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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
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みんなが描いた夢

夢から覚めたその後は

 目が覚めると何かのカプセルの中に入っているかのような感覚になっていた。 全身が濡れている。 顔や髪までもだ。


「よくもまあこの状況で「生かしている」なんて言えたもんだな。」


 目の前の幹を押すと簡単に開いた。 外の景色を見ると、大樹が1つとそれを囲うように一部分が膨れ上がった幹や枝を見つけることが出来た。


「形状はこのカプセルと同じか。 ・・・ま、無理矢理起こすのはさすがに可哀想だよな。 時が来るのを待つか。 っとその前に。」


 俺は数個の幹の膨らみを確認しつつ、中が見れないか試したが、やはり壊さない限りは不可能なようだ。


「はぁ。 これじゃあどこに誰が入ってるか分かったものじゃないな。 せめて纏めておいてくれれば良かったのにな。」


 そんな悪態をついたところでなにも変わりゃしない。 殺していないだけ良心が持てる。 やはり元は精霊だからだろうか?


 そんな大樹の思いを勝手に解釈していると1つのカプセルが開かれる。 そして中の人物が出てきた後に、すぐにその人物は俺の懐に飛び込んできた。


「ご主人様!」


 小柄な少女、アリフレアが盛大に飛び込んできたが、しっかりと受け止める。


「お帰り、アリフレア。」

「はい。 アリフレアは、帰ってきました。 ご主人様の、元に。」


 そう思いながらも、温もりからはしっかりと向こうの夢も悪くはなかったのだと思わせた。


「向こうではどうだった? アリフレア。」

「はい。 目が覚めると、私の、お母さんと、お父さんが、いました。 他にはいなかった、のですが、それでも、3人で、仲良く暮らす、夢、でした。」


 アリフレアにとってはそれが一番望ましい世界だっただろうと俺は考えてしまう。 だがこの世界に戻ってきたということは、なにか理由、正確には違和感が存在したはずだ。


「どうやって戻ってきたかも、教えてくれるか?」

「ご主人様が、いなかったこと、です。」

「俺が?」

「色んな所に、連れていってもらった、夢だったの、ですが、ご主人様が、いないことに、不安になってしまって、その事を伝えたら、元の世界に、帰さないとって、お父さんが、言って、その後に、お母さんに抱き締められたら・・・もう、お母さんもお父さんも、居なくなってました。 そしていち早く、ご主人様に会いたいと、思ったのです。」


 この子にとっては両親が一番会いたかった人物だろうと思うが、それを俺が止めてしまった形になったのか。


「本当に良かったのか? 夢だと分かったら、一層悲しくなるだろ?」

「最後に、お父さんにも、お母さんにも、言われたのです。 「彼の元で、幸せになりなさい」って。 私にとっての居場所は、今はご主人様なのです。 だから、アリフレアは、満足なのです。 ご主人様。」


 そう言って抱き締めるのを強くしたアリフレア。 そこまで言われたなら、この子を悲しませないようにしないとなと、改めて思った。 それと同時に、アリフレアらしさを取り戻せたので、ちょっとだけホッとした。


