里帰り
1ヶ月の休載を貰って帰って参りました。
この1ヶ月色々と長かったように感じます。
今回から新しい章区切りで考えております。
「ミカラ様。 自分の昨晩考えた提案を述べてもよろしいでしょうか?」
それは朝食の時に、俺が声をかけたので、皆俺の方を向く。
「どうされたのですか? セイジ。」
「昨日お話しされていました件についてなのですが、その件を自分が担うということなのですが。」
「どこか問題がありまして?」
「いえ、担う事については、自分も反対はしておりません。 ですが、順序だけを決めさせていただきたく思います。」
自分の中での優先順位を先に決めておく事で、問題を絞りやすくするのが目的だ。 流石に仕事の兼用は限界がある。
「なるほど。 確かにあなたにムサロとメスリが見てきたものはそれぞれ別ですからね。 同時進行など無理なのは当然でしょう。」
「ですのでまずはこの世界の異変から見ていきたいと思っています。 メスリさんの方は「いた」という事実はありますが、まだこれといって大きな影響が見られてない。 そうですよね?」
「あぁ。 奇妙な奴がいるな、位にしか思わなかったな。」
「それならば、現状的に問題になっている側の解決の方が優先的だと、昨晩思った訳です。 どうでしょうか?」
「確かにその通りではありますね。」
「しかし母様。 見てきた私が言うのもあれなのですが、この問題に関して僕達が関与しても良いのだろうかと感じるのです。」
ムサロさんが言いたいのは「その中での問題に第三者が勝手に手を出してもいいのか」と言うことだ。 変に第三者が余計な事をして、解決に繋がらない事もあるのではないかという話だ。
「それを見極めるためにも、彼らに出向いて貰うのですよムサロ。 それに普通では無いのですよ。 彼は。」
そう俺を見るミカラ様。 それにつられてムサロさんもメスリさんも俺を見る。
「なるほど、確かになにかが違うような雰囲気があるね。」
「ああ、母さんが認めるだけあるな。」
お眼鏡にかかり光栄だ。 ならばと思ったが1つやり残した事があるのを忘れていた。
「この後、ベルジアとファルケンを故郷に顔を出させてからでもよろしいでしょうか?」
「師匠?」
「元々すぐには行かない予定だったんだよ。 話の事もあったし・・・俺も頭の中で整理したかった部分もあるから、時間を取ろうと思ってな。 休みなくって訳じゃないけど、動き回っていたし夜とかは気が気でならなかったからなぁ。 本当の休暇も兼ねて、お前達の成長した姿を見させてやろうかってな。」
「セイジ・・・」
「そう言うわけなのですが、どうでしょうか?」
「私からはなにも言いませんよ。 また出発する時になったらお声をかけてくださいな。」
ミカラ様の許可も貰ったところで、俺達は里帰りの準備をするのだった。
「といっても、本当に送るのはベルジアだけなんだよな。」
ファルケンは自分で飛んで帰れるだろうし、そうなってくると最悪ドーホース達ともお別れになってしまう。 空を飛べる魔法を教えて貰ったしな。 ま、それは最悪の場合だ。 魔法のない国とかだと逆にいた方がいいまであるからな。
「それじゃあ、俺っちも戻るっす。 2日程した後に、ハーキュリーに戻ってくればいいんすね?」
「ああ、それぐらいで丁度いいだろう。 子供達に、旅の思い出でも語ってこい。」
「っす! それでは!」
そう言ってファルケンは空高く飛び立っていった。
「さてと、俺らも行くぞベルジア。」
「それは構わないのだが、ドーホース達も連れていくのか?」
「連れていくといっても、元々は借り物だからな。 ドーホース達にも里帰りさせると共に、今後の事も考えないといけないからな。」
そう言いながら俺はミルレと共に『ウィンディア』を馬車毎唱える。 今回はそこまで距離は無いので、休むこと無くアルフィストまで行けることだろう。
「アルフィストがどうなっているか、か。」
「お前としてはどうなっているのが望みだ? ベルジア。」
「言うまでもない。 貧富の差のない、平穏でありふれた領地の形になっていれば、私としてはこの上ないものよ。 それ以上の事など望まないさ。 ただ・・・」
「ただ?」
「私が居ずとも両親が頑張って領地の民と共に立ち上がっている。 私が戻ったところで、どうにかなるものではないとも思っている。」
