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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
207/262

味方に合わせた戦術

 日が昇り始めた明朝。 俺達は昨日と同じ場所を訪れていた。 俺達と言ってもいるのは俺と零斗さん、そして三月朗様と1人のお付き程度である。 他のみんなはまだ眠っているし、三月朗様は俺達の試合の顛末を見守る大事な役割がある。


 そしてその場所にあの2人も来ていた。


「ふん。 臆せずに来たことを誉めてやろう。」

「こっちから言い出したんだから逃げるわけ無いだろ?」


 最初から喧嘩腰だが関係無い。 この戦いにはこの国の未来がかかっていると言っても過言じゃない。 ここの文化を、他国の利益のために使われてたまるか。


「カードゲームを始める前に制約をつけよう。 互いに勝った方が貿易用の物々交換の相場を決めようぜ。 完全に貿易を無効にするのはさすがに可哀想だからな。」

「このヨンマセに憐れみを送るとは・・・つくづく癪に触る。」


 別に挑発した訳じゃないのに勝手に血が上ってら。 言葉は時に人を狂わすって、こう言うことを言うんかな?


『制約:貿易相場交渉』


 AI領域が展開されたと言うことは、向こうも了承したという証だ。 なら心置きなく戦える。


「この戦いに持ち込んだことを後悔させてやる!」

「お前らの手にこの国の文化を簡単に渡してなるものか!」

『さぁ、劇場の始まりだ!(で御座る!)』


 勝負を左右するのダイスロール。 結果は俺が「8」、零斗さんが「21」、ヨンマセが「83」、通訳が「26」となり、順番はヨンマセ→零斗さん→通訳→俺という形になった。 先手を取って、ある程度迎え撃てる体制にしておきたかったが、ダイスが導いた結果なら無理なのもしょうがない。


「ふっ。 やはりこのヨンマセが一番だということが証明されたな。 我のオープニング、そしてドロー、プラポレーションタイム。」


 そんなことで調子に乗るのはさすがにどうなんだ? まあいい。 初手で相手がどんな風に出てくるかを見極めないといけないな。


「我はコストを8支払い「英雄国の民達」を召喚する。」


『モンスター:英雄国の民達 レアリティ 紫 コスト 8

 種族 人族

 このカードはリリースする時、コストを倍として扱う。

 ATK 10 HP 15』


 最初に出してきたのは多くの民達の現れるカードだ。 しかしリリースしてということは、相手は自身のモンスターを捨て場に送って力を発揮するタイプと推測しておいて、今後をどう動くかだな。 1ターン目で全員攻撃の出来ないこの状況下なら、なにを出しても基本はやられないからな。


「クールタイムに入り、我はエンディングを迎える。」


 っとと、さすがになにもしてこないか。 まあ、準備段階なんてそんなものだよな。


「拙者の開戦、そして山札を引く。 準備期間に入る。 拙者は代償を6つ支払い、魔法札「不始末の大惨事」を発動するで御座る。」


『魔法カード:不始末の大惨事 レアリティ 紫 コスト 6

 手札を任意の枚数捨て場に送る。 その後相手に捨て場に送った手札の枚数の3倍のダメージを相手のライフコアに与える。』


「この効果により、拙者は手札5枚を全て捨て場に送るで御座る。 そしてヨンマセ殿の心臓核に15の損傷を与えるで御座る。」

「15ダメージだと!?」


 捨て場に送った手札がたちまち炎に包み込まれ、その火の粉がヨンマセのライフコアに当たる。 初手から15ダメージはかなり大きい。


「ふっ。 物事を早くしすぎてはないか? 手元を見よ。 既に手は尽きている。 これ以上はなにもすることも出来まい? 終了の宣言をしろ。」


 確かに普通ならここで終わりだ。 自分のフィールドにモンスターを残すことなく、相手の手番に回ることだろう。 ()()()()、な。


「誰もこのままで終わらせるとは言ってはおらぬぞ?」

「ふん、戯れ言を。 では一体なにが出来ると言う? 手札の切れたその状態で。」

「拙者は先程捨て場に送った「追放されし縁の下 淵上」と、代償を4つ支払い、捨て場より「立ち上がる敗北者 轡」を召喚するで御座るよ。」


『モンスター:追放されし縁の下 淵上(ふちかみ) レアリティ 銅 コスト 12

 種族 戦士族

 このカードは手札から捨て場に送られた時、コストを支払わず捨て場から召喚できる。

 手札が0枚でドロータイム以外の時にドローした時、手札を1枚捨て場に送る事で、自分のライフコアまたは自分フィールドのモンスター1体のHPを5回復する。

 ATK 15 HP 12』


『モンスター:立ち上がる敗北者 (くつわ) レアリティ 水色 コスト4

 種族 人族

 手札が0枚でこのカードが捨て場に存在する時、コストを支払う事で捨て場から召喚できる。

 ATK 5 HP 3』


 宣言と同時に2人の兵士が地面から召喚される。 これで零斗さんは次のターン、攻撃も防御も対処できるようになった。


 それにしても凄いコンボだ。 手札を全て捨てることにより、相手にダメージを与えつつ、自分の得意な戦術に引き込み、更にデメリットを逆手にとったモンスター召喚。 そして轡の効果に回数制限が無い。 つまり手札が0枚ならばコストを支払えば捨て場から自分を守れる盾が生まれる。


