ様に。 だがあの2人と拙者達には圧倒的に違いが生まれている。」


 そういうと零斗さんは先程のカードを使う構えをする。


「拙者は代償を6つ支払い、魔法札「失明者の採掘」発動。」


『魔法カード:失明者の採掘 レアリティ 紫 コスト 6

 このカードを使用した後、手札が0枚にならなければ発動できない。

 相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードを、コストを支払わずに使用することが出来る。』


「ふん。 そのようなカードがあろうとも、我のカードを使いこなせるとは思えないな。」

「誰がそちら側からカードを選ぶと言ったで御座る? 拙者はセイジ殿のカードを貰うで御座る。」


 その言葉に俺は納得する。 このカードは俺が「ノーバレットスナイパー」と共に出すかを悩んでいたものだ。 だがここで出せず腐らせるよりは断然いいし、むしろ零斗さんの方が上手く使えるだろう。


「零斗さん。 このカードを。」


 そういって零斗さんにカードを渡す。 零斗さんもカードを確認すると、零斗さんは口角をあげた。


「セイジ殿。 このカード、ありがたく使わせて貰うで御座る。 拙者は「失明者の採掘」の効果により、代償を支払わずにこのカードの召喚を行うで御座る。 出でよ!「虚実無根の精霊師」!」


『モンスター:虚実無根の精霊師 レアリティ 銀 コスト 14

 種族 魔法使い

 手札が0枚の時、自分の捨て場に存在するモンスターを召喚することが出来る。 ただしこの効果で召喚したモンスターの効果は使用できない。

 このカードが相手の効果で破壊される時、カードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨て場に送る。

 ATK 18 HP 15』


 俺が手元に残しておいたカード、それを最大限発揮するためには、俺自身もある程度覚悟が必要だった。 だがこの方法で零斗さんに有利にして貰う分には十分でもあったりする。


「そして拙者は捨て場に存在する「無我の境地を得た侍」を召喚するで御座る。」


『モンスター:無我の境地を得た侍 レアリティ 桃 コスト 10

 種族 戦士族

 手札にこのカードのみ存在する時、コストを半分にしてこのカードを召喚する事が出来る。 ただしこの効果による召喚を行った場合、ステータスは1/4となる。

 ATK 12 HP 16』


「今まで出していたカードにそのようなものは存在していなかったはず!?」

「そんなものは初手の内に捨てていたで御座る。 ・・・ふむ。 やはり手の内が読まれないという点では向こうも同じで御座るか。」

「零斗さんの場合は、そもそものデッキが特殊ですからね。 ファルケンみたいなスキルが無ければ手の内なんか読まれないですって。」

「汝がそれを言っても、説得力は皆無で御座るよ。」


 まじ? まあ確かに俺のデッキってテーマ特に無いからなぁ。 そんなことは特に関係は今はないがな。


「戦闘準備! そちらの民達を解放するで御座る。 無我の境地を得た侍で英雄国の民達に攻撃!」


 そう言って侍はほぼ無音で民達に近付き、そのままの姿で民達を過ぎ去った。 その後に残ったのはバタバタと倒れる民達の姿だった。


「峰打ち、もとい剣は振るってはおらぬ。」


 自分がその侍になったかのように零斗さんは喋り、そして民達の中からヨンマセのライフコアに傷をつけた。


「ちぃ!」

「まだ行くで御座る! 精霊師よ、精霊の力を使い、その兵に戦意喪失の意志を伝えるで御座る。」


 精霊師はなにかの呪文を唱えると、精霊と思わしき姿が現れ、そしてゆっくりと少年兵に近付き、なにかを囁くと、少年兵は膝を崩してそのまま消えていった。 その霊魂のようなものがヨンマセのライフコアを刺激する。


「くっ! またもこのような・・・!」

「今の汝に守る盾はない。 この攻撃をその身一身に受けてもらうで御座るよ。」


 最後にハイラースが攻撃を仕掛ける、のだが


「私はコストを8つ支払い、インタラプトカード「王前での叩き落とし」を発動します。」

『魔法カード(インタラプト):王前での叩き落とし レアリティ 紫 コスト 8

 相手モンスターの攻撃によってライフコアに直接攻撃が入る時、その攻撃を無効にし、自分モンスター1体の攻撃力を3上昇させる。』


 ハイラースの剣はライフコアに届く前に地面へと突き落とされてしまう。 そう簡単には攻撃は通さないか。


「そのような妨害は想定内で御座る。 拙者は休息に入り、休戦を向かえるで御座る。」


 相手の戦いは粗方分かった。 しかしそうなればやり方も決まってくる。 手札はこちらは互いに0。 相手にとっては場数の優位が取れるだろう。 だがハンドレスコンボはここからが本番だ。 零斗さんの戦術と俺のそれに合わせたデッキで、相手を混乱の渦に巻き込んでやる。

現状


ヨンマセ ライフコア 62


通訳者 ライフコア 92

古を生きた御三家

狡猾な狂言師


清司 ライフコア 38

背水流剣技正統後継者 陣

ノーバレットスナイパー


零斗 ライフコア 100

虚実無根の精霊師

旧騎士ハイラース

追放されし縁の下 淵上

立ち上がる敗北者 轡

無我の境地を得た侍


今年の投稿はこれにて終わります。 来年からは約1週間程お休みさせていただきます。


本音を言ってしまえば、今は本当に書けるだけの脳みそが無いと言うところです。


一応投稿は続けていくのですが、昔のような投稿ペースには戻れないと思います。


それでも読んでいただけるなら、幸いです

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