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カードゲーム世界で始める下克上  作者: 風祭 風利
第3章 世界の異変と転生者
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いつも通り

 どこからかけたたましい音が耳に聞こえてくる。 目を開けると、()()()()()()天井が見えた。 となるとなっているのは目覚まし時計か。 自分でも珍しく目覚まし時計に起こされるとは。 目覚まし時計を止めて時刻を確認する。 5時半を射している針を確認して、ぼんやりとした目で考える。


「・・・昨日なにしてたっけ?」


 何故だか全く思い出せない。 自分の携帯を開いて、日時を見ると()()()と表示されていたので、昨日は休み。 今日からまた1週間の学校生活が始まるのだと思った。


「昨日の事を思い出せない程ぐっすり眠ってたのか?」


 そんなことを考えつつ俺は、部屋着を脱ぎ捨て、身体を制汗剤で拭いた後に、自分の着る()()()袖を通す。


 登校準備をしていると、下から鼻腔をくすぐる匂いがしてくる。 部屋は2階だし、階段を降りればすぐにキッチンになっているので、匂いが上に来るのだ。 しかもわざわざ換気扇を回していない辺り、俺が起きていることを知っているのだろう。 そんなことを出来る人物は一人しかいない。


 俺は部屋を出て階段を下り、キッチンでせっせと準備する黒髪ロングの使()()()姿()()()()に朝の挨拶をする。


「おはよう()()。」

「あ、おはようございます。 ()()()


 そう惜しげもなく笑顔を振り撒く少女、成田 有栖(なりた ありす)は俺の()()にあたる。 


「相変わらず早起きだな。 早起きは三文の徳とは言うが、そこまでしてくれなくていいんだぞ?」

「いえ、どちらもご両親が不在ですので、ここでは私がお兄様の面倒をみたいと思っているのです。」

「その心遣いは有り難いが、そっちだって学校はあるんだし、俺に構わなくても問題ないぜ?」

「それでも私はお兄様のために頑張りたいのです。 今はお弁当をお作りしていますので、その残りで朝御飯もお作りいたしますね。」


 そう言いながら右往左往して料理をしている姿は、可愛らしく見えた。 今度出掛けたときになにか買ってあげようと思うくらいに。


 朝御飯を有栖と済ませて、一緒に洗い物をしてから俺は登校することにした。


「それじゃ、俺は先に出るから、戸締まりをお願いな。 学校に遅刻しないようにな。」

「はい。 いってらっしゃいませ、お兄様。」


 玄関で頭を下げる有栖を見送り、俺は通学路を歩く。 俺の学校は近くにあるわけではないが、自転車を使う程遠くにあるわけでもない。 なので健康も予て歩いているのだ。 そしてこの通学路を歩いていると、家の方向がほぼ同じな彼女に会う。


「おはようございます。 ()()。」


 曲がり角のところで出会ったのは()()()して灰色に近い色をしたショートヘアの少女である。 彼女は扇 蘭(おうぎ らん)。 両親は日本人たが、都合で向こうの国で産まれたため、風貌はあちらよりになっているが、日本人の両親であったため、日本語はそつなく喋れる。


「おはよう蘭。 今日は陸上部はいいのかい?」

「大会も近いということで、昨日は夕方位まで練習したので、朝練は無しになりました。」

「おーそっか。 蘭はなにに出るんだっけ?」

「ボクは短距離走です。 今はスタートダッシュの瞬発力を極めているところです。」

「あんまり力みすぎてアキレス腱を壊さないようにね。」


 そんな後輩と他愛ない話をしながら学校に到着し、自分の下駄箱にあるスリッパに履き替えて教室に行こうとした時、不意に男子生徒に道を塞がれる。 そしてその男子生徒は高らかに声をあげる。


「清司! 今日も相手をしてもらうぞ!」


 そう声をあげるのは同じ学年の鐘時 飛鳥(かねとき あすか)。 成績は学年上位を常に取っている秀才ではあるが、ある勝負で負けたことを悔しがり、反省した上で俺にこうして挑んでくるのだ。 そしてそれが俺の朝の恒例行事にもなっていた。


