パワーバーンVSハンドレス
2人の声と共にダイスが振られる。 ベルジアが「4」、零斗さんが「3」。 ベルジアの先攻となる。
「セージさんはあの2人ならどっちが勝つと思っています?」
一緒に見ているゼルダからそんな質問がとんでくる。 最もらしい疑問だ。 俺を含めてベルジア、零斗さん、それにファルケンは日夜自分達を高めるために、デッキの調整を怠っていない。
そしてゼルダもサヴィも、アリフレアだって時間があればデッキは見ているし、夜の行動しないうちは、それこそ自分達で何度もカードゲームを繰り返している。
そんな中で聞かれる疑問。 俺も流石にすぐには答えられなかった。 答えられる訳がないのだ。 2人だって何度も戦った相手であるから、特性なんかは既に分かりきっていること。 そして2人の勝負で勝敗の割合もほぼ同等。 こちらも迂闊に言えないのだ。
「さて、どう見るかな。」
「セージさんにも分からない状態?」
「そりゃそうさ。 互いに苦難を乗り越えつつ、その上で互いに相手の戦術を組み込んで、自分の戦いを確立させてる。 どっちが勝つ負ける何て言う贔屓目にはどのみち見れない。」
そう答えて、ゼルダは「余計なことを聞いたね」と言わんばかりに目の前に集中した。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム 私はコストを3支払い「灰竜」を召喚。 更にコストを6支払い、魔法カード「ブレスオブファイア」を発動。 「灰竜」をコストとして効果を使用する。」
ベルジアの最初の攻撃は、あいつが変わった後に俺に最初に見せたコンボだ。 初手から絶好調だな。
「そして私はコストを5支払い、「雷翼竜 ニングドラ」を召喚する。」
『モンスター:雷翼竜 ニングドラ レアリティ 水色 コスト 5
種族 竜族
「攻撃時」攻撃を行う相手モンスターの体力を2減らす。
また相手のモンスターが攻撃を行った時、攻撃力を4減らす。
ATK 7 HP 4』
今まではいなかったモンスターがベルジアのフィールドに現れる。 相手のモンスターに干渉してくるタイプは初めてだろう。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。」
相手にかなりの痛手を与えつつ、自分は防御面を増やしていた。 ベルジアの成長ぶりは、ここで発揮されているようだ。
ここまでは序盤としては完璧だ。 零斗さんはどう立ち向かう?
「拙者の開戦、そして山札を引く。 戦闘準備。 拙者は代償を5つ支払い「異世界からの渡来者」を召喚。 そして手札を2枚と、フィールドの「異世界からの渡来者」を糧として、出でよ! 「孤高の新衛兵」!」
零斗さんも俺との最初の対戦の時に見せたコンボを出してくる。 零斗さんの戦い方としては手札を0枚にしてから始まる。 この幸先はいいだろう。
「そして拙者はコストを6つ支払い、魔法札「先借り」を発動するで御座る。」
『魔法カード:先借り レアリティ 紫 コスト 6
自分はカードを2枚ドローする。 次の自分のターンのエンディング時、手札を全て捨てる。』
「拙者は山札を2枚引くで御座るよ。」
そう言ってカードを引いた零斗さん。 手札は3枚、次のターンでは4枚となる。
「珍しいな。 手札を捨ててからがレイトの実力だろう? 1ターンを無駄にしてでも手札を補充するとは。」
「拙者とて、必ずしも手札をすぐには0枚に出来ぬことを感じる事も、この旅を通じて学んだ。 ならば初手から動けぬことも想定しておかなければならぬと感じたで御座る。 故にあのような魔法札をいれたで御座るよ。 汝も同じようなもので御座ろう?」
「そうだな。 私も相手にダメージを与えるのは攻撃のみではないことはセイジから学んだ。 だがそれでも足りなかった。 だから己の無いものを補ったのだ。 私のデッキにはその部分が入っている。 私の成長も見て貰いたいものだな! レイト、セイジ!」
言うようになったか? ベルジアの奴。 だが確かに最初のあの頃に比べれば格段に成長していると俺は思う。 領地の事を考えているのは相変わらずだが、今はそこに民達も入っている。 それが成長だろう。
「ならばその成長ぶりを見せて貰おう! 戦闘開始! 孤高の新衛兵でニングドラを攻撃! 攻撃力は下げられるが、それでも攻撃は通るで御座る。」
今なら純粋な物理的ダメージは大きい。このまま通ればニングドラを倒せる。
「私はコストを6つ払い、インタラプトカード「領域侵入妨害」を発動!」
『魔法カード(インタラプト):領域侵入妨害 レアリティ 紫 コスト 6
攻撃を行った相手モンスターの攻撃力を半分にする。