どうやらまだ両親が頑張りを見せているから自分を必要としないのではないかという焦燥感にかられているようだ。 だがそんなことでは領主としてやるには、難しいのではないかと思う。
「ベルジア。 お前はアルフィストの人達が信じられないか?」
「そんなことはない。 我が領地の民は皆一様に逞しいのだ。 そんな簡単に挫けはしないぞ。」
「それならお前も信じるんだよ。 そしてちゃんと戻ってこれたのだと分かるようにするんだ。」
「セイジ・・・すまなかった。 私としたことが弱気になるなんてな。」
「不安になることは誰しもあることさ。 恥じる事じゃねえよ。 そら、そんなことをしている間に近くまで来たぜ。」
そう言って俺は草原に馬車を降ろす。 そして俺は降りた所で周りを確認して、思い返す。
最初にこの世界に来た時に俺がいたのはアルフィストからそう遠くない草原だった。 ある意味俺にとっても原点回帰に近い形でこの地に降り立ったのだと思った。
「ここから先にセイジ様の故郷があるのですか?」
「故郷って言うよりは、俺の旅の始まりの街かな。」
空から降りた後はドーホース達を走らせて草原を越える。 最初にアルフィストに入った時も、確か馬車だったな。 あれから半年近くで色々とありすぎたな。
「見えてきた。 アルフィストの城門が。」
ベルジアのいう通りアルフィストと草原を隔てる様に城門が見えてきた。 特に変わっている様子はないようで安心した。
「懐かしい街並みだ。 それだけ私も街を離れていたのだな。 ようやく帰ってきたと感じる。」
「干渉に浸るのは構わないが、お前は城に行くんだろ? だったら俺達は降りても平気だろ?」
「む、それもそうだな。 では行ってくる。 夕刻にはこちらに戻ってくる。」
そう言って馬車を走らせて行ってしまった。
「私達はどうしましょうか。」
「ミルレはこの辺りを始めてだろうし、俺達もどんな風に変わったのか見てみたいから、街並みを歩いて見ようか。」
「はい。 なんだかデートみたいですね。」
デートって・・・忘れてないとは思うけど、今この場に居るのは俺とミルレだけじゃないんだが・・・
「難しい事は考えてもしょうがないか。 それなら行こうか。」
「はい。」
そうしてベルジアが帰ってくるまでの間、アルフィストの変わらない街並みを歩いた。 一部の人には懐かしがられ、アリフレアと会った時の事も話した。 最もその本人は羞恥心からか俺が話してる間は顔を赤く染めていたが。
そうこうしているうちに、日が傾き始めた。 時間はあっという間に過ぎていくなぁ。 この世界に来てからなんだか時間の流れが速くなったような気がするんだよね。 まだそんな歳じゃないんだけどなぁ。
「ご主人様。 ベルジアさんが、戻ってきましたよ。」
アリフレアが指差す方から、ドーホース達が引いている馬車を見つける。 確かに俺達が乗ってきた馬車で間違いなさそうだ。 そして俺達の前に停まると、後ろからベルジアが荷車から降りてきた。
「ベルジア。 里帰りはもういいのか?」
「ああ、父様も母様も変わり無く元気だったし、アルフィストの街の話を聞かれても、特に変わっている様子はないようだそうだ。 こちらとしてもホッとした。」
それなら良かった。 そう思いながら馬車に乗ろうとした時、
「セイジ、少し良いか?」
ベルジアが俺を馬車に乗るのを止めた。
「どうした?」
「折角こちらに戻ってきたのだ。 成長した姿を見て貰いたいと思ってな。 カードバトルに付き合って貰えないだろうか?」
そんな提案が出される。 だがそう言うことなら俺も拒否はしない。
「良いぜ、制約カードバトルじゃなくてもいいだろ? だったら早速・・・」
「いや、今回はレイト。 あなたと戦いたい。」
「む、拙者とで御座るか?」
驚いた。 てっきりあの時のリベンジマッチを仕掛けてくると思ったのだが。
「今の私がセイジに勝つことなど出来はしない。 だが簡単に負けるのも民の前では気が引ける。 ならば自分と実力が似たり寄ったりなレイトと戦い、自分の成長を出しておきたいのだ。」
「そう言うことなら承るで御座る。 さぁ、拙者は準備が整っているで御座るよ。」
そうしてディスクを構え、2人の戦いの火蓋が切って落とされる。
「「さぁ、劇場の幕開けだ(で御座る)!」」
ただいきなり話を切り替えるのもあれだったので、今回はベルジアvs零斗の成長コンビの試合をお送りいたします。