 手札を全て捨てるという最初手でやるのに躊躇いを感じる方法も、零斗さんのハンドレスコンボの前では好都合になる。 これが零斗さんの本来の強さなんだろう。


「休息に入り、拙者は休戦に入るで御座る。」


 零斗さんのターンが終了した時、相手は既に息を飲んでいた。 戦術に飲まれているのが手に取るように分かる。


「わ、私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。」


 零斗さんに圧倒されて通訳が半分パニックに陥っている。 怒涛の展開についていけてないのだろう。


「私はコストを10支払う事で「古を生きたご三家」を召喚。」


『モンスター:古を生きたご三家 レアリティ 桃 コスト 10

 種族 人族

 自分フィールドのモンスターを捨て場に送る事で、このカードは3回攻撃が出来る。 ただしこの効果を使用した場合、このカード以外でのモンスターの攻撃は行えない。

 ATK 18 HP 21』


 パニック状態になっているのか、今はほとんど役に立たないモンスターが召喚されている。


「クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。」


 しかもそれ以上の事をしてこない。 戦術的と言えば確かにそうだが、それにしても消極的過ぎる。 まあ、あちらがどういう手で来ようが、こちらはこちらなりにやらせて貰うだけだ。


「俺のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 俺はコストを15支払い、「背水流剣技正統後継者 陣」を召喚する!」


『モンスター:背水流剣技正統後継者 陣 レアリティ 銀 コスト 15

 種族 剣士族

 このカードの召喚時、自分の手札を任意の枚数捨て場に送る事が出来る。 捨てた枚数により効果が付与される。

 1枚以上:攻撃力と体力をX上昇させる。 Xは捨て場に送った枚数×5の数値と同じである。

 2枚以上:相手の効果による破壊を受けない。

 3枚:このモンスターに戦闘を行う相手モンスターに、このモンスターの現在の体力の半分のダメージを与える。 ただしこの効果によって相手モンスターが破壊されても、戦闘ダメージは発生しない。

 ATK 20 HP 10』


「俺は陣の効果により、手札を3枚捨て場に送る。 これにより陣は攻撃力、体力共に15上昇し、効果では破壊されず、戦闘を行ったモンスターにカウンターをすることが出来る。」


 手札を3枚捨て場に送り、陣の姿がより凛々しくなった。


「うっ・・・ぐぅ・・・」


 ヨンマセはこちらが特になにもしていないのにも関わらず、本気で苦しそうな唸り声をあげる。 自分達がやろうとしている戦術が前提的に崩れたか、はたまた俺達の強さを見くびったか。 どっちみち単純に勝てると思い上がっているような奴に、負ける訳がないと、逆に確信が持てる。


「クールタイムに入り、俺はエンディングを迎える。」

「流石で御座るなセイジ殿。 そのような強力なカードを召喚するとは。」

「これも零斗さんのデッキに合わせて作ったからですよ。 探すのに苦労しましたよ。」


 俺が今使っているデッキは、前々から使っているデッキではなく、メスリ様から授かった、空のデッキケースを利用して作った「タッグ専用デッキ」だ。 今回の場合は零斗さんに合わせたデッキに組み換えてある。


 零斗さんのハンドレスコンボのようなカードは数枚程度だったから、手札を減らす、という方向性に変えたら結構多くあったので、そこから選りすぐり今回のデッキとして構築した。


 もちろん構築したデッキの試運転と改修のために零斗さんとベルジアにはひたすら俺とのカードバトルに付き合って貰った。 そのお陰で今回のデッキが形成できた。


 この事に関しては零斗さんとは打合せしていない。 しても意味はないからだ。 しかし互いにコンセプトを活かしあえた初手である。 相手がどうでてくるか見物だな。

現状

ヨンマセ ライフコア 85

英雄国の民達

通訳 ライフコア 100

古を生きたご三家


清司 ライフコア 97

背水流剣技正統後継者 陣

零斗 ライフコア 100

追放されし縁の下 淵上

立ち上がる敗北者 轡


お久しぶりのカードバトル


タッグマッチだと1ターンが長く感じる。


しばらくはこんな調子が続くと思いますが、決着まで根気よく楽しんで貰えたらと思います

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