表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
202/262

情報収集のために

 宿がないかとあちこち歩き回り、ようやく見つけた場所で一息付く。 あまり古くはなかったものの、どこか落ち着くような雰囲気の宿だったのでかなり好印象だ。 床が畳なのもいい。


「それでセイジ。 情報収集とはどのように行うのだ? 街の人間に聞いていくのか?」


 何時ものごとく男子と女子で分かれた部屋で、唯一この国に疎いベルジアが俺にそう質問してくる。 畳に馴染みがないからだろうか、あまり居心地は良くなさそうだ。 おそらく女子側も同じなんだろうな。 この様子だと、部屋着として用意されている浴衣も多分着なれないから、かなり苦戦してそう。


「そんな一般的なところに聞いても、真実は分からない。 というよりも、街の人間に「最近どうですか?」と聞いてこの国の現状を話すとは思えない。 実際に分かってないのかもしれないし。」

「それでは情報が取れないではないか。」

「そう、人から聞けないなら見ればいい。」

「見る?」

「明日になったら分かるだろうぜ。」


 こうなったらなにを言っても意味がないと悟ったベルジアも流れに任せるように宿の風呂に一緒に行くことにしたようだ。


「なんというか、普段入っている浴槽とはまた趣が違うな。 まるで別物とも取れる。」


 そう感想を漏らすベルジア。 大きい家ならまああるだろうなと思ってはいたが、やはりこれは感覚が別らしい。 檜の香りがいいんだよな。


「このような形で温泉に浸かれるとは思わなかったで御座る。 正しく故郷に帰ってきた、と言わんばかりで御座るよ。」

「そうですねぇ。 これなら朝ごはんも期待できそうですよ。」


 久しぶりの温泉で半分夢見心地な俺だったが、さすがに逆上せる前には温泉を上がった。 案の定ベルジアは浴衣に苦戦していたし、たまたま出るのが一緒になった女子達も、浴衣の着崩れが激しかった。 みんなの着崩れをある程度直した後に、部屋に戻り布団を敷いたが、ベルジアは大丈夫なのかと疑問になったが、普通に寝転がったので杞憂に終わった。 そしてそのまま俺達は眠りについたのだった。



『領域カード:ディファレントスペース レアリティ 桃 コスト 11

 このカードが存在する限り、コンバットタイム時の攻撃力は、攻撃を行うモンスターの体力分となる。

 このカードが存在する時に、モンスターを召喚した時、そのモンスターの攻撃力と体力を入れ替えることが出来る。

 このカードが破壊された時、攻撃力が体力を下回っているモンスターは破壊される。』


『装備カード:雷纒し鉤爪 レアリティ 水色 コスト 5

 このカードを装備したモンスターに攻撃をされた相手モンスターは次のコンバットタイム時、攻撃が行えない。』


『モンスター:異文化商人 イーブン レアリティ 紫 コスト 7

 種族 魔法使い

 このカードが効果によって破壊された時、相手の捨て場に存在する魔法カードの効果を使用することが出来る。 ただしコストをライフコアで支払わなければ、効果を使用出来ない。

 ATK 6 HP 10』


『装備カード:ドリリングアーム レアリティ 紫 コスト 6

 装備モンスターの攻撃力を7上げる。 このカードが相手の効果により破壊される時、相手のライフコアに4のダメージを与える。』


『モンスター:盗人エモンゴ レアリティ 桃 コスト 9

 種族 アンチマン

 このカードが召喚に成功した時、相手フィールドに存在する装備カードを装備する、もしくは相手フィールドの領域カードを破壊する。

 ATK 12 HP 10』


 こんな和風な場所に来ても朝のルーティングは変わらない。 むしろこういった場所でやることも、雰囲気が違ってまたいいと感じる。 まあそんなことは今は正直どうでもいいんだがな。


 毎朝触っている(感じている)カード達だが、この国ではバイザーどころかホルスターすら見受けられなかった。


 乱れた浴衣を直した後にまだ朝日の昇らぬ空を見る。 街灯は多くは付いていない。 薄ら明かりの街並みに見える店には提灯のようなものが下がっているが、それに明かりはない。 つまりこのヒノマルは正しく夜は闇と言った具合になるようだ。


 元々この世界には夜は明かりがほとんど灯らない。 当然と言えば当然の事だが夜に出歩く理由が存在しないのだ。 なので夜に紛れて・・・何て話も少なくはないはずだ。


「昨日のような盗人が夜には潜んでいるんじゃないかと考えると、夜に情報収集、ってのは今は止めておいた方がいいな。」


 そう思いながら俺はみんなが起きるのを待っていた。 ルーティングが終わった今は暇ではあるが、朝日を拝むのは嫌いではない。 そして日の出が現れると、闇夜に包まれていた街が一気に明るくなる。