「なんだよまたやるのか鐘時? 別に構わないがせめて昼か放課後にしてくれよ。朝っぱらから元気な奴だよな、お前は。」

「朝のうちに約束を取り付けておかねば相手してくれないからな。 それと私の事は飛鳥と呼べといつも言っているだろう?」

好敵手(ライバル)と書いて友と呼ぶみたいな発想だよな。 ほんと秀才とは思えない執念っぷりだな。」

「私を敗北させた数少ない人物だからな。 悪いがどんな世界で君に会おうと、私は君に挑み続けることだろう。」

「はいはい。 とりあえず自分の教室に戻れ。 昼休みはいつもの場所にいるから。」


 そう言い残して飛鳥と別れて、自分の教室に入る。 すると()()()()席で()()()()()()()が待っていた。


「お、おはようさん。」

「また廊下で飛鳥に勝負挑まれてたね。 よく懲りないものだよ。」

「いいんじゃねぇ? あいつなりの野村との交流の仕方だろ。」

「いやいや、もっとコミュニケーションの仕方ってあるだろ。 あれじゃ「あなた、私と目があったわね?」でバトル仕掛けてくる奴みたいだぞ。」


 その俺の例えでどっと笑う。 そう、こんな()()()()()()()が楽しくってしょうがない。 何気ない1日が過ぎていくのが一番いい。


「ほら、そろそろ時間だぞ。 ちょっとした報告があるから、席に着け。」

 担任の先生が入ってきて声をかけると、みな一斉に自分の席に着いた。

「よし、全員席に着いたな。 こんな時期だが、転校生を紹介する。 入ってきてもいいぞ。」


 そうして教室のドアが開かれる。 そこにいたのはセミロングの()()の少女だった。 身長からは高校生には見えないが、制服もちゃんと着用していた。 そして黒板に名前を書いていく。 チョークで書かれているがかなり綺麗に文字が書かれていた。


笠名 千代子(かさな ちよこ)と言います。 父の都合でこの街に引っ越してきました。 皆さんとは短い期間になってしまいますが、よろしくお願いいたしますね。」


 そうお嬢様のようなお辞儀をしてみんなの前で自己紹介をした。


「席は後ろだ。 色々と聞きたいことはあるだろうが、休み時間の時にしろよ。 さ、授業をするぞ。」


 そうして笠名は自分の席に行くために俺の席の隣を通る。 その時、彼女と目があった気がした。


「ほぉ、転校生か。 それで休み時間の時にかなり賑わっていたんだな。 そちらのクラスは。」


 昼休み。 俺はいつもの場所で昼食を取ろうとしたら、先客である鐘時と蘭と共に昼食を取っていた。


「それで、どんな人だったんですか? その転校生さんは。」

「どんな人って聞かれてもなぁ。 話してないから分からないぜ。」

「む、会話をしていなかったのか?」

「していないというか、出来なかったが正しいな。 みんなに囲まれて、こっちが話しかけに行けなかったんだよ。」


 今日だけでも休み時間になるたびに、クラスメイトが男女問わず飛び行って聞きに行っているので、その波に揉まれては聞きたいことも聞けないだろうと思い、今に至っているのだ。


「でもそのうち落ち着くと思うので、その時に声をかけてみたらいかがですか?」

「その通りと言えばその通りなんだよね。 ま、そのうち話す機会が出来るとは思うしな。」

「気長に待つことも大切なことだろう。 ・・・む? 誰か来たようだぞ?」

「え? ・・・え?」


 鐘時がなにかに気が付いたようで、その方角を一緒に見ると、まだこの学校に来て数時間しか経っていない筈の人物、笠名 千代子が現れたのだ。


「こんにちはみなさん。 私もこちらで食事をしてもよろしいでしょうか?」

「あ、ああ。 それはいいんだけど・・・」

「ありがとうございます。」


 そう言いながら俺と蘭の間に座る。


「ど、どうしてここに来たんだ? というか誰から聞いたんだ?」

「誰から、というわけではありません。 静かにお昼を過ごしたいと思っていたら、こちらにあなたがいらっしゃったので、それを見て来たのです。」

「え? どういうこと? 先輩になにかあるんですか?」


 蘭の言葉に笠名は俺に目を向けてくる。 約数秒見合った後に


「あの、もしかして、どこかでお会いしたこと、ありますか?」


 そう聞いてきた。 だが俺の昔の記憶にはこんな女子は見かけたことがない。 これだけ印象強い子なら、何かしらで記憶に残っていると思ったが、残念ながらそんなことはなかった。


「・・・すまん。 俺は知らないな。 人違いかもしれない。」

「・・・そうですか。 すみません、変なことを聞いてしまって。」

「そ、そうだな。 ・・・あー、まぁ。 どうせ教室戻っても質問責めだろうし、昼休みの間はここにいるか?」

「それは・・・いえ、そうさせてもらいます。」


 こうして俺たちは4人でお昼を過ごすことになった。

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