「やっぱりアリフレアはこうじゃないとな。」

「ご主人様?」

「・・・あー、アリフレア? 1回だけでいいから、「お兄様」って呼んでみてもらってもいいか?」


 別にこれと言った理由は無いはずだったのだが、何故か、本当に何故か、アリフレアにそう頼んでしまった。


「お兄様?」

「そうそう。 後はいつも俺を呼ぶみたいに呼んでくれるといいかな?」

「はい。 ・・・お兄様。」


 その仕草と言動に一瞬なにかに目覚めそうになりアリフレアとの目線を逸らし、口元を押さえる。 今の自分は顔を少し赤らめていることだろう。


「・・・やっぱりいつものままでいいか。」


 良く分かっていないアリフレアは「?」を浮かべるばかりだが、それでいいと感じた。 そんなことをしているうちに、別のカプセルが開かれた。


「ふぅ。 なんとも不思議な気分で御座った。」


 出てきたのは零斗さんだった。 彼もまた夢から覚めたらしい。


「おはようございます零斗さん。」

「む? うむ、セイジ殿も戻ってこれたようで御座るな。 アリフレア殿も。」


 挨拶を交わした後、零斗さんにも自分達と同じ様に、あったかもしれない現実を見せられていたと告げると、至極納得したような表情をした。


「やはり拙者が感じた謎は、勘違いでは無かったというわけで御座ったか。」

「零斗さんはなにを見てたんです?」

「簡潔に申せばセイジ殿と同じ、この世界に来る前の話で御座る。 しかし10年以上も離れていた世界で、友人とあっていたなど奇妙な話。 そう思った途端に、目映い光に包まれたで御座る。」


 零斗さんの夢の違和感は「元の世界で友人達と会っていたこと」。 前の世界での未練は既に断ち切ったと言っていた零斗さんにとっては、その現状がおかしく感じたのだろう。 だからこそ戻ってこれたのかとも考えられた。


「奇妙な夢で御座ったが、もう少しだけ見ていたかったという想いも少なからずはあるで御座る。 最も向こうは拙者の事など忘れているで御座ろうが。」


 零斗さんは俺と違って、勇者召喚の余波によってこの世界に転移させられた人間だ。 忽然と消えた人間の事など、余程繋がりが深くなければ忘れ去られてしまうだろう。 それだけに零斗さんの夢は儚かったことだろう。 そんな表情を零斗さんは感じ取ったのか、肩を竦めた。


「何故汝達が悲しい顔をするので御座るか。 言ったで御座ろう? 前の世界には未練はないと。 この世界で生きていくと決めた以上は、むしろ昔の事に囚われている方が、失礼で御座る。 気にすることは無かろうて。」


 その辺りはやはり零斗さんは大人だと感じてしまう。


「1つの覚悟・・・か。」


 そう考えているとまた1つカプセルが開けられた。 出てきたのは


「あたいはもう、籠の中の鳥じゃないわ。」


 出てきたのはサヴィだった。 少しだけ不服そうにしながら。


「あら、もう出てきていたの。 この培養液みたいなの凄いわよね。 睡眠作用、幻覚作用、五感の認識操作。 これが表に出たら世界が掌握されるわ。」

「夢を見ながらもそこまで分析していたのか。 やっぱり阻害魔法か何かを使ったのか?」

「全部じゃないけどある程度はね。 でもただ出るだけって言うのも面白くなかったからどんな夢か見ていたわけ。」

「で、満足したから夢から出てきた・・・いや、だったらそんな不機嫌な顔はしないか。」

「さすがセイジ君。 分かってるじゃない。」


 その辺りはサヴィの性格から見た憶測だったのだが、どうやら間違いでは無かったらしい。 なにを見せられたのやら。


「別に変なものじゃないわ。 あたいが隠れ里の生活に不自由無く暮らしている生活だったのよ。 でも見込みが甘かったようね。 今の生活に不自由はしていないし、新しい刺激もあって楽しいもの。 里が嫌いな訳じゃないけど、好奇心は外にあるものなのよ。」


 さすがにそこまでは読み取れなかったか。 ま、自分の望む夢というのが、どのくらいの範囲の事なのかまでは本人の匙加減だからな。 それで本人が満足していないのなら、まだまだだということだろう。


「それで? 脱出出来たのはこの4人?」

「今のところはな。 ま、でも他の奴らもすぐに戻ってくるとよ。」

「誰に聞いたの? そんな話。」

「この大樹の精霊? みたいな存在って言っておけばいいか?」

「ふーん。 つまり詳しくは分からないと。」

「そういうこった。 ま、害はないんだが、やはり目を覚ますにはそれなりに条件があるみたいでな。」


 その条件の説明は別に要らないかと思った。 実際こうして帰ってきているのをみても、大体なんなのかはわかっているようすだし。


「まあいいんじゃない? ちゃんと生きてるなら、目が覚めるまで待てばいいんだし、ちゃんと帰してくれるって約束したんでしょ?」

「まぁな。 ・・・またカプセルが開いたみたいだな。」


 今度は誰だと俺たちはそのカプセルの人物をみやった。

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