『正しく、日本の夜明けぜよ、という奴で御座るな。』

『ここは日本じゃないですがね。 ベルジアはまだ寝てます?』

『寝心地が良くないと言っていたのでどうだろうとは思ってはいたで御座るが、今はぐっすりで御座る。 まだ朝は早い。 寝かせておくのが良いで御座ろう。』


 そう言って改めて外を覗くと、1人の少年が街を走り回っているのが見えた。 その腰には紙の束が入った袋を下げていた。


『お、来ましたね。』

『どれどれ? ・・・なるほど、新聞で御座ったか。 この時代ならではで御座るな。』


 そう、俺が待っていたのは新聞である。 電子的でないこの国ならではの情報網があるはずだと睨んでいたが、どうやら正解だったようだ。


『この宿にも入ってきたで御座るな。』

『利用者がいればそこに行くんだと思いますよ。 お金にはなるので。』


 そうして少年が宿の外に出たのを見送って、俺達も動き始める。 ベルジアは自然に起きてくる事を信じ、先に下のロビーに行くのだった。


『やはり朝が早すぎるので御座ろうか?』

『でも俺達と同じ様な人達なら見かけますよ。 ほら、あの人は首にバイザーをぶら下げてますし。』


 実際にこの国の労働事業は知らないが、かなりマイペースな節は見える。 時代背景的にもこんなものだろうとも思うが。


『さてと・・・あったあった。 お金は・・・取られないみたいですね。』


 俺は新聞を1つ手に取ってみる。 開いてみると俺達には馴染みのある文字が並んでいた。 懐かしさすら感じつつ新聞をある程度斜め読みする。


『地方で超有名な小規模劇団。 初の大舞台決定! 輝かしい晴れ舞台となれるか!?』

『大雨により畑の作物が栄養不足。 今年は不作か?』

『我が国自慢 我が国独特の味に観光客も舌鼓』


 これといった目立った記事はなかなか見当たらないと思っていたが、1つだけ気になる記事を見つけた。


『黒船二度目の来訪。 話の内容は今後のこの国との貿易か? ・・・か。』


『セイジ殿。この記事・・・そして黒船来訪ということは・・・』

『時代は変わろうとしているのか。 でも解せないです。 この国のお偉いさんだって貿易の利点は分かっていると思うのですが・・・』

『この国独特の文化を外に出すことと葛藤しているのでは御座らんか? 貿易を行う利点と言えばそこで御座ろう?』

『そうなんでしょうけど・・・ そうじゃない気がするんです・・・もっと根本的ななにかが出来ていないような・・・』


 貿易の話で最も難しい部分を、自分なりに考えてみる。 持ってくる品物と量、品物の保管状況・・・


『他国との言語対話?』


「なにを難しい話をしているんだ?」


 色んな可能性を結論付けた時にベルジアが声をかけてきた。 首に手を当てていたので寝違えたのかもしれない。


「それが昨日言っていた情報収集のものか? ・・・何て書いてあるか読めないぞ。」

「こっちの国の言葉だからなぁ。 読めなくても当然だろ。」

「・・・その言い分だとセイジは読めるようだな。 そしてレイトも読める、と。」

「出生が違うで御座るからな。 色んな意味で。」


 そんな会話をしていると、食事処から芳しい薫りがしてきた。


「どうやら朝食が出来たようだな。 しかし初めて香る匂いだが不思議と温かさを感じる。 これは一体・・・」

『・・・零斗さん。 この匂いは・・・』

『うむ。 正しくあれで御座るな。 最後に香ったのは何時だったで御座ろうか?』

「なにか知っているのか? 2人とも。」


 それに関しては俺も零斗さんも薄く口角を上げるだけだった。 なんてったって久しぶりの匂いなだけに、こちらのテンションは上がりっぱなしなのだから。



『お待たせ致しました。 「ヒノマル朝食」でございます。』


 出てきたお盆に乗せられていたのは麦飯に魚の塩焼き、卵焼きに味噌汁(玉ねぎと揚げ)が出てきて、ザ・和食と言った具合だった。


「まさかこの景色を見れる日が再び訪れようとは、夢にも思わなかったで御座る。」

「この世界に来てから随分と経ってしまったせいで、こういうのを見るのですら懐かしさが来てしまいますね。」


 そう言いながら俺と零斗さんは早速と言わんばかりに鼻腔をくすぐりまくっている味噌汁を飲む。 味噌の濃い味の中にある飲むのを止めさせない魅惑の旨味が口の中を支配する感覚が、自分は元々はこの国の人間だったことを錯覚させる。


 他のみんなもそれに触発されるように食事を始める。 普段見慣れないようなものもあったが、旅を繰り返してきたのと、香りが食欲を刺激しているのも相まってみんなもその味に満足していたのだった。

パック開封なんて久しぶりに書いたせいで、どんな効果で書けばいいのか悩みました。 この調子でカードバトルの感覚戻るかなぁ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] カードパーワーは良調整だと思います。 [気になる点] ディファレントスペースの『モンスターを召喚した時』のプレイヤーが相手の場合も召喚したモンスターの攻撃力と体力を入れ替える事ってできます…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