この効果を使用した後、破壊されたモンスターの種族が「竜族」、「鳥獣族」、「爬虫類族」、「昆虫族」、「魚族」の場合、自分フィールドに「守られた子孫 このカードを捨て場に送ることで、デッキの中からXコスト以下のモンスターをフィールドに召喚する。 Xは経過した自分のプラポレーションタイムの2倍に値する。 ATK 2 HP 2」を召喚する。』
魔法が発動した瞬間、新衛兵の前に透明な壁が立ち塞がったが、それを省みずニングドラに攻撃を仕掛けた。 そしてニングドラは破壊され、その後に卵が1つ残されていた。 ベルジアの奴。 ダメージをただ落としただけじゃなくて、その後の布石までしっかりと残していった。 これは今までと違うというのも、本当に間違いじゃないな。
「むぅ、これ以上はなにも出来ぬで御座るな。 休息に入り、拙者は休戦に入るで御座る。」
手札が残ったままの零斗さんのターンが終わる。 手札が0枚になるのは少なくとも1ターンは掛かる。 その間どう凌ぐか。 それが今の零斗さんの課題となるだろう。
「私のオープニング、そしてドロー。 プラポレーションタイム。 私はコストを12支払い、領域カード「活火山の火口」を発動!」
『領域カード:活火山の火口 レアリティ 銅 コスト 12
互いのエンディング時、互いのライフコアが2つ減る。
自分フィールドのモンスター、魔法、及び装備による効果ダメージを与える時、そのダメージを3増加させる。
このカードが破壊される時、自分フィールドのカードを2枚捨て場に送ることで、破壊を無効にする。』
その領域を展開すると、辺りは火山になっていた。 なっていたと言ってもAI領域であるため、臨場感が高くなるだけで、特に変化はない。
ベルジアは徹底的なバーンダメージでこの試合を圧しきるつもりだ。 時間はかかるが確実に相手のライフコアを削れる。
「クールタイムに入り、私はエンディングを迎える。 そして活火山の火口の効果により、互いにライフコアが2つ削れる。」
活火山が噴火し、落ちてくる小型の火山岩がチクチクと当たっていく。
しかしここでベルジアはモンスターを召喚しなかった。 フィールドに残っているのは「守られた子孫」しかいない。 いくらライフコアが減るのを恐れているとは言え、狙われないわけではない。 となれば対策は手札にあると言うことになる。
「拙者の開戦、そして山札を引く。 戦闘準備。 ベルジア殿。 先ほどの流れ、見事で御座る。」
「お誉めにお預かり光栄だ。」
「しかし、だ。 汝は自分の保身と、今後の展開のみに注視したのは、些か早計で御座ったな。」
「・・・どういう意味か、説明はしてくれるかな?」
「相手が自分の戦術に対策することを忘れているで御座る! 拙者は代償を6つ支払い「暗黙を知る者」を召喚するで御座る!」
『モンスター:暗黙を知る者 レアリティ 紫 コスト 6
種族 衛兵
このカードが存在する限り、自分は効果によるダメージを受けない。
このカードは戦闘では破壊されない。
ATK 4 HP 5』
あのカードはベルジアの戦闘スタイルを一気に無くした。 しかも今のベルジアのフィールドはがら空きも同然。 これが通れば、ベルジアは大ダメージを受けることになるだろう。
「戦闘開始! 暗黙を知る者で守られた子孫を攻撃。 繁栄も、最初に無くしてしまえば同じこと。」
そう言って相手の卵に攻撃を加えようとする。 が、ベルジアもただでは転ばない。
「ふっ。 わざわざフィールドにこのカードを残したのは、攻撃を誘うためですよ。 もっとも、この方法はセイジには通用しないですがね。 私はコストを7つ支払い、インタラプトカード「危機共鳴」を発動!」
『魔法カード(インタラプト):危機共鳴 レアリティ 紫 コスト 7
自分フィールドのモンスターが攻撃された時、手札にある「竜族」モンスターを相手に見せた後に戦闘をさせ、コンバットタイムを終了させる。 ただしこの効果はモンスターをフィールドに出さない。 また相手モンスターは破壊されず、戦闘ダメージも発生しない。』
「私は手札の「ボムドラ」を相手に見せる。 これでこのコンバットタイムは終了とする。」
うまい。 これでベルジアは卵を守れたし、攻撃ももう出来ない。 まだ劣勢でありつつも、策略を着々と練っていたようだな。
「なるほど。 確かにこれではお粗末過ぎるで御座った。 汝を悪く言ったことを深くお詫びしよう。 休息に入り、拙者は休戦に入るで御座る。 この時、拙者は手札を全て捨て場に送るで御座る。 そして汝の「活火山の火口」の効果により、自分自身にダメージを受けてもらうで御座るぞ。」
ベルジアにダメージが入っていく。 ライフコアもこれで零斗さんが上回った事になった。
どちらも一歩も譲らない攻防戦。 どっちが勝っても文句の無い戦い。 どちらに軍配があがる?
現状
ベルジア ライフコア 78 手札 1
守られた子孫
活火山の火口
零斗 ライフコア88 手札 0
孤高の新衛兵
暗黒を知るもの




